“朝の不調”は睡眠中の呼吸の浅さから──第1回 睡眠の体内全体像(総論)
トラタニ株式会社のプレスリリース
トラタニ株式会社(石川県かほく市)は、
睡眠中の呼吸と朝の不調の関係を整理する
「Night Oxygen Flow Project – Phase 3」を開始しました。
本取り組みでは、既存の生理学的知見を踏まえつつ、
睡眠中の呼吸の浅さが体内環境にどのように影響するかを
整理することを目的としています。
本稿は研究成果の発表ではなく、
既存知見と当社の取り組みをもとにした啓発的な解説です。
人生の1/3もの長い時間を過ごす睡眠。
その重要性は広く知られていますが、
睡眠中の呼吸環境が体内の状態に影響する可能性については、
十分に認識されていないと指摘されています。
医学では臓器ごとに専門領域が分かれ、
呼吸は「肺」、睡眠は「脳」として扱われてきました。
一方で、睡眠中の呼吸そのものは、
医学と睡眠学の狭間に位置する領域として
体系的に整理されてこなかった歴史があります。
その結果、
“睡眠中の呼吸の変化” が見落とされやすいという
構造的な課題があると考えられています。
当社では、この領域に着目し、
睡眠中の呼吸が健康の土台にどのように関わるかについて、
既存知見をもとに整理した内容を3回に分けて紹介します。
■ 睡眠中の呼吸は、健康の“基盤”に関わる可能性
従来の睡眠研究では「睡眠の質=時間と脳波」とされることが多い一方、
近年では 呼吸の変化が体内環境に影響する可能性 が指摘されています。
睡眠中は呼吸が浅くなりやすく、
酸素が届きにくい時間帯であることが知られています。
しかし、この「睡眠中の呼吸の質」は
医学的にも研究途上の領域であり、
社会的な認知は十分とは言えません。
私たちは毎日眠っていますが、
睡眠中にどのような呼吸変化が起きているかを
自覚できている人は多くありません。
体の構造上、睡眠中には次のような状態が
誰にでも起こりうるとされています。
・息苦しくても気づきにくい
・呼吸が止まっても自覚しにくい
・浅い呼吸が続いても気づけない
こうした「軽度〜中等度の低呼吸」は、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)ほど自覚されにくい一方で、
体内環境に影響する可能性が指摘されています。
この “無自覚の酸素不足の積み重ね” が、
長期的に健康へ影響する可能性があると考えられています。
人は、睡眠中の呼吸を自分で守れません。
健康の基盤は、質の良い呼吸によって
酸素・血流・自律神経のバランスが整うことにあると
複数の研究で指摘されています。
私たちは人生の3分の1を
「呼吸が浅く、酸素が届きにくい」状態で過ごしています。
この時間に呼吸が浅く、胸郭の動きが小さい状態が続くと、
静脈還流が低下し、全身の酸素供給が揺らぐ可能性があります。
こうした夜間の酸素不足は、
脳や心臓を含む臓器の血流に影響する可能性があり、
長期的な健康リスクとの関連も報告されています。
日中の生活習慣だけでなく、
「睡眠中の呼吸の質」が健康の土台に関わるという視点は
まだ十分に共有されていません。
まずはこの点を知ることが重要です。
■ 呼吸の質(深さ・胸郭・横隔膜・姿勢)は“重要な要素”
現在の医療機器では、
睡眠中の「呼吸の質」を詳細に測定することは難しいとされています。
SAS 検査で分かるのは
・呼吸が止まったかどうか
・何秒止まったか
といった量的な情報が中心です。
しかし、睡眠中の呼吸で重要とされるのは、
・呼吸の深さ
・胸郭の動き
・頭の角度
・舌根の位置
・姿勢との連動
といった質的な要素です。
現状、これらを正確に測定できる装置は限られており、
“呼吸の質” は研究途上の領域です。
■ 枕と呼吸の関係についての指摘
睡眠中の呼吸に影響する要因の一つとして、
枕の高さや角度が挙げられています。
頭の角度が変わることで
