多様化・複雑化するモヤモヤ。働く人に“なんでも気軽に相談できる場”が欠かせない時代へ
株式会社Smart相談室のプレスリリース
株式会社Smart相談室(本社:東京都港区、代表取締役・CEO:藤田 康男、以下「当社」)は、提供する法人向けオンライン対人支援プラットフォームにおける、2025年の相談実績に関する分析レポートを発表しました。
■サマリ
1. 当社における2025年の相談の半数以上(53.0%)がコーチング・ティーチングに
人的資本経営が注目される中、人材育成・開発のニーズが大きく伸びた1年でした。
2. メンタル不調の背景には“未来への不安”
キャリアや将来、人生設計への迷いが大きくメンタル面に影響しており、企業がどう寄り添うかがこれまで以上に問われています。
3. 2025年ならではの新しい悩みが浮上
メンタルヘルス領域でAIツールが存在感を増す一方で、働く人の価値観や働く環境の変化が、新しい形の悩みを生み出しています。
■Smart相談室に寄せられた相談内容の内訳
当社は、「働く人のモヤモヤを解消し、個人の成長と組織の成長を一致させる」ことをミッションに掲げ、メンタル不調に至る前段階から従業員を支援する法人向け社外相談窓口サービス「Smart相談室」および、従業員一人ひとりに伴走する法人向けコーチングサービス「Smartマイコーチ」を提供しています。これまでに受けてきた相談は累計3万件を超え、カウンセリング、コーチング、ティーチングなどのアプローチを活用しながら、仕事、プライベート、心身の健康、お金など、幅広いテーマのモヤモヤに向き合ってまいりました。
2025年に当社が受けた相談を機能別に分類すると、「カウンセラー相談」が47.0%、「コーチング」が28.7%、「ティーチング」が24.3%となりました。昨年まではカウンセラー相談が半数以上を占めていました(*1)が、2025年はコーチングとティーチングを合わせた割合が53.0%と過半数に達しています。この変化の背景には、人的資本経営への注目の高まりがあります。従業員のメンタルケアだけでなく、人材開発・育成の観点からコーチングやティーチングの重要性が一層認識されるようになったことが、利用傾向に影響していると考えられます。
2025年に「カウンセラー相談」機能へ寄せられた相談内容を分析すると、42.7%が「仕事に関すること」でした。一方で、残りの約半数はプライベート、健康、お金など、仕事以外のテーマに関する相談が占めています。この結果は、「なんでも相談していい」というSmart相談室のコンセプトが実際の利用行動にも表れており、働く人が抱える多様なモヤモヤに応えるサービスとして機能していることを示していると考えられます。
2024年と比較すると、2025年は「心と体に関すること」が3.3%増加しました。2024年は月平均8%ほどで推移していたのに対し、2025年4月以降は平均14.6%へと上昇し、メンタルや健康に関する相談が増えていることがわかります。背景には、働く人自身の「心身の状態を整えたい」という意識の高まりがあると考えられます。また、社会全体でもメンタルヘルスへの関心が強まっており、企業におけるメンタル不調者の増加報告や、国によるメンタルヘルス施策の強化など、心身のケアを重視する流れが続いていることも影響していると考えられます。
■働く人のメンタルヘルスと生産性の現状
セッション後にカウンセラーが回答する「相談者の状態」に関するアンケートでは、セッション後にカウンセラーが「メンタルケアが不要」と判断した相談者は約78%でした。また、相談者側のセッション後アンケートでも、8割以上が「前向きになれた」「すっきりした」と回答しています。これらの結果から、ちょっとしたモヤモヤの段階で相談し、誰かに受け止めてもらうことで気持ちが整いやすい傾向がうかがえます。
当社は、不調に陥る前の小さな悩みや不安の芽にアプローチすることを重視しています。モヤモヤを早期に言語化し整理することで、深刻なメンタル不調に進行する前に対処しやすくなります。今回の結果は、当社サービスが掲げる「メンタル不調の未然防止」というコンセプトが、実際の利用シーンでも機能していることを示していると考えられます。
一方で、カウンセラーが「メンタルケアが必要」と判断した相談者は約22%でした。その理由としては、「体調」が23.1%と最も多く、メンタル不調が身体症状に現れるほど深刻な状態の方からの相談が一定数あることがわかります。また、「身体的・性格的特徴」を背景にメンタルケアが必要と判断されたケースも18.8%と比較的多く見られました。さらに、「キャリア」(19.1%)や「将来のこと、人生全体」(16.0%)といった未来に関する不安がメンタル不調の要因になっていると考えられる人も約3.5割にのぼりました。
また、カウンセラーから見た相談者のモチベーションについては、約半数に低下が見られました。その理由として最も多かったのは「コミュニケーション」(21.9%)で、次いで「仕事の進め方」(15.7%)、「組織体制・人員配置」(13.0%)が続きました。これらの結果から、組織内の人間関係や業務プロセス、配置などの構造的な問題が、個人のモチベーションに直接影響していると考えられます。
相談者が回答するセッション後アンケートでは、Smart相談室の利用による生産性向上について尋ねています。「不安や悩みが原因で発揮できる仕事の生産性が低下した」とした場合、利用後どの程度生産性が向上したかという問いに対し、7.5割以上が「10%以上改善した」と回答しました。また、約2割は「30%以上改善した」と回答しており、当社のサービスが相談者自身の生産性向上に寄与していると実感されていることがわかります。これらの結果から、気軽にモヤモヤを吐き出せる環境が、生産性の大きな改善効果を生み出す可能性があると考えられます。
■現場からみた2025年の相談の変化
当社所属のカウンセラーを対象に、2025年度に受けた相談についてアンケート (*2) を実施したところ、相談を申し込むきっかけとして最も多かったのは「思考や気持ちの整理を手伝ってほしい」(38.2%)でした。次いで、「具体的なお悩みに対するアドバイスがほしい」(25.0%)、「とりあえず話を聞いてほしい」(11.8%)という回答が続きました。この結果から、相談ニーズは単なる問題解決にとどまらず、モヤモヤした感情を整理し言語化する場を求めている人が多いことがわかります。また、「とりあえず話を聞いてほしい」という層の存在からも、予防的な心のケアとしてカウンセリングを活用したいというニーズが高まっていると考えられます。
