第3回となる令和7年度総会を開催、新理事長に虎の門病院 睡眠呼吸器科医長 富田康弘氏が就任
一般社団法人Sleep Innovation Platformのプレスリリース
国民の健康やQOL(Quality of Life)向上を睡眠の視点から支援することを目的とした、睡眠マネジメントに関する産学連携コンソーシアム「Sleep Innovation Platform®(スリープ イノベーション プラットフォーム)」は、2025年11月10日(月)より「一般社団法人Sleep Innovation Platform®」(本社:東京都中央区日本橋 理事長:富田 康弘)へ体制を移行しました。また、新理事長に富田康弘氏(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 睡眠呼吸器科医長)が就任しました。前理事長の柳沢正史氏(筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS 機構長・教授)は、最高顧問兼理事として引き続きご尽力いただきます。
【一般社団法人化の背景】
2022年3月18日「世界睡眠デー」に設立した「Sleep Innovation Platform®」は、睡眠サービス・商品開発を行う企業や生活者との接点を有する企業と最先端の睡眠研究を行うアカデミアが連携し、睡眠をベースとしたイノベーションといった視点から、睡眠データや睡眠に関するエビデンス等を収集・蓄積し、国民の健康増進・予防等に貢献することを目指しています。3つの活動方針を軸に、参画メンバーによるワーキンググループ(WG)を設置し、共同調査、実証実験、企画・開発などを進めています。現在、27の団体・企業が参画し、これまでの活動実績と今後の事業推進を踏まえ、社会的な信頼性の向上、より透明性の高い組織運営、安定した活動基盤の確立を図るため、一般社団法人として新たなスタートを切りました。
【活動方針】
① 睡眠サービスの品質向上
アカデミアとの連携を通じて、睡眠状況や生体の把握・データ解析、これに対するエビデンスを基にした睡眠サービスの品質チェック基準を策定し、サービス全体の品質向上と、生活者への利用促進を図ります。
② 様々な事業者間連携による高付加価値ビジネスモデルの検討・開発
国民の健康寿命延伸やQOL向上、健康経営における企業従業員の生産性等の視点から、事業者・アカデミア連携による高付加価値ビジネスモデルの検討を行います。
③ 睡眠データの利活用促進に向けた基盤整備
睡眠データ基盤構築に向け、睡眠データの計測方法、精度や実装すべき機能等の検討を行い、さらに睡眠データ以外のPHR(Personal Health Record)データ・ライフログといったデータとの連携・活用も視野に入れます。
第3回Sleep Innovation Platform®総会 実施概要
[日時] 2025年5月16日(金)
[会場] 日本橋髙島屋三井ビルディング 日本橋ホール
第3回総会で理事に選任された富田康弘氏が、その後の理事会において互選により、新理事長に就任しました。富田新理事長は就任挨拶と共に、現在取り組んでいる循環器領域、睡眠領域、遠隔医療領域の活動について講演されました。来賓には、経済産業省の橋本泰輔様(商務サービスグループ ヘルスケア産業課課長)と、厚生労働省の岩﨑もにか様(健康・生活衛生局健康課 主査)を迎え、ご挨拶とともに、現在取り組まれているご政策についてご説明いただきました。また、本コンソーシアムの活動方針を基に特定のテーマの検討を具体的に行う9つのサブワーキンググループが、令和6年度活動報告および令和7年度の活動方針について発表しました。
■ 新理事長 就任挨拶
富田康弘氏
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 睡眠呼吸器科医長
このたびは大変な大役を仰せつかりました。柳沢正史先生から臨床医の立場からぜひ関わっていただけないかとご相談をいただき、若輩者ではございますが、お引き受けさせていただきました。各サブワーキンググループの活動も私の興味と重なるものが非常に多いと感じております。
私は研修医の頃から長く虎の門病院に勤めております。睡眠医療に関わるようになったのは、研修医として呼吸器内科をローテーションしていた際に睡眠時無呼吸という病気に興味を持ったことがきっかけでした。後に循環器内科を専攻することになりますが、その後も外来診療や臨床研究を通じて長く睡眠医療に携わってまいりました。日本睡眠学会や日本循環器学会などの専門医資格を取得し、虎の門病院に勤めながら順天堂大学の社会人大学院生としてお世話になった際にも、睡眠医療と循環器内科の重なる領域を研究対象としていました。
