人生100年時代、全身の健康維持に「噛むこと」が重要!ロッテ参画の「噛むこと健康研究会」が第7回年会の講演動画を2026年1月19日(月)に公開

株式会社ロッテのプレスリリース

株式会社ロッテ(東京都新宿区、代表取締役社長執行役員:中島英樹)は、噛むこと健康研究会(代表理事:松澤佑次) の理念に賛同し活動に参画しています。このたび、本会ホームページにて、第7回年会の講演及びトークセッションの動画を2026年1月19日(月)~3月20日(金)までの期間限定で公開しました (https://www.kamukotokenko.jp/)。

本研究会は「噛むこと」と健康の研究実施と、その効果を世の中に広めていくことを目的として活動しております。第7回年会では、咀嚼機能を高めることが栄養状態、全身機能、認知機能、介護費用にどのような影響を与えるのか、様々な視点からの研究成果が報告され、活発な討議がなされました。ぜひ、この動画をご覧いただき、皆さまの健やかな生活にお役立ていただきたいと考えております。

第7回年会概要

●日時 2025年11月14日 (金) 13:00~16:40

●場所 ヒルトン東京お台場 (東京都港区)

●内容

・開会の辞 一般財団法人住友病院 名誉院長 松澤佑次氏

・基調講演 

 オーラルフレイル:人生100年時代の「口づくり」の視点

  東京都健康長寿医療センター 歯科口腔外科部長・研究所研究部長 平野浩彦氏

・講演1

 咀嚼の健康への影響 ~栄養状態や認知機能を中心に~

  東京科学大学 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 准教授 駒ヶ嶺友梨子氏

・講演2 

 咀嚼計測と制御に向けた挑戦 ~フード3Dプリンタによる食感創成とビッグデータによる食感分析の

 応用~

  東京電機大学 理工学部 生物物理化学研究室 教授 武政誠氏

・トークセッション

 大規模高齢者研究による成果と今後の展望

  東京大学 未来ビジョン研究センター・高齢社会総合研究機構 特任講師 田中友規氏

  東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長 本川佳子氏

  順天堂大学 健康総合科学先端研究機構 特任助教 田端宏樹氏

  株式会社ロッテ サステナビリティ推進部 課長 飯田智晴

・閉会の辞 株式会社ロッテ 代表取締役 社長執行役員 中島英樹

開会の辞

一般財団法人住友病院 名誉院長

大阪大学 名誉教授

松澤 佑次氏

本研究会は、日常の基本動作である「噛むこと」が全身の健康にどのような影響を及ぼすのかということを科学的に解明するため、医学、歯学、栄養学など多分野の専門家が結集して発足いたしました。これまでの産学官連携による活動を通じ、口腔機能の衰えを示す「オーラルフレイル」という言葉も広く認知されるようになったと実感しております。昨今、医療費の高騰は深刻であり、特に高齢者医療を取り巻く環境は非常に厳しい状況です。私は約20年前に「メタボリックシンドローム」を提唱し、生活習慣改善による病気予防を国策として定着させましたが、これは主に働く世代が対象でした。急増する高齢者への対応には、新たな切り口が必要です。その切り口こそが、「噛むこと」によるオーラルフレイルの予防です。医療や介護が必要になる前の自衛策として、高齢者の生活習慣に「噛むこと」を定着させることは、メタボ対策に続く「第2の医療変革」になり得ると私は確信しています。本研究会の活動が、国民の健康寿命延伸と医療課題解決に向けた大きな動きとなるよう期待しております。

基調講演

オーラルフレイル:人生100年時代の「口づくり」の視点

東京都健康長寿医療センター

歯科口腔外科部長・研究所研究部長

平野 浩彦氏

<主な講演トピックス>

  • 日本は平均寿命と健康寿命に約10年の乖離があり、要介護の原因として認知症などに加え、「フレイル(虚弱)」が重要視されています。フレイルは可逆的で、早期介入で改善可能です。これからは単に「死なない医療」だけでなく、生活機能を維持し健康寿命を延ばすアプローチが不可欠となります。

