糖化 (AGEs) 研究が、静かなブームから確かな潮流へ―2000年代から注目されはじめた「健康長寿」と「美容」のキーファクター

世界で進む糖化(AGEs)研究を独自に調査。論文動向と日本の研究状況から見える、健康と美容をめぐる最新の潮流を探っていきます。

株式会社フラメルのプレスリリース

サプリメントを開発・販売する株式会社フラメルは、老化や生活習慣病、美容に深く関わる「糖化(glycation)」の正しい理解を社会に広めることを目指し、サプリメントだけでなく食や生活習慣の見直しを通じて、納得して続けられる健康的な暮らしの実現に取り組んでいます。

その一環として、糖化およびその最終産物である終末糖化産物(AGEs: Advanced Glycation End-Products)に関する研究動向を独自に調査しました。
米国国立衛生研究所(NIH)のPubMedを用いて集計したところ(※1)、糖化関連論文数は2000年の375件から2025年には2,184件となり、ここ20年で約6倍の増加。2000年からの年平均成長率(CAGR)は約7.3%と推計され、糖化研究は「健康長寿」と「美容」の双方を結ぶ新たな科学領域として急速に発展しています。

■ AGEsとは──老化と疾患をつなぐ鍵物質

AGEsは、タンパク質と糖、脂質などに由来するアルデヒドが非酵素的に結合する反応によって生じる物質で、老化やさまざまな疾患の進行に関与することが知られています。また、皮膚のハリや弾力の低下、くすみを生じせる要因としても注目されており、近年は「健康長寿」だけでなく「美容・エイジングケア」領域においても関心が高まっています。

近年、AGEs(終末糖化産物)に関する論文数が急増している背景には、老化と慢性疾患を横断的につなぐ共通メカニズムとして、その重要性が明らかになってきたことが挙げられます。

AGEsは、糖がタンパク質・脂質・核酸などと非酵素的に結合する反応によって生成され、組織の架橋化や、終末糖化産物受容体(RAGE: receptor for advanced glycation end product)を介した炎症シグナル活性化により、さまざまな臓器に影響を及ぼすことが知られています。

近年の総説では、RAGEが、代謝疾患・神経変性疾患・心血管疾患・自己免疫疾患・慢性気道疾患・がんなど、多岐にわたる疾患に関与すると報告されており、研究対象の広がりを後押ししています。(※2)

■ 世界からも評価される日本の糖化研究と社会的関心

日本国内では2000年頃から、「糖化=老化の一因」という認識が医療・美容の両面で広まり始めました(※3)。

同志社大学をはじめとする国内の主要研究機関が、「糖化ストレス研究会」を中心に連携し、AGEs測定技術の開発や、健康・疾患との関連、抗糖化素材の開発など、学術・産業・生活者をつなぐ枠組みの形成が進んでいます。その成果は国際的な学会や論文等を通じて海外からの評価も得ており、2025年にはNature Portfolio誌でも日本国内の糖化関連研究が掲載されました(※4)。

近年は国内の製薬企業や食品メーカーも相次いで抗糖化素材・製品研究に参入し、「糖化ケア」「抗糖化」は一般メディアでも頻繁に取り上げられるようになっています。

特に女性誌や健康系ウェブメディアでは、肌の糖化くすみ対策などをテーマに、生活習慣改善と科学的エビデンスを両立した新しい美容トレンドとして定着しつつあります。

■ 研究の拡大を支える4つのドライバー

糖化やAGEsに関する研究論文数の増加は、一時の学術トレンドにとどまらず、医療・食品・美容といった複数領域における関心の表れでもあります。

その背後にある、4つの主要なドライバーを紹介していきます。

① 高齢化と慢性疾患の負荷増大
糖尿病、心血管疾患、腎疾患、神経変性疾患など、高齢化に伴う慢性疾患に関する研究の増加が、AGEs研究の基盤を押し上げています。AGEsが体内でRAGEと結合することにより、細胞内シグナル伝達の変化・遺伝子発現の変化・炎症性分子の放出・フリーラジカルの産生などが誘発されて酸化ストレスや各種サイトカインが増加し、慢性的な炎症を引き起こします。

