調査レポート
医療法人社団Claraのプレスリリース
未治療者の半数以上が治療に前向きな一方、最大の壁は「費用」。若年層は”価格と安全性”、中年層は”信頼性”を求める傾向が明らかに。
AGA治療未経験者で興味がある189名を対象に意識調査を実施した結果、半数以上(51.3%)が「興味はあるが具体的な行動は未定」と回答しつつも、44.4%が「すぐにでも始めたい」「近いうちに始めたい」と高い関心を示していることが明らかになりました。治療をためらう最大の理由は「費用」(58.2%)であり、全体の約8割が希望する月額費用を「1万円以下」と回答。市場拡大には価格戦略が重要であることが示唆されました。
また、クロス分析からは、年代や性別によって治療への期待や不安が大きく異なる実態が浮き彫りになりました。20代は行動意欲が高いものの「副作用」と「費用」を強く懸念し、40代以上は「本当に効果があるか」という信頼性を最重視。さらに、女性は「抜け毛予防」を主目的とし、男性とは異なるニーズを持つ巨大な潜在市場であることも示されました。
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調査方法:WEBアンケート調査
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調査人数:189人
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調査主体:医療法人Clara
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調査時期:2024年1月~2025年8月
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*本調査結果を引用する場合は、必ず「医療法人社団Clara」のクレジットとURL(https://claramedical.or.jp/)へのリンクを使用してください。
調査結果サマリー
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治療への関心: 44.4%が「すぐにでも」「近いうちに」治療を始めたいと回答。潜在的な需要は非常に高い。
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最大の障壁: 治療を検討する上での不安は「費用が高そう」(66.1%)、ためらう理由は「お金の問題」(58.2%)が最多。
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許容費用: 80.4%が月額費用として「1万円以下」を希望。理想と現実の価格ギャップが課題。
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クリニック選び: 「費用が安いところ」(64.6%)がトップ。次いで「知名度・口コミが良い」(47.1%)、「医師やスタッフの対応が丁寧」(41.8%)と、価格と信頼性が重視される。
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年齢層による違い: 20代は「意欲は高いがリスクが不安」。40代以上は「効果への信頼性」を求める。
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男女間のニーズ差: 男性は「発毛」を、女性は「抜け毛予防」を重視。女性は副作用や費用に、より敏感。
各設問から見る詳細な結果と考察
Q1. 回答者の年齢 & Q2. 性別
回答者は20代後半から40代までが約7割を占め、薄毛を意識し始める主要な層の意見が反映されています。また、性別は男性が51.3%、女性が46.6%とほぼ半々であり、薄毛の悩みが性別を問わず広がっている現代の状況を明確に示しています。特に女性の回答比率の高さは、女性向け薄毛治療市場の大きなポテンシャルを示唆しています。
Q3. 髪の薄さが気になり始めたのはいつ頃からですか?
「40代以降」が23.8%で最多ですが、「20代」「30代」で気になり始めた層もそれぞれ約35%ずつ存在し、薄毛の悩み始める年齢が広範囲にわたっていることが分かります。若年層で悩みを抱える人が多いことは、早期治療への関心の高さにも繋がっていると考えられます。
Q4. AGA治療について、どのくらい関心がありますか?
「興味はあるが具体的な行動は未定」が51.3%と半数を占めるものの、「近いうちに始めたい」(29.1%)、「すぐにでも始めたい」(15.3%)を合わせると44.4%にのぼります。これは、AGA治療が身近な選択肢として広く認知され、行動に移す一歩手前の潜在顧客が非常に多いことを示しています。
Q5. AGA治療を検討する際に、不安や気になることは何ですか?
「費用が高そう」(66.1%)が突出しており、価格が治療への最大の心理的障壁であることがうかがえます。次いで「本当に効果があるか疑問」(38.6%)、「副作用が心配」(31.7%)と続きます。消費者は「コスト・効果・安全性」の3つの要素を総合的に評価し、一つでも納得できない点があれば治療をためらう傾向にあると考えられます。
Q6. 治療をためらっている理由は何ですか?
Q5の不安点がそのまま行動を妨げる理由となっています。「お金の問題」(58.2%)がトップであり、価格設定の重要性を裏付けています。また、「どのクリニックを選べばいいかわからない」(37.6%)、「情報が多すぎて比較できない」(28.6%)も上位にあり、消費者が情報過多の中で適切な意思決定ができずにいる「選択の麻痺」状態に陥っている可能性を示唆しています。
Q7. AGA治療を受けるとしたら、どんな効果に期待しますか?
「抜け毛を減らしたい」(55.0%)、「髪の量を増やしたい」(49.2%)という直接的な発毛・育毛効果が期待の中心です。さらに「見た目を若くしたい」(32.3%)、「自信をつけたい」(24.9%)といった、QOL(生活の質)の向上に繋がる内面的な効果への期待も高く、薄毛治療が単なる容姿の改善だけでなく、自己肯定感を高める手段として認識されていることが分かります。
Q8. どのような治療法に興味がありますか?