  • 歯科では「8020運動」達成率が60%を超え、歯を残せる時代になりましたが、「噛みにくい」と訴える高齢者は急増しています。歯の本数だけでは機能は保てません。従来の予防に加え、第三の柱として「口腔機能の維持・管理」に取り組むことが、今の歯科医療には強く求められています。

  • 鍵となる「オーラルフレイル」は、滑舌低下やむせなどの些細な衰えです。放置すると食の多様性が失われ、低栄養や筋肉減少を招き、要介護へドミノ倒しのように進行します。この連鎖を断つため、評価基準や「口腔機能低下症」の診断で機能低下を「可視化」し、早期自覚を促すことが重要です。

  • 大規模調査研究により、オーラルフレイル該当者は要介護や死亡リスクが2倍以上になるという強固な根拠が示されました。人生100年時代、最期まで口から食べるには、オーラルフレイルの早期発見と適切な管理による「口づくり」が欠かせません。

    歯科医療は今、形態回復だけでなく、全身の健康寿命を支える役割を担っています。

講演1

咀嚼の健康への影響

~栄養状態や認知機能を中心に~

東京科学大学 医歯学総合研究科

高齢者歯科学分野

准教授 駒ヶ嶺 友梨子氏

<主な講演トピックス>

  • 近年の研究で、残存歯数の減少に加え、「臼歯部の咬合支持」の喪失が認知症の重大なリスク因子であることが判明しました。咬合支持を喪失した群ではアルツハイマー型認知症リスクが有意に上昇し、その背景には脳血流減少や栄養の偏り、社会的孤立などの多面的なメカニズムが介在していると考えられます (Miyano et al. 2024) 。

  • 歯の喪失が認知機能に及ぼす影響の経路には「性差」が存在します。男性では他者との交流減少などの「社会的要因」、女性では「栄養学的要因」が主な媒介因子となります(Kiuchi et al. 2022) 。植物性食品や魚を中心とした食事パターンの層で認知機能スコアが高い報告もあり (Okubo et al. 2017) 、食習慣と認知機能の関連は無視できません。

  • こうした課題に対し、歯科治療による栄養改善には、単なる補綴治療だけでなく適切な「食事指導」の併用が不可欠です。

    一方、インプラントオーバーデンチャー等による咀嚼機能回復で、記憶や遂行機能(MoCA-J)の改善が認められるケースがあり、補綴介入が認知機能低下の予防に寄与する可能性が見出されています。

  • 歯科医療は「噛むこと」の回復を通じ、栄養摂取、社会性の維持、脳への刺激という多角的アプローチで健康寿命の延伸に貢献することが可能です。今後も質の高い臨床研究を通じてエビデンスを構築し、超高齢社会における歯科の役割を探求する姿勢が大切です。

講演2

咀嚼計測と制御に向けた挑戦  ~フード3Dプリンタによる

食感創成とビッグデータによる食感分析の応用~

東京電機大学 理工学部 生物物理化学研究室

教授 武政 誠氏

<主な講演トピックス>

  • 食感は食品のおいしさを決定づける重要な要素です。従来の食感の分析は単純な圧縮動作が主で、ポテトチップス等の個体差や肉の繊維構造の違いを正確に捉えるのは困難でした。そこでロボットアームを用いた自動計測システムを構築し、数万回の圧縮データを取得し、ディープラーニングで解析することで、食品ごとの品質差を判別できる高精度な食感分析システムを確立しました。

  • しかし圧縮試験だけでは複雑な「ヒトの咀嚼」を再現できません。この課題に対し、iPhoneのTrueDepthカメラで顔の立体形状変化を追跡するアプリを開発しました。10万回超のデータ解析により、噛み癖や食品の種類、肉のランク、さらには「カリカリ」といった主観的な食感までもが顔の動きだけで予測可能となりました。

