次世代スキンケア技術の提案が国際的評価を獲得
株式会社マンダムのプレスリリース
【ポイント】
◆慢性的な皮膚炎症や肌の敏感化に対し、従来の一時的な鎮静ケアにとどまらない“炎症の再発予防”を目指す新たなアプローチを提案。
◆炎症の刺激によって角化細胞に「一次繊毛」が形成され、これが炎症記憶を持つ細胞の指標となる可能性が示された。さらに、一次繊毛の形成に「ERKシグナル」が重要であることを突き止め、形成を抑える有望な化粧品成分候補(ククルビタシンIIA、シリマリン)を発見した。
◆Cosmetic Valley(フランス)が主催する最先端化粧品技術を競うコンテスト The Cosmetic Victories 2026※1の学術部門で最優秀賞を受賞。
◆繰り返す肌トラブルを防ぎ、肌の安定性とレジリエンス(回復力・抵抗力)の向上に貢献する製品への応用に期待。
■概要
大阪大学大学院薬学研究科 マンダム先端化粧品科学協働研究所の鳥山真奈美特任准教授(常勤)、東京大学医科学研究所の石井健教授、名古屋市立大学大学院医学研究科の森田明理教授、大阪大学微生物病研究所の元岡大祐講師らの研究グループは、慢性的な皮膚炎症や肌の敏感化に対し、従来の一時的な鎮静ケアにとどまらない“炎症の再発予防”を目指す新たなアプローチを提案しました。
本研究では、炎症性サイトカイン刺激により表皮の角化細胞に一次繊毛(primary cilia)が形成され、その存在が炎症記憶を有する細胞の指標となり得る可能性を示しました。さらに、オミクス解析と化合物スクリーニングを統合した独自の探索により、一次繊毛形成を抑制する有望な化粧品成分候補を見出し、アトピー性皮膚炎様の症状を有する被験者を対象にした評価により、植物エキスが肌状態の改善に寄与する可能性も確認されました。
従来の「一時的な鎮静ケア」にとどまらず、“炎症の再発予防”という新たな視点から、肌の安定性とレジリエンス向上に貢献する次世代スキンケア技術として期待されます。
本研究成果は、2026年4月13日(月)にフランスで開催された、化粧品分野における革新的なプロジェクトを国際的に表彰するコンテスト「The Cosmetic Victories 2026」(主催:Cosmetic Valley)において、世界中の応募の中から学術部門(Academic prize)で最優秀賞を受賞しました。
【鳥山真奈美特任准教授(常勤)のコメント】
「一次繊毛」と呼ばれる微小な細胞小器官の機能には、依然として未解明な点が多く残されています。今回、一次繊毛が皮膚における「炎症記憶」に関与している可能性を見出した際、生命維持の根幹を支えるその巧妙なメカニズムに深い感銘を覚えました。本研究の成果が、誰もが自身の肌に自信を持てる社会の実現に貢献することを切に願っています。
■研究の背景
慢性的な皮膚炎症や肌の敏感化に対し、従来のスキンケア技術では、起きてしまった炎症に対する「一時的な鎮静ケア」にとどまっており、細胞に刻まれた「炎症記憶」に直接アプローチして“炎症の再発そのものを防ぐ”ことが困難でした。
■研究の内容
本研究では、炎症性サイトカインの刺激によって角化細胞に一次繊毛が形成され、その存在が炎症記憶を持つ細胞の指標となる可能性が示されました。オミクス解析と化合物スクリーニングを組み合わせた独自の探索により、一次繊毛形成に重要な役割を果たすERKシグナルに着目し、ククルビタシンIIAやシリマリンといった、一次繊毛形成を抑制する有望な化粧品成分候補を見出しました。
さらに、アトピー性皮膚炎様の症状を有する被験者を対象とした評価において、シリマリンを含む植物エキスが肌状態の改善効果を示す可能性も確認されました。
■本研究成果が社会に与える影響
本研究成果により、従来の一時的な鎮静ケアにとどまらず、“炎症の再発予防”という新たな視点から、肌の安定性とレジリエンス向上に貢献する次世代スキンケア技術として期待されます。
■特記事項
・本研究成果は、2026年4月13日(月)のThe Cosmetic Victories 2026にて発表しました。
本コンテストにはIndustrial prize(産業部門)で17カ国から73件、Academic prize(学術部門)で13カ国から21件の応募があり、本研究成果はAcademic prize(学術部門)の最優秀賞に選ばれました。
タイトル:“From Biology to Beauty: Primary Cilia–Controlled Cosmetics for Immune Memory Regulation and Sustainable Innovation”
発表者:大阪大学大学院薬学研究科 マンダム先端化粧品科学協働研究所 鳥山真奈美特任准教授(常勤)
本学大学院薬学研究科 マンダム先端化粧品科学協働研究所によるThe Cosmetic Victories 2026のAcademic prize(学術部門)最優秀賞受賞は、2度目となります(1度目受賞:2019年、タイトル:New generation of anti-perspirants、発表者:Kie Nakashima)。
・本研究は、JSPS科研費24K11450と内藤記念科学振興財団の助成を受け行われました。
・関連するこれまでの研究成果
世界初、ヒト初代免疫細胞に“一次繊毛”を発見 皮膚免疫反応における機能を明らかに(2023.06.16 プレスリリース)
■用語説明
※1 The Cosmetic Victories 2026
本コンテストは、世界中から革新的なプロジェクトを発掘し、化粧品科学の発展に貢献することを目的として実施されるコンテストです。化粧品産業において世界最大クラスターであるCosmetic Valley(フランス)が主催しています。化粧品分野における研究・技術・製品開発の可能性を広く募り、優れた取り組みが表彰されます。
コンテストは、学術部門(Academic prize)と産業部門(Industrial prize)の2部門で構成され、化粧品業界の第一線で活躍する専門家が審査を担当します。応募プロジェクトは、革新性、実現可能性、市場性などの観点から総合的に評価されます。
「The Cosmetic Victories 2026」は、次世代の化粧品研究と産業イノベーションを後押しする国際的な機会として、世界中の研究者、企業、関係者からの注目を集めています。
■本件に関するお問合せ先
<研究内容に関すること>
●大阪大学 マンダム先端化粧品科学協働研究所
副所長 藤田郁尚(ふじたふみたか)
TEL:06-6105-5785 FAX:06-6105-5785
E-mail: fujita-f@phs.osaka-u.ac.jp
●大阪大学 大学院薬学研究科 教授 齊藤達哉(さいとうたつや)
TEL:06-6879-8170 FAX:06-6105-5803
E-mail: saitohtatsuya@phs.osaka-u.ac.jp
<報道に関すること>
●大阪大学 薬学研究科 庶務係
TEL:06-6879-8144 FAX:06-6879-8154
E-mail: yakugaku-syomu@office.osaka-u.ac.jp
●株式会社マンダム 広報部
・大阪本社
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・青山オフィス
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