「内服薬」(51.3%)と「外用薬」(47.1%)という、医学的根拠のある標準的な治療法への関心が集まりました。一方で「サプリメント・育毛剤」(22.8%)や「オンライン診療」(21.7%)にも一定のニーズがあり、手軽さや利便性を求める層も存在します。治療法への関心は、効果への期待度と手軽さのバランスで決まっているようです。
Q9. AGA治療の月額費用として、いくらまでなら負担できると思いますか?
「1万円まで」(43.4%)と「5,000円まで」(37.0%)を合わせると80.4%に達しました。多くの人が無理なく継続できる低価格での治療を望んでいることが明確です。現在のAGA治療の平均的な価格帯と消費者の希望額には乖離があり、このギャップを埋めるサービスが市場の大多数を惹きつける鍵となります。
Q10. 今後、AGA治療を受けたいと思いますか?
「興味はあるが受けるかどうか未定」(48.1%)が最多であるものの、「受けたいがタイミングを見ている」(37.0%)、「受けたい(近いうちに)」(12.7%)を合わせると、約半数が治療に対して前向きな意向を示しています。何らかのきっかけ(価格、信頼できる情報、時間的余裕など)があれば、多くの潜在顧客が実際の治療へと移行する可能性を秘めています。
Q11. もし治療を受けるとしたら、どんなクリニックを選びたいですか?
「費用が安いところ」(64.6%)が圧倒的トップでした。消費者の価格感度がいかに高いかを物語っています。しかし、それに次いで「知名度・口コミが良いところ」(47.1%)、「医師やスタッフの対応が丁寧なところ」(41.8%)といった、信頼性や安心感に繋がる項目が重視されています。これは、単に安いだけでなく、「安くて信頼できる」というコストパフォーマンスの高さをクリニック選びの基準にしていることを示しています。
【クロス分析】から見えるターゲット別のインサイト
分析1:年齢層で見る「期待」と「障壁」
若年層は薄毛への危機感が強く、治療意欲は高いものの、経済的な制約と副作用への不安が大きなハードルとなっています。一方、中年層は費用よりも「投資に見合う効果が得られるのか」という信頼性を最も重視しており、実績や客観的なデータに基づいた丁寧な説明が求められます。
<データ>
20代: 「すぐにでも始めたい」「近いうちに始めたい」という高い意欲を持つ層の割合が他の年代より高い傾向にあります。一方で、不安要素として「副作用」(36%)、「費用」(67%)を挙げる割合が目立ち、許容できる月額費用も「1万円以下」が約90%を占めます。40代以上: 「興味はあるが具体的な行動は未定」という様子見の層が厚いです。不安要素として「本当に効果があるか」(51%)、「効果が続くのか」(36%)といった効果への疑念が「副作用」(34%)と同等以上に高くなります。
<考察>
20代の課題は「リスクとコスト」:若年層は薄毛の進行を食い止めたいという切実な思いが強く、行動意欲は高いです。しかし、経済的な制約が大きく、また副作用(特に性機能関連)への懸念が治療開始の直接的な障壁となっています。「始めたいのに、始められない」ジレンマを抱えている層と言えます。40代以上の課題は「信頼性と納得感」:ある程度薄毛が進行し、これまでの自己流ケアに限界を感じている層です。経済的な余裕は比較的あるものの、多額の投資に見合う効果が得られるのか、その効果は持続するのかという点に強い疑念を持っています。広告や宣伝文句だけでは動かず、信頼できる情報や実績を求めていると考えられます。
<示唆>
若年層向けアプローチ:低価格プランの提示: 「月額5,000円から始められる」といったエントリープランを明確に打ち出す。副作用への丁寧な情報提供: 副作用の発生率や具体的な内容、対処法について誠実に解説し、過度な不安を払拭するコンテンツ(医師監修の記事、Q&Aなど)を充実させる。オンライン診療の推進: 通院の手間や心理的ハードルを下げるオンライン診療は、多忙でコスト意識の高い若年層に響きやすい。中年層向けアプローチ:実績と症例写真の提示: 治療効果を客観的に示すビフォーアフター写真や、具体的な治療期間・費用を明記した症例を豊富に用意する。無料カウンセリングの強化: 効果の持続性や治療計画について、専門家がじっくり相談に乗る体制をアピールし、「納得してから始められる」安心感を提供する。返金保証制度の訴求: 「効果がなければ返金」といった保証制度は、投資リスクを懸念するこの層の背中を押す強力なフックになる。
分析2:性別で見る「ニーズ」と「懸念」
男性が「発毛」という攻めの改善を望むのに対し、女性は「抜け毛予防」という守りの改善を第一に考えています。また、女性は副作用や費用への懸念が男性より強く、より身体への負担が少ないとされる外用薬などに関心が向かう傾向があります。回答者の約半数が女性であることからも、女性の薄毛治療は極めて重要な市場と言えます。
<データ>