  • さらに食感の「制御」に向け、フード3Dプリンタを用いた研究も進めています。食感は材料だけでなく「構造」に大きく依存するため、内部構造を設計・積層することで従来の調理法では不可能な食感を創出できます。特にレーザー加熱方式では、タンパク質繊維を配向させ、理想的な肉の繊維感を再現することも可能です。

  • ビッグデータとAIによる「咀嚼の可視化」と、3Dプリンタによる「食感のデザイン」の融合は、個人の咀嚼機能に合わせた食の提供を可能にします。これは健康長寿社会における新たな食のソリューションとなり、歯科医学および食品科学に新たなパラダイムをもたらすことが期待されます。

トークセッション

大規模高齢者研究による成果と今後の展望

東京大学 高齢社会総合研究機構 特任講師 田中 友規氏

東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長 本川 佳子氏

順天堂大学 健康総合科学先端研究機構 特任助教 田端 宏樹氏

株式会社ロッテ サステナビリティ推進部 課長 飯田 智晴氏

今年度のパネルディスカッションは「大規模高齢者研究による成果と今後の展望」というテーマを設定し、計4名のパネラーの皆様にご登壇いただき、それぞれが関わる大規模高齢者調査研究のご紹介やご意見をいただきました。

  • 大規模コホート研究である「柏スタディ」において、オーラルフレイルの方は、将来のフレイルや要介護、死亡のリスクが2倍以上になることが明らかとなった。体が元気でも、お口が衰えているとこれらのリスクが高まるため、早期の気づきが重要である。板橋区民を主体とする「お達者健診」においては、フレイル予防には食品摂取の多様性が大切であり、その維持には「咀嚼機能」が深く関わっていること、噛む力が弱いと食事のバランスが崩れ、栄養状態が悪化しやすいことが明らかとなった。「文京ヘルススタディ」においては、MRIで測定した「咬筋」の量が少ないとサルコペニアのリスクが高まることや、噛む力が強いほど認知機能が維持されやすいという結果が出ており、口の機能を保つことが、体や脳の健康を守る鍵であることが示された。

  • 愛知県豊田市で行った「ガムを使用した口腔健康プログラム」の実証実験においてオーラルフレイルおよびフレイル改善効果が確認され、仮に全国の高齢者全員が参加したと仮定すると、約1.2兆円の介護費抑制効果があると試算された。噛むことの社会実装に向けて、こうした社会的「インパクト」を可視化することは企業として重要と考える。

  • 文京へルススタディにおけるMRI等の高度機器は研究専用として導入され円滑に運営されている。これらの設備を活用して高齢者の咬筋の状態を観察した結果、咬筋は四肢の骨格筋と関連要因が異なる可能性があり、咀嚼運動などの咬筋に特化した刺激の維持が口腔機能の維持に重要であるかもしれない。

  • コホート研究においては、実生活に即したものであることが重要であり、今後研究の中で、アプリや行政データの活用なども考えていきたい。また、AIやバイオマーカーの活用も有効であることから、企業や他地域と連携し積極的に進めていきたい。

  • 高齢者分野における研究成果の社会実装やオーラルフレイル等の啓発には、学術・行政の枠を超えた企業の協力が不可欠である。今後は三者が一体となり、エビデンスに基づいた社会課題の解決策を立案し、住民が健康に暮らせる地域社会の実現を目指すことが望ましい。

