株式会社コーセーのプレスリリース
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)が研究分野を通した社会貢献の取り組みとして支援している公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団(所在地:東京都中央区、理事長:小林 一俊)は、2025年11月27日に当財団が研究助成を行う研究者を表彰・授賞する「第36回 表彰・贈呈式」をパレスホテル東京(東京都千代田区)にて開催しました。また、当財団は2026年4月1日より「コーセー小林スポーツ財団」と合併して「コーセー小林財団」となり、これからも研究助成とスポーツ助成の両面から、美と健康への貢献を続けていきます。
コーセーコスメトロジー奨励賞 表彰者
徳島大学 石田 竜弘 氏
左:公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団 理事長 小林 一俊
右:株式会社コーセー 取締役 商品本部副本部長 兼 研究所長 小椋 敦子
コスメトロジー研究助成 受賞者
コーセーコスメトロジー研究財団は、多様かつ広範な学際領域に跨るコスメトロジー(化粧品学)に関する研究へ助成を行うことにより、広く生活者の保健衛生の向上を図り、美しく豊かな人間生活の実現に寄与することを目的として、1990年にコーセーの創業者である小林孝三郎により設立されました。以来毎年、化粧品に関連する幅広い学術分野を対象に、優れた研究に対して助成を行っています。
近年の助成した研究の中でも特に優れた成果をあげた研究者を表彰する「コーセーコスメトロジー奨励賞」として、今年度は徳島大学の石田竜弘氏を表彰しました。また、「コスメトロジー研究助成」として、全国の大学、病院、公的研究機関からの166件の応募の中から、選考委員の厳正な審査により選ばれた32名の研究者に対して助成金贈呈を行いました。
当財団は2026年4月1日より「コーセー小林スポーツ財団」と合併して「コーセー小林財団」となり、コスメトロジー研究助成と、スポーツ選手の育成・強化を支援するスポーツ助成事業の、二つの助成活動を担っていきます。
■小林 一俊 理事長挨拶 要旨
当財団は1990年に設立され、化粧品科学の発展には、化学・生物学などの自然科学に加えて、心理学や、文化・芸術といった幅広い分野の融合が必要であり、これを「コスメトロジー」と名付けて、財団の名称にしてまいりました。設立以来35年にわたり、当財団はコスメトロジー研究への支援活動を続け、これまでの助成件数は1,000件を超えて、助成金の累計は16億5千万円になりました。そして今回、新たに受賞される皆さまが、新しい研究成果を生み出され、化粧品の未来への人々の期待に応える日が来ることを祈っています。
ここでひとつお知らせがあります。当財団「コーセーコスメトロジー研究財団」と、コーセーグループのもう一つの財団「コーセー小林スポーツ財団」が、来年4月1日に合併することになりました。合併した財団の新しい名称は「コーセー小林財団」です。コーセー小林財団は、これまでのコスメトロジー研究助成と、スポーツ選手の育成、強化を支援するスポーツ助成事業の、二つの助成活動を行う財団になります。私たちは、コスメトロジーとスポーツの分野を通して、美と健康を科学的・社会的に探究し、人々の幸福と心豊かな社会の実現に貢献してまいります。そして、自分らしく輝ける社会づくりをめざして、これから当財団は、研究助成とスポーツ助成の両輪で活動を進めてまいります。
■岩橋 槇夫 選考委員会委員長 選考経過報告 要旨
コスメトロジー研究助成は、例年通り、第一分野「素材・物性に関する分野」、第二分野「生体作用・安全性に関する分野」、そして第三分野「精神・文化に関する分野」の3つの分野に分けて公募しました。その結果、今年の応募総数は3分野合わせて166件と、過去最高の応募件数になりました。応募課題について、分野ごとに3つの分科会で予備選考を行いました。予備選考では、各分野の専門委員により、研究課題の独創性・発展性・実用性と、コスメトロジーへの波及性を評価し、さらに総合評価を加えて、それぞれの応募課題を厳正に審査しました。予備選考の審査結果に基づいて、選考委員会で採択候補者を選出し、最終的に理事会の承認を得て、本日受賞される32件の研究課題を採択しました。コスメトロジー研究助成の採択率は例年30%程度ですが、今年の採択率は20%を切り、この30年間で最も厳しい選考になりました。
今年助成を受けられる研究課題を見てみますと、第一分野では、新しい発想による化粧品素材の開発テーマが、第二分野では、皮膚の機能と構造に新たな知見をもたらすテーマが多く採択されており、また第三分野では、化粧品ならではの興味深いテーマが幅広い分野から選ばれています。
いずれも研究課題も、最先端の科学・技術に、コスメトロジーならではの発想を組み合わせた、化粧品科学として広がりが感じられる、今後が楽しみなテーマと言えます。
参考情報
◇コーセーコスメトロジー奨励賞
2020年の本財団創立30周年にあたり創設された表彰制度で、本財団の研究助成採択者の中から、コスメトロジー研究の発展に功績があった研究者を表彰することにより、更なる研究の進展を期待するとともに、これをインセンティブとして、コスメトロジー研究の学術論文による成果公表を奨励し、研究成果の社会還元の促進を目的とするものです。
6回目となる本年度は、2018年以降の助成採択者の中から、今年最も優れた論文実績が認められた研究者を表彰しました。
◇コスメトロジー研究助成
