エネルギーを燃やす「ベージュ脂肪細胞」が肌のバリア機能を高めることを発見

株式会社コーセーのプレスリリース

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:田中 慎二)は、バイオベンチャーであるDIVA Expertise社(本社:フランス トゥールーズ、CEO:Mayoura Kéophiphath)と共同で、肌の深部に存在する脂肪細胞が、エネルギーを燃焼させる「ベージュ脂肪細胞」となることにより、健康な肌に欠かせない肌のバリア機能の向上につながることを明らかにしました。本研究成果の一部は、第26回日本抗加齢医学会総会(2026年6月)にて発表しました。

                          図1 脂肪細胞が表皮に与える影響

研究の背景

 生活習慣が肌や美容に影響することは広く知られています。肌は表皮、真皮、皮下組織という階層構造になっており、皮下組織の大部分を占める脂肪細胞には、エネルギーを貯める「白色脂肪細胞」とエネルギーを燃焼させる「ベージュ脂肪細胞」の2種類が存在しています。この脂肪細胞は適度な運動や健康的な食事によって白色からベージュへ、運動不足や過剰なカロリー摂取によってベージュから白色へ変化します。このように、生活習慣によって可逆的に変化する2種類の脂肪細胞ですが、それぞれが具体的に肌へ与える影響の違いはいまだ解明されていませんでした。そこで本研究では、生活習慣と深く関連する脂肪細胞の「ベージュ化」に着目し、脂肪細胞が肌に与える影響を明らかにすることに挑みました。

ベージュ脂肪細胞が表皮のバリア機能を向上させることを発見

 2種類の脂肪細胞の分泌物が皮膚組織に与える影響を検証すべく、ヒト皮膚の培養評価技術を有する当社の研究所 リヨン分室(フランス)と、脂肪細胞の培養・評価について高い専門性を有するDIVA Expertise社で共同研究を行いました。ヒト皮膚と、白色脂肪細胞またはベージュ脂肪細胞をともに培養(共培養)した結果、ベージュ脂肪細胞では白色脂肪細胞と比較して、表皮の保湿バリア機能維持に重要な因子であるフィラグリン(FLG)が増加しました。さらに、表皮バリア機能の低下に繋がる「小胞体ストレス」の指標となるBiPが減少することが示唆されました(図1)。

 さらに、この現象をそれぞれの因子をつくる指令となる遺伝子発現においても検証しました。それぞれの脂肪細胞の分泌物を表皮細胞に添加して解析を行ったところ、ベージュ脂肪細胞では白色脂肪と比較して、HSPA5やPPP1R15Aといった小胞体ストレス関連遺伝子の発現量を低下させることを確認しました。また、表皮のバリア機能維持に重要なFLGやCASP14といった遺伝子の発現量を増加させることも確認できました(図2)。

             図2  脂肪細胞の分泌物を添加した表皮細胞の遺伝子発現量

 上記の結果から、白色脂肪細胞のベージュ化を促すことで、表皮の小胞体ストレスを軽減し、肌のバリア機能の向上につながることが示唆されました。

今後の展望

 本研究により、脂肪細胞の「ベージュ化」が肌のバリア機能の向上に寄与する可能性が示唆されました。この知見は、スキンケア製品への応用にとどまらず、運動や食習慣の改善を含めたトータルビューティ提案への展開が期待されます。今後は、脂肪組織と肌の関係性のさらなる解明を進め、お客さまのあらゆる肌悩みに寄り添い、QOL向上に貢献する新たな製品・サービスの提供を目指していきます。

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