アッヴィのプレスリリース
アッヴィ、ウパダシチニブについて、成人および青少年の尋常性白斑患者さんを対象に評価した第3相ピボタル試験における良好なトップライン結果を発表
ー ウパダシチニブについて同一のデザインで実施している2つの第3相試験において、48週時におけるTotal Vitiligo Area Scoring Indexのベースラインからの50%以上の減少(T-VASI 50)と、Facial Vitiligo Area Scoring Indexのベースラインから75%以上の減少(F-VASI 75)の双方の主要評価項目(co-primary endpoints)を達成1
ー 両試験で順位付けした主な副次評価項目を達成1
イリノイ州ノースシカゴ、2025年10月29日(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、成人および青少年の非分節型白斑(Non-Segmental Vitiligo、以下 NSV)患者さんを対象とした、同一のデザインで実施している2つの第3相試験(Study 1、Study 2)について、良好なトップライン結果を発表しました。これらの試験では、当該患者さんを対象として、ウパダシチニブ(15 mg、1日1回投与)の有効性および安全性を評価しました1。NSVは、尋常性白斑の中で最も一般的な(90%以上の患者さんにみられる)タイプであり、身体の両側に左右対称の白斑が現れることが特徴です2-4。
アッヴィのvice president兼global head of immunology clinical developmentであるKori Wallace, M.D., Ph.D.は次のように述べています。「尋常性白斑は、単なる皮膚疾患ではありません。患者さんの自信、アイデンティティおよび日常生活に深刻な影響を及ぼし得る慢性自己免疫疾患です。尋常性白斑において、色素再沈着を得るために承認されている全身薬物療法はありません。これらの第3相臨床試験結果は、患者さんへの支援と革新的ソリューションを提供するために免疫領域におけるポートフォリオを拡大するというアッヴィの取り組みを象徴する重要なマイルストーンです」
Total Vitiligo Area Scoring Index(T-VASI)は全身の色素脱失範囲を評価する指標であり、一方、Facial Vitiligo Area Scoring Index(F-VASI)は、顔面の色素脱失範囲を評価する指標です。顔面は、最も目立つ部位であり、NSVと共に生きる人々にとって精神的かつ社会的な影響が大きい部位です。2つの試験ともに、ベースライン時点で約70%の患者さんがT-VASIスコア10超を示しました。いずれの試験でも、ウパダシチニブ群はプラセボ群に比較して、48週時における主要評価項目(co-primary endpoints)であるT-VASI 50(T-VASIスコアのベースラインから50%以上の減少)およびF-VASI 75(F-VASIスコアのベースラインから75%以上の減少)の双方を達成しました。また、両試験で、ウパダシチニブ群ではプラセボ群と比較して、48週時のF-VASI 50を含む順位付けした主な副次評価項目において統計学的に有意な差が認められました1。
主要な有効性結果を以下に示します。
| 第3相試験の有効性結果1 | ||||
| Study 1 | Study 2 | |||
| ウパダシチニブ 15mg(N=206)、% | プラセボ(N=102)、% | ウパダシチニブ 15mg(N=205)、% | プラセボ(N=101)、% | |
| 主要評価項目(co-primary endpoints) | ||||
| 48週時のT-VASI 50 | 19.4 | 5.9 | 21.5 | 5.9 |
| 48週時のF-VASI 75 | 25.2 | 5.9 | 23.4 | 6.9 |
| 副次評価項目 | ||||
| 48週時のF-VASI 50 | 48.1 | 12.7 | 43.4 | 12.9 |
コート・ダジュール大学皮膚科教授兼チェアのThierry Passeron, M.D., Ph.D.は次のように述べています。「多くの尋常性白斑患者さんがたどる経過には、不確実性や失望が伴い、全身治療薬がないことで特徴づけられます。今回の良好な結果は、原因となっている炎症を標的とすることで、目に見える成果を得られる全身治療の選択肢を提供できる可能性を示しています」
ウパダシチニブの安全性プロファイルは、両試験ともに、承認済みの適応症で認められた安全性プロファイルと概ね一致していました。また、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。2つの試験ともに、48週時のウパダシチニブ投与群で特に高頻度に認められた試験治療下で発現した有害事象(TEAE)は、上気道感染、ざ瘡および上咽頭炎でした。Study 1では、ウパダシチニブ15 mg群およびプラセボ群でそれぞれ3.9%および4%の患者さんに試験治療下で発現した重篤な有害事象(TESAE)が認められました。Study 2では、ウパダシチニブ15 mg群およびプラセボ群でそれぞれ2%および1%の患者さんにTESAEが認められました。両試験において、主要心血管事象(MACE)および静脈血栓塞栓症(VTE)と判定された患者さんは認められませんでした。悪性腫瘍は3件報告され、Study 1およびStudy 2の両プラセボ群で1件ずつ(各1%)、Study 1のウパダシチニブ15 mg群で1件(0.5%)が報告されました(生殖器腫瘍)。両試験においてウパダシチニブ投与群で死亡は報告されませんでした。Study 2のプラセボ群で1件の死亡が報告されました1。