本助成事業では、様々な専門分野の研究者にコスメトロジー研究への参画を呼びかけ、人々の健康や美容の増進に役立ち、美しく豊かな生活の実現への貢献が期待される研究課題に対して助成を行います。
◇特定課題研究助成
特定課題研究助成は、人々の健康的で美しく豊かな生活の実現をめざして、近未来に課題解決が期待されるテーマを「特定課題」として公募し、この課題に独創的・先駆的発想をもって果敢に取り組む研究プロジェクトに対して助成を行うプログラムです。
2024年度に「細胞のリプログラミングによる若返り研究」をテーマとして公募し、4件が採択されました。
◇国際交流支援助成・学術集会支援助成
研究者の海外派遣費用や、コスメトロジーおよび関連研究の学会などの開催費用への助成を行います。
■ 2025年度 コーセーコスメトロジー研究財団 表彰・助成実績
○コーセーコスメトロジー奨励賞
表彰候補者(2018年以降の研究助成採択者) 47 名
受賞者 1 名
表彰内容 表彰状および副賞 200万円
○ コスメトロジー研究助成
応募総数 166 件
助成件数
1)素材、物性に関する分野 11 件
2)生体作用、安全性に関する分野 15 件
3)精神、文化に関する分野 6 件 計 32 件
助成金総額 6,000万円 (1件あたりの助成金額 200万円、100万円、50万円)
○ 特定課題研究助成「細胞のリプログラミングによる若返り研究」(2024年より継続)
助成件数 4 件
助成金総額 4,000万円 (1件あたりの助成金額 1,000万円、計3年間)
○ 国際交流支援助成 5 件
○ 学術集会支援助成 9 件
◇2025年度 コーセーコスメトロジー奨励賞 受賞者(敬称略)
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所属機関・氏名 |
研究課題 |
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徳島大学 大学院 医歯薬学研究部 薬物動態制御学分野 石田 竜弘 |
ポリエチレングリコール(PEG)含有化粧品によって誘導された抗PEG抗体によるCOVID-19-mRNAワクチン投与時のアナフィラキシー反応誘導現象の検証(2021年 第32回コスメトロジー研究助成受賞) |
◇2025年度 コスメトロジー研究助成 受賞者(敬称略、分野別五十音順)
第1分野: 素材、物性に関する分野
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所属機関・氏名 |
研究課題 |
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奈良先端科学技術大学院大学 メディルクス研究センター |
LbL-3D Skinモデル:弾性制御とハイスループット評価技術の確立 |
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和歌山県立医科大学 薬学部 |
超硫黄含有イオン液体による抗酸化外用製剤の開発と評価 |
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公益財団法人 相模中央化学研究所 磯田 恭佑 |
塗布可能な刺激応答型発光性液体材料による応力可視化技術の構築 |
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東北大学 多元物質科学研究所 殷 澍 |
水熱プロセスによるセリウム層状化合物の創製と新規パール顔料としての応用 |
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京都大学 大学院 エネルギー科学研究科 |
スキンケア製品開発を加速する次世代皮膚モデルの構築 |
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名古屋市立大学 大学院 薬学研究科 |
新規還元技術による3-ヒドロキシプロリンの量的供給と皮膚機能性の解明 |
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関西大学 化学生命工学部 |
トポロジカルゲル微粒子を用いた遅効型増粘剤の開発 |
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大阪大学 大学院 薬学研究科 |
皮膚への浸透を可視化できる有機分子の創製とイメージングへの応用 |
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山形大学 理学部 田村 康 |
出芽酵母を用いたスクアレン大量生産技術開発 |
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同志社大学 理工学部 |
紫外線照射により老化防止成分を放出する新規高分子の開発 |
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三重大学 大学院 工学研究科 |
水のナノ空間分解分子状態計測に基づく化粧品と皮膚の保湿・保水メカニズムの解明 |
第2分野: 生体作用、安全性に関する分野
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所属機関・氏名 |
研究課題 |
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北海道大学 病院皮膚科 |
