「血糖値を知ることこそ、最大の治療」とCGMによる可視化の意義を熱弁「病気を敵ではなく味方として寄り添っていくことで人生も明るくなる」とエール
デクスコムジャパン合同会社のプレスリリース
デクスコムジャパン合同会社(本社:東京都目黒区、日本法人社長:浅野 元)は、今年の11月14日の『世界糖尿病デー』に先駆けて、2025年11月5日(水)に都内でメディア向けセミナーを開催しました。当日は、北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟先生、1型糖尿病でチャレンジャー/モデルとして活躍する星南(せな)さん、2型糖尿病による右腕切断を経験し啓発活動を続ける元プロ野球選手 佐野慈紀さん、そしてデクスコムジャパン合同会社 日本法人社長の浅野元が登壇。糖尿病とともに生きる日常や、CGM(持続血糖測定)がもたらす安心と可能性について話しました。
◼ リーディングカンパニーが訴えるCGMの必要性と、まだまだ低いCGMの認知・利用率
冒頭、デクスコムジャパンの浅野社長よりデクスコム社について紹介。1999年に米国サンディエゴで設立されたデクスコムは、世界で初めて指先を穿刺して採血する血糖測定を不要としたリアルタイムCGM(Continuous Glucose Monitoring:持続血糖測定)デバイスを開発し、現在52の国と地域で展開し、世界で170万人以上に利用されているリーディングカンパニーです。スマートフォン連携や家族・医療者との情報共有など、デクスコムが自立的に血糖を管理できる環境づくりを進めてきた経緯を紹介しました。
また、最新の米国糖尿病学会(ADA)による2025年版ガイドラインでは、あらゆるインスリン治療患者に対してリアルタイムCGMの提供を「推奨すべき(Grade A)」と明記されたことに触れ、持続血糖モニターの必要性を強調しました。さらに、デクスコムジャパンが2025年10月に実施した糖尿病患者500名(1型・2型 各250名)調査結果にも触れ、当事者の多くが日常の血糖測定において身体的・心理的負担を抱えていることや、CGMの認知・利用率の低さの実態を示しました。
『糖尿病患者の血糖管理実態とCGM(持続血糖測定)に関する調査』
⚫ 調査期間:2025年10月
⚫ 調査対象:日本全国、1型糖尿病・2型糖尿病のインスリン治療を受けている 20-80歳の男女
⚫ 調査人数:500名
⚫ 調査方法:インターネット調査
⚫ 集計方法:1型糖尿病・2型糖尿病各250ss(サンプルサイズ)となるように集計を実施
◼ 血糖値を知ることこそ、最大の治療である
北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟先生は、「糖尿病とはどんな病気であるか」といった基礎的な説明から、正しい理解と対策の重要性を紹介。毎年11月14日の『世界糖尿病デー』は、インスリンを発見したバンティング博士の誕生日であり、110(食前血糖値の上限)と140(食後血糖値の上限)という数字にも関連しているということをお話しいただきました。
山田先生は、糖尿病が世界的に増加し続けており、特に日本人の糖尿病患者の90%が2型糖尿病であること、そして一般的な誤解として「自堕落な生活をしている人がなる病気」というイメージがあるが、実際には日本人の糖尿病患者の60%は肥満ではない、ということを強調されました。続けて、日本人の40歳以上の2人に1人、高齢者では3人に2人が食後高血糖の状態にあり、タンパク質、油、食物繊維などは食後血糖値の上昇を抑制する効果を持ち、食事療法における糖質制限の有効性を説明しました。また、タンパク質、油、食物繊維、アルコールなどが食後血糖値の上昇を抑制する効果があることを示しました。
さらに、「敵を知りて己を知れば百戦危うからず。血糖値を知ることこそ、最大の治療」と紹介し、血糖測定の重要性と、自分の血糖値の変動を知ることで生活習慣を改善できることを強調しました。
◼ 急に発症する1型、自覚症状がないまま進行する2型糖尿病
星南さん、佐野慈紀さんのお二人を交えたトークセッションでは、それぞれの視点から糖尿病と向き合う日常で得た知識と経験についてお話しいただきました。18歳の夏休みに突然発症したという星南さんは、喉の渇き、体重減少などの症状から体調を崩し病院に行った際に1型糖尿病であると診断されたと振り返りました。一方、佐野さんは現役引退後、咳が止まらず病院に行ったところ軽い肺炎で入院し、その際の検査で2型糖尿病と診断されたと話し、当時は健康診断に行けていなかったことも明かしました。
