宴会シーズン突入、「二日酔い」になりたくない!医師に聞く“翌日のパフォーマンスを下げない”お酒の飲み方

大正製薬株式会社のプレスリリース

年末年始、忘年会や新年会で“乾杯”の機会が増える季節。翌朝、鏡に映るむくんだ顔や、ぼんやりした頭で「昨日、飲みすぎたかも…」と後悔した経験はありませんか? 実は、飲みすぎで起こる“翌日のだるさ”や“集中力の低下”は、単なる「二日酔い」ではなく、体内の水分・代謝バランスの崩れによる身体的・精神的なパフォーマンスの低下です。

大正製薬が 2025 年 11 月に全国の 20 歳以上の男女 1000 人(二日酔いを経験したことがある人のみ対象)を対象に実施したインターネット調査によると、「二日酔いを複数回経験したことがある」という人は1000人中415人と4割強を占めました。

二日酔いの経験者に「実際に効果を感じた二日酔い対策」を聞いたところ、「飲む前に軽く食事を取る(空腹で飲まない)」(183人)、「飲む前にウコンやタウリンなどを含むドリンクやサプリを飲む」(130人)、「ゆっくり飲む・ペースを意識して飲む」(118人)、「お酒と一緒に水やお茶を飲む(チェイサーを欠かさない)」(115人)、「十分な休養・睡眠を取る」(101人)といった対策をしている方が多くいました。

済生会横浜市東部病院の谷口英喜先生によると、翌日の体調不良の本質は、“脱水”と“肝臓の疲弊”にあるということ。アルコールの分解には多くの水とエネルギーが消費され、肝臓がフル稼働した結果、体全体の代謝とエネルギー供給が低下してしまうのです。

年末年始の宴会シーズン、お酒を飲んでも翌日のパフォーマンス低下に響きづらいお酒の飲み方を谷口英喜先生に伺います。

【監修】済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/栄養部担当部長 医師 谷口英喜先生

麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理のエキスパート。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-D メディカルアドバイザー。1991 年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。2024 年 5 月に新刊『熱中症からいのちを守る』(評言社)が刊行。その他の著書『いのちを守る水分補給~熱中症・脱水症はこうして防ぐ』(評言社)など。 2025 年 6 月 20 日には新著『「現代バテ」即効回復マニュアル』発売予定(評言社)。2023 年から、医療従事者の生涯教育サイト『谷口ゼミ』(https://taniguchi-seminar.com/)を開塾。

■翌朝の“ぼんやり感”は「脱水」のサイン 

お酒を飲むとトイレが近くなるのは、アルコールが抗利尿ホルモンの分泌を抑えるため。体は水を保持できず、血液が濃縮し、“細胞レベルの脱水”が起こります。同時に、肝臓はアルコール分解のためにブドウ糖と水分を大量に消費。その結果、翌朝には血糖値が下がり、脳へのエネルギー供給が不足して「頭が働かない」「体が重い」といった状態につながります。お酒を沢山飲んだ後に、「〆のラーメンとかお茶漬け!」などを食べたくなりませんか?実は、それが、ブドウ糖を大量に消費した結果、低血糖になっているサインなのです。

“お酒で疲れる”というよりも、正確には“脱水と低エネルギー”で体が動かなくなっている状態。特に冬は、夏季のように積極的に水分摂取をしないことや暖房による乾燥などによって脱水が進みやすく、知らない間に脱水が進みやすくなるともいえます。

■二日酔いにならない飲み方と翌朝ケア 5つのルール

 ①空腹で飲まない 

空腹でお酒を飲むとアルコールが一気に吸収され、血中濃度が急上昇します。食事をとってから飲むことで、吸収をゆるやかにし、肝臓への負担を軽減できます。宴会スタートのおすすめおつまみは、チーズ、枝豆、ゆで卵、ナッツなど、脂質とたんぱく質を含む軽いおつまみです。

②「1 杯のお酒に 1 杯の水」――チェイサーを欠かさない 

アルコール 1g につき約 10 倍の水分が排出されるといわれています。お酒 1 杯につき水 1 杯をセットにすることで、血中アルコール濃度を下げ、脱水を防げます。

 ③魚介のおつまみはマスト 

飲酒翌日のだるさは、肝臓が休めていないサイン。肝臓の機能を高めるタウリンが摂れるイカ、タコ、しじみ、アサリなどの魚介類をおつまみにマストで加えると、アルコール分解酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの分解を促進します。皮ごといただくことでグリシンの睡眠の質向上効果も期待できます。

飲む前にタウリンを摂ると、翌朝の回復が違いますし、しじみ汁やアサリの味噌汁は、脱水解消にもつながる “翌朝リセット食”としても理想的です。

④翌朝は“脱水+低血糖”を意識したリカバリー

翌朝の頭痛やだるさの多くは脱水と低血糖が原因です。起床後は経口補水液やスポーツドリンクで電解質を補い、お粥・うどん・果物・味噌汁など、ブドウ糖を含む軽い食事をとりましょう。代謝を高めるビタミンB 群、細胞を修復してくれるたんぱく質を含む卵や納豆、タウリンを含む焼き魚やしじみ汁で回復が早まります。無理な運動やサウナで汗をかくと脱水が進んでしまうので避けましょう。

■知っておきたい、二日酔いを防ぐための栄養素 

二日酔いは「アルコールが残っている」状態ではなく、「肝臓と細胞が回復しきっていないこと」。タウリンを中心に、ビタミン B 群や電解質、アミノ酸(オルニチン・グリシンなど)など豊富な栄養素を組み合わせることで、肝臓・神経・水分バランスをトータルで守ることができます。

