【ファンケル】肌のハリを左右していたのは「エラスチンの量」ではなく「つながり」だった!

〜 独自の3Dシミュレーションで、年齢とともに弾力が失われる仕組みを“見える化” 〜

株式会社ファンケルのプレスリリース

株式会社ファンケルは、肌のハリや弾力を支える成分として知られる「エラスチン線維1)」に関する研究において、肌の弾力はエラスチンの量だけでなく、“エラスチン線維の太さ”や“線維同士がどれだけつながっているか”が極めて重要であることを新たに明らかにしました。

今回、実際のヒト皮膚から得たエラスチン線維の立体構造を再現し、コンピューター上で力を加える独自の3Dシミュレーション評価法を開発。これにより、加齢とともに肌の弾力が低下する仕組みを、初めて視覚的かつ定量的に捉えることに成功しました。

本成果は、シワ発生メカニズム解明や、より効果を実感できるアンチエイジング化粧品の開発に応用していきます。

なお、本研究は山口大学との共同研究成果であり、その一部は「16th International Conference on Computational Methods」、および「第9回エラスチン・関連分子研究会」にて口頭発表、さらに科学誌「Scientific Reports (2025) 1528598」に掲載されました。

1) エラスチン線維:皮膚の真皮に存在し、肌の弾力を保つ役割を持つ線維

【本研究のサマリー】 

  • 実際のヒト皮膚から得たエラスチン線維の3D構造を再現

  • コンピューター上で力を加えることで、肌の弾力を予測できるモデルを開発

  • 弾力を保つカギはエラスチン線維の「太さ」や「つながり」であることを発見

※詳細は【研究の概要と分かったこと】以降を参照ください

【研究の背景と目的】

当社はこれまで、ヒト皮膚組織透明化技術および3次元構造解析により、加齢に伴いエラスチン線維構造が変化することを明らかにしてきました。しかし、その構造変化が皮膚の弾力にどの程度影響しているのかは分かっていませんでした。

主な理由の一つとして、皮膚の中ではエラスチンとコラーゲンなどが複雑に混ざり合い、エラスチン“だけ”の影響を切り分けて調べることが難しかったためです。

そこで本研究では、エラスチン線維だけを取り出したモデルを作り、仮想的に力を加えることで、「エラスチン構造と弾力の関係」を直接調べることに挑戦しました。


【今後の展開と可能性】

当社ではこれまで摘出した皮膚内部の構造を立体的に観察・解析する技術を開発し、加齢変化や化粧品成分の影響について調べてまいりました。今回の研究では、その技術を発展させ、エラスチン線維の構造と皮膚の弾力との関係をシミュレーションによって検証したことで、線維の構造変化が肌のハリや弾力に深く関わっていることを明らかにしました。この成果により、年齢とともに感じるハリ・弾力の低下が、どのような仕組みで起こるのかを構造レベルで捉えることが可能になりました。今後は、この知見を生かし、ハリ・弾力の低下を予防・改善する新たな化粧品成分の探索につなげていくことが期待されます。

今後もさらなる皮膚老化メカニズムの解明を進め、新しいアンチエイジング化粧品の開発に生かしてまいります。


【研究の概要と分かったこと】

①住宅の耐震シミュレーションに着想を得た独自の皮膚弾力評価法を開発

本研究では、実物の住宅を揺らさずにコンピューター上で耐震性を評価する技術に着想を得て、三次元エラスチン線維構造から皮膚の弾力を予測するシミュレーション評価法を新たに開発しました。

まず、摘出したヒト皮膚組織2)のエラスチン線維を3次元的に撮影し(図1左)、線維の太さ・本数・長さ・方向・つながりをデータ化し、真皮中の線維の3次元モデルを構築しました(図1中)。このモデルを用いて、シミュレーションにより一定の力を加えた条件での皮膚と線維の変形の様子を再現し、評価しました(図1右)。

2) 本研究はヘルシンキ宣言の倫理的原則に基づき、倫理的配慮のもとに入手した皮膚組織を用いて行っています。

                  図1 シミュレーションを用いた新たな皮膚弾力評価法

②老若の線維構造を比較して加齢による弾力低下メカニズムを解明

開発したシミュレーション評価法を用い、老齢および若齢の皮膚から得られたエラスチン線維構造をモデル化して皮膚の弾力を比較しました。

その結果、若齢の皮膚では高い弾力を示しました。太くて長い線維が多く、線維同士が密接につながり、網目構造を形成していること、また力を加えたときに構造が壊れず、線維に伸びたり縮んだりしている部位があることが観察されました(図2左)。

一方、老齢の皮膚では弾力が著しく低下しました。線維が細く、短くなっている上、ところどころ切れて断片化が進んでいること、また力を加えたときに線維は伸びるだけで縮む部位がほとんどないことが確認できました(図2右)。

                 図2 老若エラスチン構造のシミュレーション結果比較

図2の左では、若齢の肌では線維が面としてつながり力を受けても“全体がしなやかに戻る”様子が見て取れます。一方、図2右の老齢の肌は、線維の連結が途切れて部分的に伸びてしまい、元に戻る力が弱まる様子が明確に示されています。

③弾力維持にはエラスチン線維の「質」が重要であることが判明

さらに、エラスチン線維は太いほど、弾力の数値が高くなる傾向(正の相関)が確認されました(図3)。

一方で、線維のクラスター数が多いほど弾力は低下(負の相関)しました(図4)。

「クラスター数」とは、つながった線維の“かたまり”の数です。線維が分断され、クラスター数が多いということは、それだけエラスチン線維のつながりが途中で切れ、細かく分断されてしまうことを意味します。

       図3 線維の構造的特性と弾力の関係(正の相関) 図4 線維の構造的特性と弾力の関係(負の相関)

線維が分断されクラスター数が増えると、皮膚全体で力を受け止めにくくなります。

例えるなら、若い肌は丈夫な網、年齢を重ねた肌はあちこち切れた網のような状態です。網が切れていれば、引っ張っても全体では支えられず、元に戻る力も弱くなります。今回の研究では、肌でも同じことが起きている可能性が示されました。

これらの結果から、エラスチン線維は単に「量」が多ければ良いのではなく、“太さ”や “つながり方”など「質的な状態」が肌の弾力に重要であることを裏付ける結果が得られました。

【参考資料】 

https://www.fancl.jp/laboratory/pdf/20191129_hifunotoumeikakijutsuemilin1.pdf

https://www.fancl.jp/laboratory/pdf/20210929_shiwabuinoerasuchin.pdf

https://www.fancl.jp/laboratory/pdf/20211101_erasuchinnokouzouijinihabunkaisasenai.pdf

https://www.fancl.jp/news/pdf/20211221_shiwanogenindearuerasuchin.pdf

https://www.fancl.jp/news/20230016/pdf/20230222_erasuchinseninoshitsu.pdf

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