男性: 期待する効果として「髪の量を増やしたい」(57%)、「自信をつけたい」(31%)が女性より高い傾向にあります。治療法も「内服薬」への関心が強いです。女性: 期待する効果は「抜け毛を減らしたい」(63%)が「髪の量を増やしたい」(40%)を大きく上回っています。不安要素として「副作用」(38%)、「費用」(72%)への懸念が男性よりやや高く、興味のある治療法として「外用薬」「サプリメント」など、よりマイルドな選択肢に関心が分散しています。
<考察>
男性は「攻めの改善」、女性は「守りの維持」を重視: 男性は失われた髪を取り戻し、自信回復という内面的な変化まで期待する「発毛」志向が強いです。一方、女性は現状の悪化を防ぎたいという「抜け毛予防・維持」の意識が先行していることがうかがえます。これは、びまん性脱毛症など、男性のAGAとは異なる症状が多いことも影響していると考えられます。女性はより慎重で多角的な情報を求めている: 女性はホルモンバランスへの影響など副作用に敏感であり、内服薬だけでなく外用薬やサプリなど、より身体への負担が少ないとされる選択肢にも目を向けています。また、男性以上に費用への意識も高く、コストパフォーマンスをシビアに見ているようです。
<示唆>
女性向けマーケティングの重要性: 回答者の半数近くが女性であり、女性の薄毛治療は非常に大きな潜在市場です。メッセージの最適化: 「発毛」だけでなく「抜け毛を減らし、髪のハリ・コシを取り戻す」といった、女性の悩みに寄り添ったメッセージングが効果的。専用プランの開発: 女性向けの低刺激な外用薬やサプリメントを組み合わせたプラン、初回トライアルしやすい価格設定などが求められる。プライバシーへの配慮: 「周囲に知られそうで不安」という声に応え、完全個室やオンライン診療の利便性を強調する。
【分析3】治療への関心度 × 重視するクリニックの条件
<データ>
高関心層(すぐにでも/近いうちに始めたい): 「費用が安い」(68%)、「オンライン診療」(41%)、「通いやすい立地」(40%)など、治療開始のハードルを下げる実利的な項目を重視する傾向が強いです。低関心層(興味はあるが未定): 「知名度・口コミが良い」(51%)、「医師やスタッフの対応が丁寧」(45%)、「保証制度」(27%)など、信頼性や安心感を担保する情報をより重視しています。
<考察>
顧客のフェーズによって求める情報が全く異なる: これはマーケティングファネルの典型的な構造を示しています。高関心層(比較検討・決定段階): すでに治療の意思は固まっており、「どこで、いくらで、どうやって始めるか」という具体的な情報を探しています。彼らにとっては、利便性と価格が最終的な決め手となります。低関心層(情報収集・認知段階): まだ治療を受けるかどうかも決めておらず、「本当にこの治療は信頼できるのか?」「自分に合っているのか?」という根本的な疑問を抱えています。この段階で価格や利便性だけを訴求しても響かず、まずは信頼を醸成することが最優先です。
<示唆>
Webサイトや広告のコンテンツ戦略:高関心層向け(刈り取り広告、料金ページ): 料金プランを明確かつ分かりやすく提示する。オンライン診療の予約フローを手軽にする。初回の割引キャンペーンなどを打ち出す。低関心層向け(SEOコンテンツ、SNS、記事広告): 医師監修によるAGAの原因解説、治療法の比較、患者の体験談、口コミの紹介など、第三者の視点を取り入れた客観的で信頼性の高いコンテンツを充実させる。
総括と今後の展望
今回の調査から、AGA治療未経験者市場は大きなポテンシャルを秘めている一方で、多くの人が「費用」「効果への不安」「情報の不透明性」という壁に直面し、治療開始に踏み切れずにいる実態が明らかになりました。
今後のAGA治療市場で成長を遂げるためには、以下の3つの戦略が鍵となります。
ペルソナ別のコミュニケーション戦略:
「価格と安全性を重視する若者」「信頼性を求める中年層」「予防を目的とする女性」など、ターゲットごとに異なる不安や期待に寄り添った情報発信とサービス設計が不可欠です。透明性の高い価格戦略:
消費者の希望と現実の価格とのギャップを埋める、月額1万円以下の始めやすいプランや、サブスクリプションモデルの導入が市場拡大の起爆剤となり得ます。「信頼」を醸成する情報提供:
豊富な症例データや利用者の声、医師による丁寧な解説コンテンツ、効果保証制度などを通じて、消費者の「本当に効果があるのか?」という根本的な疑問に誠実に応える姿勢が、最終的に選ばれるクリニックの条件となるでしょう。
本調査が、AGA治療を検討するすべての方々、ならびに業界関係者の皆様にとって、有益な情報となることを期待しております。
調査元
医療法人社団Clara
Men’s Clara https://mens-clara.com/
AGAページ https://claramedical.or.jp/