ミトコンドリアに化粧品成分を届けるカプセルを開発

株式会社コーセーのプレスリリース

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:田中 慎二)は、北海道大学 大学院薬学研究院 山田勇磨教授との共同研究により、真皮のミトコンドリアに化粧品成分を届けるカプセルを開発しました。ミトコンドリアは細胞におけるエネルギー生産工場であり、加齢とともにその機能が低下し、肌の老化を進める一因となります。有用な成分をミトコンドリアまで届けることはエネルギー生産機能の維持・向上に寄与する可能性があり、本技術はこれまでにないエイジングケアに繋がることが期待できます。研究成果の一部は、第146回日本薬学会(2026年3月26日〜29日、大阪)にて発表しました。

図1 開発カプセルの機能メカニズムとミトコンドリアへの移行性

研究の背景

 加齢に伴い生じるシワやたるみは、多くの人が抱える肌悩みの一つです。その大きな要因に、肌の真皮線維芽細胞内にあるミトコンドリアのエネルギー産生機能の低下が挙げられます。ミトコンドリアの働きが衰えると、肌のハリを維持するコラーゲン等の産生が滞り、結果としてシワやたるみを引き起こします。こうした課題に対し、有用成分をミトコンドリア近傍へ的確に届けるための効率的なアプローチが長年求められてきました。そこで本研究では、エイジングケアの新たな可能性を切り拓くべく、ミトコンドリアを標的としたカプセル化技術の開発に挑戦しました。

真皮線維芽細胞のミトコンドリアまで届くカプセルの開発

 成分をミトコンドリア近傍まで送り届ける技術として、北海道大学 大学院薬学研究院の山田勇磨教授らのグループが開発したナノカプセル「MITO-PorterTM」(マイトポーター)(※)に着目しました。このカプセルはミトコンドリア膜を突破するのに優れた性質があることが確認されています。この技術を応用し、コーセーのカプセル技術の1つとして「化粧品用ミトコンドリア送達カプセル」を開発しました。

 開発においては、カプセルの構成成分の組み合わせ、カプセルの大きさの制御、製造条件の最適化まで多岐にわたる検討を実施しました。肌表面から真皮への浸透性、真皮線維芽細胞への取り込み、ミトコンドリアへの移行性を指標に検討を重ねることで、ミトコンドリアに最も効率的に届くカプセルを実現しました。

(※)商標出願済(商願2026-32100)、特許登録番号 第5067733号

開発カプセルの真皮への浸透性

 カプセルの真皮への浸透性を確認するため、ヒト皮膚を用いた浸透挙動の解析を行いました。蛍光色素を内包した開発品を肌表面に塗布し、蛍光色素の真皮への浸透量を計測したところ、本技術を使用していない類似のカプセル(比較品)よりも多くの蛍光色素が真皮にて検出されました(図2)。この結果は、本技術がカプセルに内包した成分を、肌の奥深くにある真皮まで送り届けるポテンシャルを有することを示唆しています。

図2 開発カプセルの真皮浸透性

開発カプセルの細胞への取り込みとミトコンドリアへの移行性

 次に、真皮線維芽細胞へのカプセルの取り込み性と、その中のミトコンドリアへの移行性を評価しました。蛍光色素を内包した開発品を細胞に添加した結果、比較品と比べて、より多くのカプセルが線維芽細胞内へ取り込まれることが確認されました(図3)。 さらに、共焦点レーザー顕微鏡による詳細な観察を行ったところ、カプセルに含ませた蛍光色素がミトコンドリアの近傍に集積している様子が確認されました(図1)。

 これらの結果から、今回開発したカプセルには内包した成分を、肌表面に塗布した際に真皮浸透させる機能、真皮線維芽細胞への取り込みを促進させる機能、ミトコンドリア近傍への到達を高める機能があることが示唆されました。

図3 開発品の真皮線維芽細胞への取り込み性

今後の展望

ミトコンドリアという細胞のエネルギー源に直接働きかける本技術は、次世代のエイジングケアを支える基盤となることが期待されます。今後は、カプセルに内包すべき成分の検討を進め、ミトコンドリアに対する多角的な機能向上を検証することで、既存の枠組みを超えた革新的なエイジングケアの実現に挑戦していきます。

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