【世界初】「バイオリアクター・コンデンサー」としての役割の証明に成功
Morus株式会社のプレスリリース
Morus株式会社(本社:東京都千代田区・代表取締役CEO:佐藤亮、以下Morus)は、栄養学領域で世界トップクラスであるイリノイ大学と進めてきた、「カイコ(蚕)パウダー中の栄養素の利用効率」に関する共同研究の成果が、国際学術誌学術誌のJournal of Insects as Food and Feed(Bill社、2025年12月19日オンライン版にて出版)に掲載されたことをお知らせします。Journal of Insects as Food and Feedは、昆虫を用いた新素材・新技術の開発における信頼性の高い知見源として位置づけられている査読付き学術誌です。
本研究は、Morusのカイコパウダーに含まれるミネラル(亜鉛)の生体利用能(バイオアベイラビリティー)について報告した最初の研究です。具体的には、カイコパウダー中の亜鉛の生体利用能は、桑葉中の亜鉛よりも2倍近く有意に高いことが判明しました。本研究成果の最大のポイントは、昆虫(カイコ)が植物(桑葉)を摂取する過程で、ヒトでは吸収効率の低い植物性ミネラルの消化・吸収効率を高めること、すなわち「バイオリアクター・コンデンサー」として機能する役割を科学的に初めて証明した点にあります。
この度の学術論文の掲載は、ノベルフード(新規食品)のポテンシャルの証明と市場価値の向上につながる大きな一歩につながるものと期待しています。
■ 研究背景
亜鉛は、健康維持に欠かせない、ヒトの体内で生成できない必須ミネラルですが、植物由来の亜鉛は吸収されにくい形態です。亜鉛が欠乏すると下記のような症状が現れます。
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味覚・嗅覚異常
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皮膚炎や肌荒れ
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免疫力低下により感染症への罹患率の上昇
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貧血・疲労感 など
亜鉛は非常に重要な栄養素ですが、世界人口の約20%(16億人)が亜鉛摂取量が不十分である可能性があると推定されています。(※1)
これまで、生物学的利用能についての研究は十分に行われてきておらず、桑の葉由来の植物性亜鉛を含む弊社製造のカイコパウダーを用いて調査をしました。
■ 研究の概要
動物を用いたバイオアッセイ(生物検定)法で実施しました。バイオアッセイ法とは、生物(細胞、微生物、動物など)の生命反応を指標として、物質の生物学的活性(毒性、薬効など)や量を測定・評価する手法です。化学分析では捉えにくい物質の複合影響や微量な有害性を評価でき、医薬品開発、環境汚染物質(ダイオキシン類など)、放射性物質の体内摂取量評価(内部被ばく)など、幅広い分野で応用されています。
今回は、飼料としてカイコパウダーを与えた動物(ひな鳥)を用い、亜鉛の生物学的利用能を、動物の脚の骨(tibia骨)の無機亜鉛(ZnSO₄・H₂O)含量と補給量の関係を分析し、カイコパウダー中の亜鉛の有用性を評価しました。
■ 研究結果
無機亜鉛(ZnSO₄・H₂O)を100%の基準とした動物バイオアッセイを使用して評価したところ、カイコパウダー中の亜鉛の生体利用能は175%で、桑葉中の亜鉛(91%)よりも2倍近く有意に高いことが確認されました。
昆虫(カイコ)が植物(桑葉)を摂取することにより、ヒトでは吸収効率の低い植物性ミネラルの消化・吸収効率を高める「バイオリアクター・コンデンサー」の働きを世界で初めて実証しました。
【論文掲載ウェブページ】https://brill.com/view/journals/jiff/aop/div-10.1163-23524588-bja10349/div-10.1163-23524588-bja10349.xml
■ イリノイ大学について
イリノイ大学(University of Illinois)は、アメリカ合衆国イリノイ州の州立大学システムで3つの大学で構成されています。旗艦校はアーバナ・シャンペーン校で、シカゴ校とスプリングフィールド校があります。アーバナ・シャンペーン校は、パブリック・アイビーと称される名門公立大学の一つで、特に工学・自然科学分野における研究実績は国際的にも評価が高いと言われています。これまでに送り出したノーベル賞受賞者の数は30人(2022年時)。英国のタイムズが毎年発表する世界大学ランキングで4位(2023年)の大学です。
■ Morus代表取締役CEO 佐藤 亮コメント
栄養学で世界トップクラスの研究機関の一つ、イリノイ大学との共同研究で成果を出すことができ、大変光栄です。素材としてのカイコの可能性を、同領域世界最先端の本共同研究により明らかにし日本発の素材研究で研究の社会実装を実現していければと思います。
■ Morus栄養学研究責任者 青柳 清治コメント
亜鉛は必須微量栄養素ですが、食事由来の亜鉛摂取が十分でない人々は少なくなく、特に植物性食品中心の食生活では、吸収率の低さが課題です。亜鉛不足は、免疫力の低下や皮膚トラブル、味覚異常など、日常生活の質に影響を及ぼすだけでなく、長期的には健康へのリスクも懸念されます。単に摂取量を増やすだけでなく、「体内で利用されやすい形で摂取すること」が、栄養学的に極めて重要です。今回の世界初となる、昆虫が植物を食べ、植物性ミネラルの消化率を高めるというバイオリアクター・コンデンサーとしての役割の証明は、栄養学の躍進につながるでしょう。
■ 採用情報
Morusでは海外事業やプラント運営などをともに進めるメンバーを募集しています。
▶︎詳細はこちら:https://morus.jp/jp/career/
■ 会社概要
Morusは、日本の経済的発展を支えてきたカイコのバイオ原料の供給と研究開発を行う、研究開発型のベンチャー企業です。他の昆虫にない豊富な栄養成分を多く持ち原料としての可能性に満ちたカイコを、品種改良と量産によって複数産業へ原料として供給し、栄養学を中心としたサイエンスの力で、世界の健康課題を解決することを目的に創業いたしました。
カイコはたんぱく質が高含有であることはもちろんのこと、他の昆虫では確認されてない有用成分の研究が進んでいます。加えて、人類の長い歴史を通じ家畜化された昆虫であり、逃げない・共食いをしないなど量産に適した性質を備えていると同時に、昆虫の中でも長く研究が行われてきたため、今後も研究開発が円滑に進むことが予想されます。食分野でも日本発で世界的な健康課題も解決しうる、可能性に満ちた機能性原料です。
社名:Morus株式会社
代表者名:代表取締役CEO 佐藤亮
本社所在地:〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目3−12 12 KANDA 801
HP:https://morus.jp/jp/
事業内容:カイコ原料の研究開発・量産・ヘルスケア製品の販売
シンガポール支社
支社名:Morus SG
代表者名:代表取締役CEO 佐藤亮
支社所在地:Twenty Anson #11-01, 20 Anson Rd, Singapore 079912
カイコ原料や弊社との共同研究開発にご興味のある方は、下記のお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。
▶︎お問い合わせフォーム:https://morus.jp/contact
※1:Wessells, K Ryan, and Kenneth H Brown (2012), Estimating the global prevalence of zinc deficiency: results based on zinc availability in national food supplies and the prevalence of stunting, PloS One Publishing