多重層リポソームを基盤とした経皮吸収技術の開発

― 成分を、まとめて、深く届ける:多成分設計※を前提とした多重層リポソーム技術 ―

エルムジャパン株式会社のプレスリリース

※エーデルワイスカルス培養エキス、ダルスエキス、サッカリナロンギクルリスエキス、アルテロモナス発酵エキス、イザヨイバラエキス、ビルベリーエキス、ヒメフウロエキス、アーチチョーク葉エキス、3-O-エチルアスコルビン酸、ナイアシンアミド、ヘキサカルボキシメチルジペプチド-12、トリフルオロ酢酸ビオチニルヒスチジルD-トリプトファニルジペプチド-29

エルムジャパン株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:咲丘 恵美)は、皮膚科学および製剤研究の知見を基盤に、多重層リポソームをキャリアとして用いた新たな経皮吸収技術を開発しました。本技術は、さまざまな物理特性をもつ有効成分を内包し、特に水溶性成分など経皮吸収(角層突破)が難しい成分を確実に皮膚内へ送達させることを目的としたものです。

本技術により達成できること
・エビデンスベースで多重層リポソームを高含有した処方の開発

・多重層リポソームによる皮膚深部への難浸透成分の浸透の実現

・高実感を達成する処方システムの構築

研究の背景

人は恒常性(ホメオスタシス)という複雑な生命反応により維持されています。そのため、シワ改善など特定の効果を皮膚にもたらすためには複雑な反応経路を同時に活性化(または抑制)させることが重要になると考えられております。近年化粧品などの外用製剤では、複数の機能性成分を組み合わせることで複雑な生命反応に働きかけ、多角的に改善を目指すための設計が主流になってきております。一方で、成分ごとに物理特性は異なり、この物性差に起因する皮膚吸収挙動の違いや、皮膚内分散のばらつきが課題とされてきました。当社はこの点に着目し、「成分を個別に届ける」のではなく、「成分群として一体的に届ける」という設計思想を達成するために、本技術の開発と検証に取り組みました。

本技術の特長・解決したこと

多重層リポソームの存在を確認

多重層リポソームは、複数の脂質二重膜が同心円状に重なった構造を有します。リポソームは親水性成分を内部水相に、疎水性成分を脂質膜中に内包できる特性を持ちますが、多重層構造を用いることで、複数成分を一つのキャリア内で整理して配置することができ、Mixture処方における設計自由度の向上が期待されます。本技術では、多重層リポソームの存在を科学的に検証することに成功しました。一般的にリポソームは球状であること、脂質膜により覆われていることが重要な要素でありますが、単純な粒子系測定などでは膜状態や球体であることを評価することができないため、必ずしもリポソームが存在していることの確証には繋がりません。本検討では透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることで、本リポソームが球状構造であること、さらに多重層膜で構成されていることを検証することができたことから、本検討により構築したリポソームは機能を有した状態である可能性が高いと考えられます。

浸透が難しい水溶性成分の皮膚深部(真皮)への浸透を確認

リポソームの重要機能の一つである皮膚透過性を確認するために、モデル成分であるカルセインおよび水溶性化合物であるニコチン酸アミドをモデル化合物としてリポソームへ配合、皮膚モデルを用いた透過性評価を行いました。その結果、多重層リポソームを配合することにより、モデル成分が真皮まで浸透していること(定性評価、図2)および定量的にもニコチン酸アミドがリポソームを含まない処方と比較して有意に皮膚透過が亢進していること(定量評価、図3)が確認されました。

以上の結果から、本検討により構築した技術が機能を有した多重層リポソームであることが科学的に証明され、また皮膚深部まで経皮吸収を促進することができる技術であることが確認されました。

弊社では、本検討結果を踏まえ、本経皮吸収技術が達成する効果を深耕するために、複数の成分コンプレックスがどのように皮膚メカニズムに影響するかに関する研究を進めてまいります。

さらに本技術をベースにした上市製品への応用だけでなく、スキンケア・頭皮ケアをはじめとする幅広い新製品への活用も進めてまいります。

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