日本専門医機構の専門医制度では、基本領域の上にサブスペシャリティ領域があり、私は基本領域として内科を、サブスペシャリティ領域として循環器内科を選択しました。日本睡眠学会も独自に専門医の認定を行っていますが、専門医制度のサブスペシャリティ領域には睡眠が含まれておらず、実際にはさまざまな専門領域から睡眠に興味を持つ医師が集まっている状況です。今後は、睡眠医療を広く見渡すことのできる医師の育成が課題となっています。
先日、日本睡眠学会の内村理事長が厚生労働省に「睡眠障害」を標榜診療科名に組み合わせる名称として提案しました。日本睡眠学会の認定施設は全国に広がっていますが、地域格差は依然として大きく、専門的な睡眠医療が届いていない地域もあります。このような課題を解決するため、私は遠隔医療の活用が重要だと考えています。遠隔医療の普及により、医療とヘルスケア領域の融合も進むことが期待されます。本日は自己紹介を兼ねて、私が日常的に取り組んでいる活動についてお話しさせていただきます。
[富田康弘新理事長 特別講演テーマ]
・循環器疾患を予防するための生活習慣病管理
・睡眠医療が扱う疾患と今後の課題
・遠隔医療を活用したこれからのヘルスケアの形
■ 最高顧問兼理事 コメント
柳沢正史氏
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS 機構長・教授
2022年に8団体・企業からスタートし、本年も多くの新規加盟の申請があり、27団体・企業が参画する大きな組織となりました。昨年8月の第2回総会から開始した各サブワーキンググループの活動においても、各リード企業、団体のご尽力で勢力的に活動いただいています。
新理事として、富田康弘先生をお迎えすることになりました。Sleep Innovation Platform®は、睡眠という切り口で社会を良くしていこうという、企業のアソシエーションとして非常に素晴らしい組織ですが、メンバーに臨床医がいないことを課題と感じていました。特に、サブワーキンググループ2-2の活動で行った伊藤忠商事様の健康経営の実証では睡眠時無呼吸症候群にフォーカスを当てましたが、こういった活動を進める上で、臨床医療面の目を持った人もメンバーに必須だと考えております。富田先生は、元々は循環器の医師ですが、キャリアの途中から睡眠時無呼吸症候群を専門とし、虎の門病院で現役の臨床医として活躍されています。未病や生活習慣など睡眠社会学的な側面まで広い視野を持っておられ、こういう方に是非加わっていただきたいと考え、1年ほど前からお声がけをさせていただいていました。私自身も、これからも理事として引き続き携わってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
■ 来賓挨拶
・経済産業省 商務サービスグループ ヘルスケア産業課課長 橋本 泰輔 様
「ヘルスケア産業政策について ~睡眠とPHR~」
・厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 主査 岩﨑 もにか 様
「厚生労働省の睡眠対策について」
■ Sleep Innovation Platform® サブワーキンググループ(SWG)活動概要
[WG1] 睡眠サービスの品質向上
・SWG1-1 ガイドライン整備事業
活動概要:主に下記3つの活動を実施。
①「睡眠ソリューションの有効性評価に関するガイドライン」の適用範囲拡大
② 新しいガイドラインの作成
③ Sleep Innovation Platform®と睡眠ヘルスケア協議会(SHA)の双方のガイドラインの共通項を総論として集約
リード団体:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS、日本睡眠科学研究所
・SWG1-2 ガイドライン標準化活動
活動概要:Sleep Innovation Platform®で発行したガイドライン「睡眠ソリューションの有効性評価に関するガイドライン」の細則に対する、申請/認証制度の検討
リード団体:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS、日本睡眠科学研究所
[WG2] 様々な事業者間連携による高付加価値ビジネスモデルの検討・開発
・SWG2-1 睡眠と運動の連携サービス事業
活動概要:睡眠改善の施策(睡眠ソリューション)として、「運動」を中心としたSleep Innovation Platform®加盟企業と連携したサービスを開発することを目指す。
リード企業:株式会社ティップネス
・SWG2-2 健康経営サポートを目的としたサービス開発