閉会の辞

株式会社ロッテ 代表取締役

社長執行役員

中島 英樹

噛むこと健康研究会も第7回を迎えました。その間、噛むことの大切さが認知されるようになり、この1年でその確実な広がりを実感しております。現在、自治体・歯科医師会との連携協定は23件に達しました。その内容も口腔改善のみならず、スポーツ、介護、災害対策などを含む「包括連携協定」が増加しており、流通・小売業の皆様からのセミナー開催のご要望も増えております。社内におきましても、eラーニング等を通じて全社員が理解を深め、全員が「噛むこと」を広める推進役となるよう努めております。単なる製品提供を超えた社会貢献の実感が、社員のモチベーション向上にも大きく寄与しております。今後ロッテでは、事業構成比の約2割を占める海外展開をさらに拡大させてまいります。その中で、本研究会の皆様の研究成果を活動の骨子としつつ「KAMUKOTO」をグローバルの共通語にし、ガムをはじめとするチューイング商品の普及を通じて、我々のパーパスである「独創的なアイデアとこころ動かす体験で人と人をつなぎ、しあわせな未来をつくる」を果たしていく所存です。引き続き、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

研究会の様子

理事・アドバイザー・講演者

前列左から

アドバイザー:武田友孝、アドバイザー:葛西一貴

ロッテ社長:中島英樹、理事:水口俊介

アドバイザー:坂田利家、代表理事:松澤佑次

理事:下村伊一郎、基調講演者:平野浩彦

アドバイザー:柳沢幸江、アドバイザー:小野高裕

後列左から

理事:関哲哉、アドバイザー:金澤学

パネリスト:田端宏樹、パネリスト:田中友規

講演者:駒ヶ嶺友梨子、講演者:武政誠

パネリスト:本川佳子、アドバイザー:宮下政司

アドバイザー:根岸慎一、パネリスト:飯田智晴

(敬称略)

【噛むこと健康研究会役員】

氏名

所属

代表理事

松澤佑次

一般財団法人住友病院 名誉院長

大阪大学 名誉教授

理事

下村伊一郎

大阪大学大学院 医学系研究科 教授

理事

水口俊介

東京医科歯科大学 名誉教授

理事

関哲哉

株式会社ロッテ 中央研究所 所長

(五十音順)

アドバイザー

小野高裕

大阪歯科大学 歯学部 特任教授

アドバイザー

葛西一貴

日本大学 特任教授

アドバイザー

金澤学

東京科学大学 高齢者歯科学分野 教授

アドバイザー

坂田利家

大分医科大学 名誉教授

アドバイザー

武田友孝

東京歯科大学 口腔健康科学講座 客員教授

アドバイザー

根岸慎一

日本大学 松戸歯学部 歯科矯正学講座 教授

アドバイザー

宮下政司

早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授

アドバイザー

柳沢幸江

和洋女子大学大学院 総合生活研究科 教授

【噛むこと健康研究会概要】

発足の経緯

近年、「噛むこと」と生活習慣病や認知機能などとの関係が解明されつつあります。それらはさらに様々なアプローチで研究され、新たなエビデンスが積み上げられています。同時に、そのような有益な研究成果を社会に発信することは、社会課題の解決にもつながります。こうした中で、医学、歯学、栄養学、スポーツ科学など多分野の研究者が集まり、「噛むこと」を通じて健康寿命の延伸及び生活の質の改善に貢献するため、2018年「噛むこと健康研究会」が発足致しました。

会の目的

下記の理念のもと、「噛むこと」と健康に関する研究の実施、情報・意見の交換を進め、噛むことの大切さを発信することを目的としております。

エビデンスに基づいた情報の発信により、人々に「噛むこと」の効果について正しく伝える。

健康に資する噛む回数の目安を設定し、「噛むこと」の効果を分かりやすく伝える。

健康へのメリットの高い噛み方、食品等の効果を検証し伝える。

活動・取組

上記目的を達するため、以下の活動を行って参ります。

「噛むこと」の実態調査研究、及び「噛むこと」の健康効果に関する基礎研究・介入研究

「噛むこと」と健康についての情報収集及び提供

「噛むこと」の効果を啓発する為の研究発表会の開催

 その他、目的を達成するための活動や事業

株式会社ロッテ

https://www.lotte.co.jp/

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