― 毛包再生に必要な「最小限の幹細胞セット」を特定、脱毛症治療への応用に期待 ―
株式会社オーガンテックのプレスリリース
株式会社オーガンテック(研究開発部長:豊島公栄、取締役CTO:小川美帆)と、理化学研究所生命機能科学研究センター器官誘導研究チーム(研究当時チームリーダー:辻孝)らによる共同研究チームは、髪の毛を作る器官である毛包[*1]の発生・成長・再生を支える新たな「第三の細胞」として、毛包再生支持細胞を発見しました。
この細胞を含む、成体由来の3種類の幹細胞[*2]から作製した「毛包器官原基[*3]」は、生体外において機能的な毛包を再生し、毛髪を成長させることに成功しました。本成果は、毛包の発生や再生、毛周期(髪の生え変わり)の仕組みの理解に貢献するだけでなく、脱毛症治療に向けた再生医療[*4]や、三次元器官再生医療[*5]への応用につながることが期待されます。

本研究ではまず、生体外で毛包を育てる新しい培養技術を開発しました。さらに、成体由来の上皮性幹細胞と毛乳頭細胞から誘導された再生毛包が、毛球部を形成後、成長期へと発生を進める過程において重要な役割を果たす新たな細胞集団、すなわち「第三の細胞(毛包再生支持細胞)」を同定しました。
この毛包再生支持細胞を毛包器官原基に加えることにより、成体由来の3種類の幹細胞から再生した毛包器官は、生体内のみならず生体外においても毛球部の形成を経て成長期へと移行し、毛周期を有する機能的な毛包として再生することを実証しました。
本研究は、科学雑誌『Biochemical and Biophysical Research Communications』に掲載されました。
詳細は、下記添付資料をご参照ください。
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[*1] 毛包
皮膚器官系に属する微細な器官であり、毛や皮脂を体表面に放出する機能を持ち、体表面の保護、体温調節、触覚の受容、社会的機能といった動物の基本的機能を持ちます。
[*2] 幹細胞
幹細胞(かんさいぼう)とは、失われた細胞を補充する能力(分化能)と、自分と同じ能力を持った細胞に分裂する能力(自己複製能)を併せ持つ特殊な細胞です。皮膚、血液、肝臓などの臓器や組織に存在し、怪我や病気で損傷した細胞を修復したり、老化により失われた機能性細胞を補充したりすることにより、生体の恒常性を維持する役割を果たしています。大人の体に存在する幹細胞は体性(組織)幹細胞と呼ばれます。
[*3] 器官原基
胎児期に上皮性幹細胞と間葉性幹細胞より作られて臓器や器官の種となる構造です。器官原基の上皮性幹細胞と間葉性幹細胞は、複雑な分子シグナルのやり取りを行いながら、増殖しながらさまざまな細胞へと分化して、機能的な臓器や器官を形成します。
[*4] 再生医療
再生医療とは、病気や怪我で機能不全に陥った組織・臓器を、幹細胞(体性幹細胞や多能性幹細胞など)を用いて機能再生を図る治療法です。自分の細胞や組織を利用するため、副作用や拒絶反応のリスクが低く、根本的な治療が期待できる次世代の医療技術として注目されています。
[*5] 器官再生医療
器官まるごとを再生し、機能不全に陥った器官と交換する次世代型再生医療です。
■ 論文情報
<タイトル>
Fully functional hair follicle organ regeneration using organ-inductive potential stem cells with an accessory mesenchymal cell population in an in vitro culture system
<著者名>
Koh-ei Toyoshima, Ayako Tsuchiya, Miho Ogawa, Miki Takase, Tarou Irié, Masayuki Yanagisawa, Richard H. Kaszynski, Hiroshi Fujimaki, Kyoko Baba, Takayuki Sugimoto, Akira Takeda, Akio Sato & Takashi Tsuji
<雑誌>
Biochemical and Biophysical Research Communications
<DOI>
10.1016/j.bbrc.2026.153459
■ 機関窓口
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