特に、寿命の長いタンパク質であるコラーゲンやエラスチンは糖化の影響を受けやすく、AGE架橋化による硬化や弾性低下が生じることから、AGEsが「加齢・代謝異常・炎症をつなぐ共通要因」として注目されています。(※5)

② 測定・解析技術の進歩
かつてはAGEsの定量・同定が難しかったものの、最近ではLC-MS/MSなどの分析技術の発展により、食品中AGEsの分析感度や特異性が向上しています。サンプル調製の難しさや、分析手法の違いなどによるばらつき、コスト面などの課題も残っていますが、こうした測定技術の向上は、生成・分布・作用機序の解明に寄与し、論文数の増加を後押ししていると考えられます。(※6)

さらに、人体におけるAGEs測定についても技術革新が進み、皮膚に軽く触れるだけで体内の糖化レベルを非侵襲的に測定できる機器が一部のクリニックや薬局などに設置されたり、自治体主催の健康診断項目に追加されはじめ、一般の人々にとっても非常に身近なものとなってきています。

③ 食・栄養・生活習慣研究との融合 
食と糖化は切り離せないテーマですが、最近では、食品中のAGEsと体内で形成されるAGEsは区別して考えるべきともいわれています(※3)。
食品中のAGEsの一部は腸から吸収されますが、その吸収率は限定的であり、すべてがそのまま体内で悪影響を及ぼすわけではありません。食品を加熱するとAGEsや褐色物質メラノイジンなどが生成されますが、むしろメラノイジンは抗酸化・抗糖化といった機能性を持つものもあると報告されています。

一方で、食後高血糖や過剰な脂質・アルコール代謝によって体内で生じるアルデヒドや糖化反応の中間体が、「糖化ストレス(glycative stress)」を高め、インスリン抵抗性や慢性炎症に関与することが知られています。(※7)

加熱調理や適度な糖質・脂質・アルコールは食事をおいしく楽しむという点において有用なため、正しい知識をもってうまく付き合うことが重要となります。

特に近年の研究では、低GI食品の選択、食物繊維やポリフェノール摂取、適度な運動や体重管理などの生活習慣改善が、血糖上昇の抑制とともにインスリン感受性を高め、糖化ストレスの進行を防ぐことが示唆されています。
このように、食・栄養・生活習慣の視点を融合して考えることが、糖化ストレス研究の次なる焦点となりつつあります。

④ 美容・エイジングケア領域の参入

ここ数年、「肌の糖化」という言葉が一般に浸透し、AGEs研究は美容皮膚科学にも波及しています。

皮膚では、AGEsがコラーゲンやエラスチンと架橋を形成し、硬化・弾性低下・くすみを引き起こすことが知られています。また、糖化反応によって表皮構造タンパク質(フィラグリン、トランスグルタミナーゼ)の機能が障害され、皮膚バリアの損傷が生じることが示されています。さらに、紫外線や大気汚染による酸化的ストレスによる終末糖化産物受容体の活性化が光老化を促進することも報告されています。
この動きを受け、美容業界ではAGEsを指標とした抗糖化素材や処方研究が増加しており、いまやAGEs研究は、医療・科学・美容産業の三分野が交差する新しい応用科学として広がりを見せています。

■ 「量」から「質」へ──糖化研究は次のステージへ

論文数の増加は、糖化研究が世界的に注目を集めていることを示す一方で、課題も明らかになりつつあります。
皮膚AGEs測定では、長寿命タンパク質の蓄積を反映しやすい一方で、血中AGEs・血漿AGEsなどとの直接的な比較には限界があるという議論もあり、部位・手法によってバイオマーカーとしての特性に違いがあることが指摘されています。(※8)

さらに、低AGE食、RAGE阻害、抗酸化戦略など、糖化を抑制する介入の臨床的有効性についても、疾患別に十分なアウトカムデータを得るには大規模・長期的な試験が求められています。
糖化研究は今、「量的拡大から質的深化へ」と向かいつつあります。