NSVに対するウパダシチニブの使用は未承認であり、その安全性および有効性については規制当局の評価を受けておりません。
尋常性白斑について
尋常性白斑は、色素産生細胞(メラノサイト)の減少・消失を特徴とする慢性自己免疫疾患であり、これにより皮膚に白斑が生じます。白斑は、身体のあらゆる部位に、時期を問わず現れることがあります。尋常性白斑は世界的に最も一般的な色素脱失疾患であり、世界人口の約0.5%~2.3%が罹患しています。非分節型白斑(NSV)は尋常性白斑の中で最も多いタイプであり、患者さん全体の約84%を占めています。NSVは通常、身体の両側に左右対称の白斑として現れます。部位はさまざまですが、多くの患者さんは顔、足、手、鼠径部などの重要な部位に白斑が生じると報告されています。尋常性白斑と共に生活する上での日々の困難さは心の不調につながることもあり、うつや不安の有病率が高くなっています。
Viti-Up臨床試験プログラムについて
ウパダシチニブM19-044試験は、単一の治験実施計画書の中で同一のデザインで実施される2つの第3相試験(Study 1およびStudy 2)で構成されています。2つの試験は、無作為化、治験実施施設、データ収集、解析および報告に関して互いに独立しています。この2つの試験は、非分節型白斑(NSV)を有する成人および青少年(12歳以上)の患者さんで全身療法が適格である方を対象としてウパダシチニブの有効性、安全性および忍容性を評価することを目的としました。両試験のA期では、患者さんを48週間、ウパダシチニブ15 mgを1日1回投与する群またはプラセボを投与する群のいずれかに2:1の割合で無作為に割り付けました。A期を完了した患者さんはB期(112週間の非盲検継続投与期間)に移行することができ、B期ではすべての患者さんがウパダシチニブ15 mg 1日1回の投与を受けました。Study 1およびStudy 2のA期とB期を合計すると、160週間に及びます。この2つの試験では、全世界の90施設で614名のNSV患者さんが無作為割付けされました。これらの試験に関する詳細はwww.clinicaltrials.gov(NCT06118411)に掲載されています。
主要評価項目(co-primary endpoints)は、成人および青少年のNSV患者さんを対象として、プラセボ群と比較したウパダシチニブ15 mg群の48週時におけるTotal Vitiligo Area Scoring Index(T-VASI)50の達成(T-VASIのベースラインから50%以上の減少と定義)および48週時におけるFacial Vitiligo Area Scoring Index(F-VASI)75の達成(F-VASIのベースラインから75%以上の減少と定義)に基づくものとしました。
副次評価項目には、48週時におけるF-VASI 50の達成(F-VASIのベースラインから50%以上の減少と定義)および24週時におけるF-VASI 75の達成(顔面の白斑面積におけるベースラインから75%以上の減少と定義)が含まれています。これらの評価項目は、NSVと共に生きる人々にとって最も目立つために精神社会的な影響が大きい部位である顔面について、色素再沈着の程度および時期を評価することを目的としました。Study 1では、対象集団の一部を対象に顔面の色素再沈着を評価するために3Dデジタル画像解析を実施しました。
ウパダシチニブについて
アッヴィの科学者が発見し開発したウパダシチニブはJAK阻害剤であり、複数の免疫介在性炎症性疾患を対象に研究が進められています。ヒト白血球の細胞アッセイにおいて、ウパダシチニブはJAK2/JAK2を介したSTATリン酸化に比較して、サイトカインにより誘導されるJAK1およびJAK1/JAK3を介した STATリン酸化をより強力に阻害しました。特定のJAK酵素の阻害が、治療効果や安全性にどのように関連しているかは現時点では明らかとなっていません。
現在、ウパダシチニブは円形脱毛症、化膿性汗腺炎、高安動脈炎、全身性エリテマトーデスおよび尋常性白斑を対象とする第3相試験が進行中です。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製とソリューションの提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。LinkedIn、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)やYouTubeでも情報を公開しています。
References:
1.AbbVie. Data on file ABVRRTI82042
2.Ezzedine K, et al. Lancet. 2015;386(9988):74–84
3.Mazzei Weiss ME. Cutis. 2020;105(4):189–90
4.Ezzedine K, Lim HW, Suzuki T, et al. Revised classification/nomenclature of vitiligo and related issues: the Vitiligo Global Issues Consensus Conference. Pigment Cell Melanoma Res. 2012;25(3):E1-13
5.RINVOQ [Package Insert]. North Chicago, IL: AbbVie Inc.; 2025