活動概要:睡眠を軸とした健康経営サービスとして、正しい睡眠知識の啓発、データに基づいたパーソナルアドバイス、そして相談窓口を一体化したサービス、「睡眠改善プログラム」の開発。
リード企業:西川株式会社
・SWG2-3 快眠ハウスモデル事業推進
活動概要:睡眠不足になる要因の1つに「生理的要因(生活リズムの乱れ等)」があり、その対策が「家」に求められる優先度の高いことと推測。住むだけで自然と快眠生活習慣が身につく家づくりを目指すべく、サービス開発や住居空間開発を実施する。
リード企業:積水ハウス株式会社
・SWG2-4 睡眠習慣による高齢者のライフスタイル再構築
活動概要:高齢者の睡眠習慣が乱れる要因として、リタイア時に規則的な生活習慣が失われることが挙げられる。そこで、「リタイア後のライフスタイルの変化」が高齢者の睡眠課題と仮説立てし、周辺課題の抽出や睡眠を軸とした新しいライフスタイルの提供を目指すサービスの検討を進めている。
リード企業:パラマウントベッド株式会社
・SWG2-5 女性の健康と睡眠課題解決
活動概要:女性は「月経」「妊娠・出産」「閉経」など、性ホルモンや環境の変化にさらされており、それに伴い睡眠も変調をきたしやすい。各ライフステージにおける課題の把握と、サポートを目的としたサービスの開発を主な活動としている。
リード企業:ユニ・チャーム株式会社
・SWG2-6 子どもと若年世代の睡眠課題解決
活動概要:子どもの睡眠は保護者や周りの環境に大きく左右される。子ども(0歳~18歳)の睡眠課題抽出のための調査を実施することで、各ライフステージにおける課題を明確にし、子どもの睡眠課題解決に向けて必要な対策を進める。
リード企業:塩野義製薬株式会社
[WG3] 睡眠データの利活用促進に向けた基盤整備
・SWG3-1 PHR睡眠データ標準化推進
活動概要:睡眠データのプラットフォーム(PF)を構築する上で、データスキーマは、どうあるべきかなどを検討。
① PHRを主たるスコープに、具体的なユースケース(UC)で考える。
② メタ項目の議論の追加(意味のある附帯情報とは)。
③ WG1(ガイドライン)、WG2(企業間連携UC)の各視点での連携。
リード企業:西川株式会社
一般社団法人Sleep Innovation Platform®について
[役員]
理事長 富田 康弘 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 睡眠呼吸器科医長
最高顧問兼理事 柳沢 正史 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS 機構長・教授
理事 渡部 光明 東京海上日動火災保険株式会社 執行役員 東京中央支店長
理事 西川 八一行 西川株式会社 代表取締役会長 CEO
監事 垣見 俊之 伊藤忠商事株式会社 執行役員 人事・総務部長
[アドバイザリーボードメンバー]
柳沢 正史 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 WPI-IIIS 機構長・教授
宮田 裕章 慶應義塾大学 医学部教授
西野 精治 スタンフォード大学医学部精神科教授 スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
富田 康弘 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 睡眠呼吸器科医長
[正会員]
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) / 株式会社アシックス / 伊藤忠商事株式会社 / 株式会社NTTデータ / 花王株式会社 / 株式会社カネカ / カルビー株式会社 / キッセイコムテック株式会社 / キヤノン株式会社 / 国分グループ本社株式会社 / 株式会社COSPAウエルネス / 塩野義製薬株式会社 / 株式会社資生堂 / 株式会社S’UIMIN / 積水ハウス株式会社 / 株式会社SOXAI / 株式会社ティップネス / 東京海上日動火災保険株式会社 / 西川株式会社 / 日本生命保険相互会社 / パラマウントベッド株式会社 / 株式会社ブレインスリープ / 三井不動産株式会社 / 株式会社三菱UFJ銀行 / ユニ・チャーム株式会社 / レスメド株式会社 / 株式会社ワコール
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〈 本件に関するお問合せ先 〉
一般社団法人Sleep Innovation Platform®事務局
[Email] sip318@nishikawa1566.com
[WEB] https://sleepip.jp/