約30年間、糖化研究を牽引し続けている、同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センターの客員教授である八木雅之氏は、健康産業新聞2025年11月5日号の抗糖化特集記事において、糖化と酸化の違い、皮膚中AGEs測定部位別の意義の違い、食後に上昇する血中アルデヒドの動態とその対策など、今後のさらなる研究推進によって、真の糖化対策に関する知見が得られていくと期待していると語っています(※9)。

■ おわりに──科学にもとづく「納得して続けられる」健康社会の実現にむけて

糖化研究は、老化・疾患・美容をつなぐ新しい生命科学の交差点として急成長しています。
中でも日本は、糖化ストレスという概念の確立・計測技術の開発・社会実装の速さにおいて世界をリードしており、その成果は国際的にも高く評価されています。

株式会社フラメルでは、こうした最前線の科学的知見を生活者に届けるべく、サプリメント開発にとどまらない、“納得して続けられる健康習慣”を社会に根づかせる情報発信・啓蒙活動を今後も推進していきます。


参考

※1 文献数調査は、PubMedにて下記のキーワード検索式を用いて実施した。

(glycation[TIAB] OR “advanced glycation end product”[TIAB] OR “advanced glycation end products”[TIAB] OR “advanced glycation end-product*”[TIAB] OR (“AGEs”[TIAB] AND (“glycation”[TIAB] OR “Maillard”[TIAB] OR “end product”[TIAB])) OR “Maillard reaction”[TIAB] OR “nonenzymatic glycosylation”[TIAB] OR “carbonyl stress”[TIAB] OR “methylglyoxal”[TIAB] OR “3-deoxyglucosone”[TIAB] OR “glyoxal”[TIAB] OR “Maillard products”[TIAB] OR “Advanced Glycation End Products”[MeSH Terms] OR “Maillard Reaction”[MeSH Terms] OR “Glycation”[MeSH Terms] OR “Methylglyoxal”[MeSH Terms] OR (“RAGE”[TIAB] and “Receptor”[TIAB]))

※2 Rojas, Armando et al. “The RAGE Axis: A Relevant Inflammatory Hub in Human Diseases.” Biomolecules vol. 14,4 412. 28 Mar. 2024, doi:10.3390/biom14040412

※3 八木雅之. “糖化ストレスの最新概念と体への影響および抗糖化製品の開発ポイント” 研究開発リーダー.vol.22, 75-80. 2025.

※4 The little-known metabolic process linked to ageing. Nature Portfolio. 2025. Focal Point on Ageing in Japan

※5 Mengstie, Misganaw Asmamaw et al. “Endogenous advanced glycation end products in the pathogenesis of chronic diabetic complications.” Frontiers in molecular biosciences vol. 9 1002710. 15 Sep. 2022, doi:10.3389/fmolb.2022.1002710

※6 Kataoka, Hiroyuki. “Current Developments in Analytical Methods for Advanced Glycation End Products in Foods.” Molecules (Basel, Switzerland) vol. 30,20 4095. 15 Oct. 2025, doi:10.3390/molecules30204095

※7 Yagi, Yonei. “Glycative stress and anti-aging: 1. What is glycative stress?” Glycative Stress Research vol. 3 152-155. 2016, doi: https://doi.org/10.24659/gsr.3.3_152

※8 Chen, Chun-Yu et al. “Advanced Glycation End Products in the Skin: Molecular Mechanisms, Methods of Measurement, and Inhibitory Pathways.” Frontiers in medicine vol. 9 837222. 11 May. 2022, doi:10.3389/fmed.2022.837222

※9 健康産業新聞, 抗糖化特集, 2025年11月5日号, インフォーマ マーケッツ ジャパン.


■ 調査実施会社について

会社名:株式会社フラメル
所在地:東京都港区
事業内容:サプリメント・化粧品・食品の企画・開発・販売
ブランド名:JURAR(フラール)https://flamel-jp.com/jurar/

株式会社フラメルは、研究開発のバックグラウンドを持つメンバーによって設立され、科学的な知見と生活者の実感をつなぎ、納得して続けられる健康習慣を提案しています。

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