さらに、2025年に特徴的だった相談内容や相談者の行動からは、主に2つの変化が見られました。
1つ目の変化は、「相談に来る前に一度AI(人工知能)に相談した」という人が増えた点です。メンタルヘルス領域におけるAIツールの存在感が高まっていることがうかがえます。相談者は、まずAIを使って感情の整理や情報収集を行い、そのうえで、AIだけでは対応しきれない複雑な感情の扱いや人間的な共感を求めて、プロのカウンセラーにたどり着いていると考えられます。
2つ目の変化は、多様な働き方や働く人の意識の変化によって、新しい種類の悩みが増えている点です。副業やリモートワークが広がる中で、転職の判断やキャリアへの不安など、将来に関わる相談が目立つようになりました。多様な働き方は自由度を高める一方で、個人に強い自己決定と自己管理を求めます。この自己責任の増加がメンタル不調の一因になっていると考えられます。また、ハラスメントを背景とする人間関係の悩みも、被害を受けた人だけでなく、「自分が加害していないか不安」という相談や、「ハラスメント気質の人への対応」など、内容がより複雑かつ多様になっています。ハラスメントへの意識が高まる一方、常に人間関係を探り合う状況が新たなストレスを生んでいると推察されます。
■まとめ
今回、2025年に当社が実施したセッションの分析から、働く人の意識の変化と企業の課題が見えてきました。まず、人的資本経営への注目が高まる中で、人材開発・育成を目的としたコーチングやティーチングの需要が増加しています。同時に、心や体に関する相談も増え、働く人の心身の健康に対する意識が一段と高まっている様子がうかがえます。また、キャリアや将来への不安を背景にメンタル不調に至るケースも多く見られ、企業にとって、従業員のキャリアや将来に関する不安をどのように支えるかが、より重要なテーマになっていると考えられます。
2025年特有の傾向としては、メンタルヘルス領域におけるAIの存在感が増している点と、働く人の意識や環境の変化に伴って新たな悩みが生まれている点が挙げられます。このような状況の中で、当社のサービスは、メンタル不調に至る前段階から、思考の整理や課題解決、あるいは「ただ話を聞いてほしい」といった多様なニーズに対応し、幅広い層の心の健康を支援するとともに、生産性向上にも寄与していると考えられます。
一方、当社所属のカウンセラーからは「休職につながる相談が増えてきた」という声も寄せられています。業務災害に係る精神障害の認定件数が右肩上がりで推移している現状 (*3) を踏まえると、働く人を取り巻くメンタルヘルスの状況は決して楽観視できません。さらに、法改正により2026年には従業員50人未満の事業所も含め、全事業所でストレスチェックの実施が義務化される予定であり、社会全体としてメンタル不調の未然防止への関心と責任が一層高まっています。
こうした背景を踏まえ、当社は「深刻化する前に、モヤモヤやちょっとした悩みを気軽に相談できる場」を提供することを重視しています。今後もサービスの活用を促進するとともに、相談の価値と必要性を広く伝えてまいります。
*1:「法人向け社外相談窓口サービス『Smart相談室』、ユーザー数15万人突破」https://smart-sou.co.jp/news/20250724
*2:当社所属のカウンセラー76名に、2025年に当社のサービスの中で受けた相談に関してアンケートを実施。11/27〜12/3の期間に収集。
*3:厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdf
◼ 法人向け社外相談窓口サービス「Smart相談室」について
「Smart相談室」は、誰でも・いつでも・なんでも気軽に相談できる、法人向けの社外相談窓口サービスです。カウンセリングや医師相談に加え、法令対応を実現するストレスチェックやハラスメント窓口から人材の開発・育成につながるコーチングや個別研修など、幅広い機能を備えています。300名以上の専門家が在籍し、一人ひとりの悩みや課題に丁寧に寄り添います。不調になる前のささいな悩みや不安の芽を、早期に解消へ導くことで、メンタル不調の未然防止を実現し、企業の健康経営と働く人の心の健康に貢献します。
◼ 株式会社Smart相談室について
「働く人の『モヤモヤ』を解消し、『個人の成長』と『組織の成長』を一致させる」をミッションに、法人向けオンライン対人支援プラットフォームを開発、運営しています。2021年2月、医療系事業会社で10年間、新規事業開発と組織マネジメントに従事した藤田康男が代表として設立し、メンタル不調の未然防止により企業の健康経営を後押しする社外相談窓口サービス「Smart相談室」と、個人の可能性を最大化し企業の人的資本経営を加速させるコーチングサービス「Smartマイコーチ」を展開しています。Smart相談室はSmartHRのグループ会社です。
◼ 会社概要
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社名:株式会社Smart相談室
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代表取締役・CEO:藤田 康男
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事業内容:企業向けオンライン対人支援プラットフォームの開発、運営
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設立:2021年2月1日
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所在地:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー
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