・顎が下がる
・舌根が落ち込みやすくなる
・気道が狭くなる
といった変化が起こりやすいとされています。
つまり、枕の構造が呼吸に影響する可能性があるということです。
■ 頭部と姿勢の連動についての考察
頭部と仙骨(骨盤の中心)の連動は、
呼吸のしやすさに関わる可能性があると指摘されています。
当社では、長年の観察を通じて、
頭部のわずかな固定が呼吸に影響する可能性に着目しています。
■ なぜ「枕」が呼吸に影響するのか
複数の要因が重なることで、
睡眠中の呼吸は弱まりやすくなると考えられています。
・頭の角度が固定される
・顎が下がりやすい
・舌根沈下が起きやすい
・胸郭の動きが制限される
・横隔膜が十分に動かない
・姿勢の連動が途切れる
これらが重なると、
無自覚のまま酸素不足の夜を過ごす可能性があります。
睡眠中の呼吸を整えることは、
健康の基盤を支える重要な視点といえます。
当社では、睡眠中の呼吸の深さや胸郭の動きが
酸素供給や自律神経にどのように影響するかを整理するため、
バンドー化学社製の ResMo(テレメトリー式生体信号測定装置)を用い、
成人数名の仰臥位・覚醒状態で12分間の呼吸・姿勢の変化を
観察する取り組みを継続しています。
少人数での観察であり、統計的な有意性を示すものではありません。
研究論文としての発表を目的としたものではなく、
呼吸の変化を理解するための社内の取り組みです。
■ まとめ
睡眠中の呼吸は自分で守れないため、
まずはその特性を知ることが重要です。
当社は今後も、
気道の構造・寝姿勢・呼吸の関係について
既存知見を踏まえた整理を続けていきます。
【参考文献・エビデンス】
本リリースで述べた「睡眠中の呼吸」「低酸素」「自律神経」「心血管リスク」の背景には、
以下のような国際的な学術研究があります。
1. ヒトの構造的・骨格的な低呼吸リスク(構造上の宿命)
Davidson TM. (2003)
The anatomic basis for the development of sleep apnea.
主旨: ヒトは二足歩行と言語獲得の代償として、睡眠中に気道が潰れやすい構造的弱点を持つ。
Isono S. (2012)
Obstructive sleep apnea of non-obese patients in Japan.
主旨: 日本人は顎骨が小さく、肥満がなくても気道が狭くなりやすい。
2. 低呼吸による低酸素・自律神経への影響(生理的ダメージ)
Somers VK, et al. (1995)
Sympathetic neural mechanisms in obstructive sleep apnea.
主旨: 低酸素は交感神経を異常に活性化し、自律神経バランスを崩す。
Lévy P, et al. (2011)
Sleep apnea as a cause of cardiovascular disease.
主旨: 間欠的な低酸素は血管に強い酸化ストレスを与え、心血管疾患の根本原因となる。
【締め】
医学は「壊れた後」を治す力に優れていますが、
“壊れる前の体内環境”を整えるのは私たち自身です。
当社は、「体にわずかな物理的な負荷がかかるだけで 呼吸が自然に深くなる」
という仕組みを見出しました。
呼吸が整うと、酸素・血流・微小循環が開き、 睡眠・代謝・免疫など、
生命の土台が静かに整っていきます。
今後も、気道の構造・寝姿勢・呼吸の関係について発信を続けます。
【会社情報】
トラタニ株式会社
代表:虎谷 生央
所在地:石川県かほく市
事業内容: ・ショーツ(アパレル)の企画・製造・販売 ・睡眠中の呼吸・酸素環境・身体構造に関する研究 ・寝具および関連技術の開発
特徴: ショーツ開発で培った立体構造技術を応用し、 頭部・頸部・胸郭の連動性を保つための周辺技術に関する特許を複数保有
公式サイト:https://www.toratani.jp