遊走2型自然リンパ球を介した皮膚保護機序解明 |
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慶應義塾大学 医学部 |
皮膚角層における常在菌クロストークの宿主への影響 |
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静岡県立大学 大学院 食品栄養環境科学研究院 伊吹 裕子 |
皮膚温度の上昇によるヌクレオチド除去修復因子の核小体への移行と光老化への関与 |
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熊本大学 大学院 生命科学研究部 |
健康長寿モデル動物ハダカデバネズミにおける皮膚色制御メカニズムの解明 |
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地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所 景山 達斗 |
毛包オルガノイドを用いたセロトニンの発毛促進作用の理解 |
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近畿大学 産業理工学部 |
GPR30依存的スフィンゴ脂質代謝経路の再構築を介した皮膚バリア恒常性維持機構の解明 |
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大阪大学 大学院 薬学研究科 |
顆粒層バリア機能に着目した新たな保湿成分の開発 |
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防衛医科大学校 防衛医学研究センター |
ラマンイメージングを用いた表皮幹細胞バイオマーカーの探索 |
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東京大学 定量生命科学研究所 |
ケラチノサイト分化に伴うクロマチン高次構造変化の可視化 |
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岡山理科大学 大学院 理工学研究科 |
角化細胞に内在する苦味受容体の賦活化で細胞老化を抑制する |
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名古屋大学 環境医学研究所 |
新規線維化促進分子に着目した皮膚線維化メカニズムの解明 |
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北海道大学 遺伝子病制御研究所 |
皮膚の創傷治癒を制御するメカノセンサー微小管の役割 |
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福島県立医科大学 腎臓高血圧内科学講座 |
表皮や毛包の向きを整える線維芽細胞の新しい役割の解析 |
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理化学研究所 生命医科学研究センター |
角層pHを標的としたヒト角層バリア機能の制御技術の開発 |
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京都大学 大学院 医学研究科 |
腸内微生物叢に着目したアトピー性皮膚炎の新規治療法の開発 |
第3分野: 精神、文化に関する分野
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所属機関 |
研究課題 |
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京都府立医科大学 大学院 医学研究科 |
分光学的解析手法を用いた細胞外基質の分子構造および空間的階層構造の解析-シワ・たるみの予防- |
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神戸大学 大学院 科学技術イノベーション研究科 和泉 慎太郎 |
感性技能の可視化と伝達を実現する化粧動作センシング・提示技術の研究 |
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東京都市大学 理工学部 |
自己光混合法による皮膚の非接触高精度状態評価法の開発 |
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関西学院大学 大学院 社会学研究科 |
「心なおし」としての化粧-ハレ・ケ・ケガレのコスメトロジー |
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明海大学 歯学部 |
顔貌と調和する歯の色の科学的解明一フェイススキャナーと色彩解析による新たな補綴設計指針の提案一 |
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東邦大学 医学部 |
親とのスキンシップで子どもの安心感が育まれる脳内基盤の解明 |
◇公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団Webサイト
URL:https://www.kose-cosmetology.or.jp
表彰された研究課題の概要等も掲載しています。財団へのお問い合わせは、上記ウェブサイトよりお願いいたします。