山田先生によると、1型糖尿病は自己免疫現象により急に発症することが多く、口渇・多飲・多尿・体重減少などの症状が現れる一方で、2型糖尿病はじわじわと血糖値が上がっていき、自覚症状がないまま進行することが多く、血糖値が350から 400程度になって初めて自覚症状が出るため、健康診断を受けなければ気づかないことが多いと強調し、1型・2型糖尿病の違いをあらためて説明しました。
◼ 発症したことで得ることができた、より健康的な生活と挑戦したいというマインド
佐野さんは診断後、食事量を減らし運動を続けたものの、血糖値が200以下にならなかった経験を語り、その後の合併症として網膜症や心不全の問題も発生したと話しました。一方、星南さんは、1型糖尿病発症後、インスリン治療と血糖値コントロールが必要になり生活が大きく変わったと説明しました。しかし、発症したことでより健康的な生活習慣を身につけ、「いろんなことに挑戦したい、この命を活かしたい」というマインドになり、「今では誰よりも健康でいられている自信がある」と力強く語りました。
山田先生は、特に1型糖尿病患者が突然の発症に対して受け入れられない心理状態になることが多いと説明。その悲嘆というプロセスは、ショックや否認から始まり、徐々に受け入れていく過程があると述べました。一方、2型糖尿病患者は検診で異常を指摘されていたケースが多く、自己批判的になりがちだと指摘。患者それぞれの状況に寄り添い、過度な自己制限ではなく、生活を楽しみながら管理していくことの重要性だと話しました。
◼ 病気を敵ではなく味方として、自分の体に寄り添うことで人生も明るく
血糖管理や糖尿病との向き合い方について、CGM(持続血糖測定)を用いて治療している星南さんは、様々な挑戦をする上で不安を軽減してくれる治療法だと話しました。佐野さんも、CGMを使用し始めてから血糖値が安定してきたと語りました。山田先生は「現在の日本では保険適用の制限があるものの、インスリン注射をしている患者だけでなく、より多くの患者がCGMを使用できるようになることが望ましい」と強調し、血糖値をモニタリングすることの重要性について説明しました。
最後に、星南さんは糖尿病に対する正しい理解が社会に広がることの重要性を強調し、「病気を敵ではなく味方として寄り添っていくことで、人生も明るくなる」と同士にエールを送りました。佐野さんは、20年の闘病経験から「自分の体に寄り添うことの大切さを学んだ」と語り、健康意識を高めることの重要性を訴えました。
山田先生からは「糖尿病は自堕落な人がなる自業自得の病気ではない」「血糖値を知ること自体が治療になる」「糖尿病という名前由来の誤解を解き、正しい理解を広めることの重要性」の3点を強調。「保険適用のなかで使用できることは重要だが、CGMは本来より多くの方が使用していくべき」と締めくくり、患者・家族・医療者がつながる未来の医療の形を示しました。
トークセッション後には、浅野社長が加わり質疑応答を行いました。記者からはCGMの利用に関するメリットと課題に関する質問などが挙がり、星南さんは「SMBGの痛みのストレスから解放されつつ、予測する機能や睡眠時のストレスの減少、コントロールのしやすさ」、課題は「テープによる皮膚のかぶれ」と話しました。佐野さんは「常に情報を得られる安心感や睡眠時の低血糖検知」を利点に挙げました。山田先生は「世の中の人々がこのような機器の存在を知ることが最も重要」と、認知拡大の必要性を訴えました。
フォトセッションでは、山田先生、佐野さん、星南さん、浅野社長の4名が並び、和やかで前向きな雰囲気の中でイベントは幕を閉じました。
◼ デクスコム社(DexCom, Inc.)について
デクスコム社は 1999年に設立し、革新的なCGMシステムを通じて糖尿病をリアルタイムで管理できるよう世界中の多くの人々をサポートしています。本社は米国カリフォルニア州サンディエゴにあり、欧州、アジア/オセアニアに拠点を持ち、糖尿病治療のテクノロジーリーダーとなっています。デクスコム社はユーザー、医療従事者、プロバイダーのニーズを聴き、世界中の糖尿病の管理を簡略化、改善してきました。詳細については、
www.dexcom.com/ja-jp を参照ください。