~尿中マイクロRNAによる多がん種早期発見プラットフォームが、大学発研究成果の社会実装を実現した産学連携の成果として評価~
Craif株式会社のプレスリリース
バイオAIスタートアップのCraif株式会社(所在地:東京都新宿区、CEO:小野瀨隆一、以下Craif)は、共同創業者・技術顧問である安井 隆雄(名古屋大学 大学院工学研究科 生命分子工学専攻 教授)の研究成果を起点に開発を進めてきた「尿中マイクロRNAによる多がん種早期発見プラットフォーム」が、大学発研究成果の実用化と社会実装を実現した技術として評価され、「第51回 井上春成賞」を受賞しました。
井上春成賞は、大学等の独創的な研究成果を企業が事業化し、わが国の科学技術・経済・福祉の発展に貢献した技術の中から、毎年原則2件のみを表彰する、半世紀の歴史を持つ技術賞です。当社は、安井教授の基礎研究を起点とする尿中マイクロRNA解析技術を、誰もが負担なく受けられるがん早期発見の仕組みとして社会に実装した点を高く評価いただきました。
■ 受賞技術について
本技術は、誰もが負担なく採取できる「尿」からがんの分子情報を読み解き、がんを早期に、かつ高い精度で検出する技術基盤です。尿の中には、細胞が放出する「細胞外小胞」という小さな袋が含まれ、その中には遺伝子の働きを細かく調整するマイクロRNAという分子が入っています。がん細胞は、自らの増殖や転移に有利な情報をマイクロRNAを通じて発信しており、健康な人とがんの人とでは尿中のマイクロRNAのパターンに違いが現れます。Craifは、ナノワイヤにより尿中マイクロRNAを補足し、解析する技術(※1)を基盤として創業し、バイオマーカー及び臨床情報を含む大規模データベースと人工知能(機械学習)を組み合わせ、複数のマイクロRNAのパターンからがんのリスクを判定する仕組みを確立しました。
本技術を基に、とりわけ早期発見が難しいとされてきたすい臓がんにおいても、複数の医療機関との共同研究を通じて、初期ステージで従来の血液腫瘍マーカーを上回る精度で判定できるアルゴリズムを開発しています(※2)。
近年では、がん由来の細胞外小胞が腎臓の糸球体を経て尿へ運ばれる仕組みを世界で初めて実証し(※3)、尿ががんの情報を映す有用な生体情報源であることを科学的にも裏づけました。
この技術は2022年に医療機関向け検査として実用化され、その後、自宅で採尿し郵送するだけで検査が完結するがんリスク検査「miSignal(マイシグナル)」へと発展しました。現在は全国約2,500の医療機関で導入されているほか、4,000店舗以上のドラッグストアで提供され、自治体による公費導入も始まっています。大学発の研究成果を実用化し、全国規模で社会実装を進めてきたことが、今回の受賞においても高く評価されました。
*1.「Unveiling massive numbers of cancer-related urinary-microRNA candidates via nanowires」(Science Advances, 2017)
*2.「A noninvasive urinary microRNA-based assay for the detection of early-stage pancreatic cancer: a case control study」(eClinicalMedicine,2024)
*3.「Glomerular routing of tumor-derived extracellular vesicles substantiates urinary biopsy」(Science Advances, 2026)
■ 井上春成賞について
井上春成賞は、科学技術振興機構(JST)の前身である新技術開発事業団の初代理事長であり、工業技術庁の初代長官も務めた井上 春成 氏の功績にちなみ、1976年(昭和51年)に創設された技術賞です。大学や研究機関などの独創的な研究成果をもとに企業が開発・事業化し、わが国の科学技術の進展、経済の発展、健康福祉の向上に貢献した技術の中から、特に優れたものを表彰します。
本賞は、毎年、推薦された技術の中から原則として2件のみが選定される選考の狭き門として知られ、大河内記念賞や市村産業賞などと並び、産学連携による研究成果の事業化を顕彰する、わが国を代表する技術賞の一つに数えられます。今回で第51回を迎え、ほぼ半世紀にわたって日本の技術移転を象徴する成果を表彰してきました。
■ 受賞コメント
Craif株式会社 代表取締役CEO 小野瀨 隆一
半世紀の歴史を持つ井上春成賞という大変名誉ある賞をいただき、心より光栄に存じます。本技術は、安井隆雄先生をはじめとする大学発の基礎研究なくしては生まれませんでした。その成果を、一人でも多くの方が負担なく受けられるがん早期発見の仕組みへと社会実装できたことを、産学連携の成果としてご評価いただけたことを大変うれしく思います。私たちはこれからも、がんの早期発見を特別なものではなく、誰もが日常的に受けられる当たり前のものにすべく、技術の進化と社会実装に挑み続けてまいります。
名古屋大学 大学院工学研究科 教授 安井 隆雄
尿という最も身近な検体からがんの分子情報を読み解くという、十数年前には実現が難しいと考えられていた発想が、Craifの実装力によって社会に届く形となりました。基礎研究を担う者として、研究成果が多くの方の健康に役立つ形で世に出ていくことは何よりの喜びです。本受賞を励みに、さらなる技術の発展に貢献してまいります。
■ Craif株式会社 技術顧問・共同創業者 安井隆雄について
名古屋大学 大学院工学研究科 生命分子工学専攻 教授。
2014〜2019年ImPACTプロジェクトマネージャー補佐就任、2015〜2019年・2019〜2023年JSTさきがけ研究員、2018〜2023年名古屋大学大学院工学研究科・生命分子工学専攻准教授。2023〜2026年東京工業大学(現 東京科学大学) 生命理工学院 教授、2026年〜名古屋大学 大学院工学研究科 生命分子工学専攻 教授。研究テーマはナノデバイスによる生命分子解析と生命現象の解明、ナノバイオメディカルエンジニアリング。がん細胞から正常細胞へ輸送されるがん化因子であるエクソソームの定量解析を目指している中で、わずか1ミリリットルの尿からがんを特定する技術を新たに発見。同技術を実用化すべく、代表の小野瀬と共に2018年5月にCraif株式会社を創業。
■ Craifについて
Craif(クライフ)は がん早期発見に取り組む2018年創業のバイオAIスタートアップです。尿をはじめとする体液から、DNAやマイクロRNAなど多様なバイオマーカーを高精度に検出する独自の解析技術基盤「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」とAI技術を融合し、がんの超早期発見・早期治療・早期復帰を可能にする革新的な検査を開発しています。バイオテクノロジーとAIの力を社会に広く届けることで、当社のビジョンである「人々が天寿を全うする社会の実現」を推進します。
■ 「マイシグナル・スキャン」について
「マイシグナル・スキャン」は、尿中のマイクロRNAを抽出しAIで解析することで、すい臓がんを含む10種のがんリスク*を、がんの種類別に、ステージ1から評価する検査です。尿を採取するだけで、体に負担なく検査することが可能です。
詳細はWebサイトをご覧ください。
「マイシグナル・スキャン」は医療機器ではありません。解析した情報を統計的に計算することによりリスクを判定するものであり、医療行為としてがんに罹患しているかどうかの「診断」に代わるものではなく、リスクが低いと判定された場合でもがんが無いまたは将来がんにかからないとは限りません。
※ 卵巣がん・乳がんは女性のみ、前立腺がんは男性のみ検査対象となります。
【会社概要】
社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)
代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
設立:2018年5月
資本金:1億円(2025年4月1日現在)
事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、尿がんリスク検査「マイシグナル®」の提供
本社:東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F