タウリンで代謝を整え、グルタチオン系(システイン・ビタミン C・B 群)で酸化ダメージを防ぎ、電解質とアミノ酸でエネルギー代謝や水分維持を助ける…こういった“多層防御”こそが、翌日のパフォーマンスを守る最強の二日酔い対策です。

・肝臓をサポートする栄養「タウリン」 

二日酔い対策でまず注目したいのが、イカ・タコ・貝類などに多く含まれる「タウリン」です。

タウリンは、肝臓内で働く解毒酵素を助け、アルコール代謝の過程で発生する有害物質アセトアルデヒドの分解・排出を促進します。

さらに、細胞内の浸透圧を調整して水分・ミネラルのバランスを保つため、脱水による頭痛や倦怠感を軽減。近年の研究では、タウリンが細胞内のカルシウムバランスを整え、神経伝達を安定させる働きも報告されています。タウリンは「肝臓を助ける成分」であると同時に、「脳のパフォーマンスを維持する成分」でもあります。肝臓の代謝を支えながら全身の細胞機能を守る“細胞レベルのリカバリー成分”として、飲酒後の疲労回復に大きく役立ちます。

・肝細胞を守るビタミン E・ポリフェノール類(抗酸化系) 

アルコール代謝の際に発生する活性酸素を中和し、肝細胞を守る抗酸化栄養素です。血流を改善し、むくみや肌のくすみを防ぐ効果も。ポリフェノールは血管の弾力を保ち、脳のパフォーマンス維持にも貢献します。 アーモンド、オリーブオイル、赤ワインに含まれます。

・細胞ダメージを軽減する、「システイン(アミノ酸)+ビタミン C+ビタミン B6」の組み合わせ

この 3 つの栄養素は、肝臓の中で「グルタチオン」という強力な抗酸化物質を作り出すために欠かせない組み合わせです。グルタチオンはアルコール分解によって発生する酸化ストレスを抑え、アセトアルデヒドを無毒化し、細胞のダメージを修復します。とくに飲み会が続く時期は、肝臓でのグルタチオン合成量が減少するため、これらの栄養素を意識的に摂ることが大切です。

システインは卵、鶏むね肉、ブロッコリー、にんにく、ビタミン C は柑橘類、キウイ、パプリカ、ビタミン B6はマグロ、バナナ、にんにくに豊富です。

・エネルギーを作る ビタミン B 群(B1・B2・B6・B12) 

ビタミン B 群は、アルコール代謝の要ともいえる“エネルギー生産系”を支える栄養素です。

アルコールを分解するためには大量の ATP(エネルギー)が必要で、ビタミン B 群が不足すると代謝が滞り、疲労や頭痛、倦怠感が強くなります。

また、B2・B6・B12 は肝臓の解毒反応を助け、アルコールによる炎症の回復を促進。

「飲み疲れ」「だるさ」を防ぐための基本栄養として、普段から意識的に摂取しておきたい成分です。

ビタミン B1 は豚肉、うなぎ、玄米、B2 は卵、乳製品、レバー、B6 は魚類、鶏肉、B12 はしじみ、あさり、サンマ、レバーに豊富に含まれます。

・アンモニアを無毒化するオルニチン(アミノ酸)

オルニチンは、肝臓で発生したアンモニアを無毒化する「尿素回路」を支えるアミノ酸です。

アルコールを分解する際、体内ではアンモニアや疲労物質が発生しますが、オルニチンはそれらを速やかに処理し、肝臓の負担を軽減。飲酒後の「だるさ」「集中力の低下」の原因となる肝疲労を防ぎ、翌朝の回復を助けてくれます。しじみ、エノキダケ、チーズ、ヒラメなどに豊富です。

・胃粘膜の修復を助ける グルタミン(アミノ酸) 

グルタミンは、胃腸粘膜の修復を助けるアミノ酸で、荒れた胃壁の再生をサポートします。

また、免疫細胞のエネルギー源にもなるため、飲みすぎで弱った体を内側から立て直す働きにも期待できます。腸内環境を整えることで、肝臓への負担を間接的に軽減する効果も期待できます。

鶏むね肉、豆腐、納豆、卵に豊富です。

・脱水を防ぐ 電解質(ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど)

アルコールの利尿作用によって体から失われるのが、これらの電解質です。水分と同時にナトリウムやカリウムが不足すると、筋肉のけいれん、頭痛、倦怠感を引き起こしやすくなります。

飲酒後や翌朝は、水分と電解質を一緒に補うことが大切です。

おつまみでは海藻類、飲んだ後の味噌汁や梅干し入りお茶漬け、経口補水液などで摂取すると良いでしょう。

・アルコールによる酸化ダメージを抑制するクルクミン(ウコン) 

ウコンに含まれるクルクミンは、肝臓の解毒酵素を活性化し、アルコールによる酸化ダメージを抑えるポリフェノール成分です。強い抗炎症作用もあり、飲酒による肝細胞の炎症やむくみの軽減に役立ちます。

ただし、クルクミンは脂溶性のため、カレーなど、油分と一緒に摂る食品だと吸収率が高まります。

・睡眠の質低下をセーブする グリシン(アミノ酸)

グリシンは、睡眠の質を高めて肝臓の夜間修復を促すアミノ酸です。アルコール代謝で発生する炎症を抑え、翌朝の“だるさ”を軽減してくれます。さらに、深い眠り(ノンレム睡眠)を誘導する作用があるため、飲酒後の浅い睡眠を補う働きもあります。

魚の皮部分に豊富なのでおつまみの魚は皮ごと食べるのがおすすめ。エビ、ホタテ、豚足などにも豊富です。

これらの二日酔い対策も大切ですが、一番重要なことは、もちろん過度の飲酒をしないことです。

飲みすぎた翌朝を後悔するより、リカバリーできる正しい知識をマスターして、楽しく健康的な年末年始を送りましょう。

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