国立大学法人熊本大学のプレスリリース

【本研究成果のポイント】
〇近年の技術進歩により心臓CT※ 1 検査では、冠動脈だけでなく心筋障害も同時に評価が可能となりました。
〇心筋障害を評価する指標として、心筋遅延造影(LIE:Late iodine enhancement)※ 2 や心筋細胞外容積分画(ECV:Extracellular volume fraction)※ 3 がありますが、両者は異なる病態情報を提供します。これらを組み合わせることで、潜在的な心筋障害の検出や心血管イベント※ 4予測の精度向上が期待されます。
〇本研究は、両指標を併用した評価が心血管イベント予測にどのように寄与するかを明らかにすることを目的としています。
【概要説明】
熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学の小國哲也大学院生、泉家康宏准教授、辻田賢一教授らの研究グループは、心臓CT検査の画像解析で、心筋障害を捉える指標を組み合わせることで、将来の心血管イベントのリスクをより予測できることを明らかにしました。
心臓CT検査では、冠動脈の評価に加えて、心筋障害を反映する「心筋遅延造影(LIE : Late iodine enhancement) 」や「心筋細胞外容積分画(ECV :Extracellular volume fraction)」を評価することができますが、これらを同時に評価した意義については、これまで十分に分かっていませんでした。
本研究により、LIEとECVの両方に異常を認める患者では、死亡や心血管イベントのリスクが高いことが示されました。
この成果は、心臓CT検査により予後リスク評価や、早期の治療介入の判断に役立つことが期待されます。
本研究成果は、令和8年1月22日にEuropean Heart Journal Cardiovascular Imaging誌に掲載されました。
(説明)
[背景]心臓CT検査は冠動脈の形態評価に加え、遅延相撮影により心筋の状態を評価することができます。心筋遅延造影(LIE:Late iodine enhancement)は局所的な心筋線維化を反映、心筋細胞外容積分画(ECV:Extracellular volume fraction)は心筋全体の組織学的変化を数値(%)で評価可能であり、両者は異なる病態を示す指標です。これらは心筋症を診断する際にも用いられます。
しかし、これらを組み合わせた評価の臨床的意義は十分に明らかになっていませんでした。
※2 心筋遅延造影( LIE):局所的な心筋障害や線維化を評価する所見。
※3 心筋細胞外容積分画(ECV) :心筋における細胞外成分の割合を示し、定量的にびまん性心筋障害を評価
※4 心血管イベント:心臓死や心血管疾患による入院などの臨床的に重要な出来事
(論文情報)
論文名:Does adding a delayed phase to cardiac computed tomography for coronary artery evaluation have prognostic value?
著者:Tetsuya Oguni, Yasuhiro Izumiya, Seitaro Oda, Seij Takashio,Yosuke Matsumoto, Naoto Kuyama, Shinsuke Hanatani, Hiroki Usuku,Yasushi Matsuzawa, Masafumi Kidoh, Eiichiro Yamamoto, Toshinori Hirai,and Kenichi Tsujita
掲載誌: European Heart Journal Cardiovascular Imaging 2026 Jan22:jeag018
doi: 10.1093/ehjci/jeag018
URL: https://doi.org/10.1093/ehjci/jeag018
お問い合わせ
熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学
担当:准教授 泉家康宏(いずみや やすひろ)
電話:096-373-5175
e-mail: izumiya@kumamoto-u.ac.jp

