コーヒー飲用による胃の不快感、ヨーグルト継続摂取による軽減効果を確認

~プロバイオティクスヨーグルトによる胃粘膜保護作用~調査背景目的方法結果考察<からだにいいこと><一般社団法人日本プロバイオティクス学会>

一般社団法人日本プロバイオティクス学会のプレスリリース

 一般社団法人 日本プロバイオティクス学会(理事長:古賀泰裕)は、心と体のヘルスケアに関する情報発信事業を展開する(株)セントラルメディエンス(代表取締役 中川隆太郎)が運営する「からだにいいこと」の協力のもと、LG21乳酸菌含有ヨーグルトの継続摂取が、コーヒー飲用時の胃の不快感の改善に及ぼす効果を検証するアンケート調査を実施しました。

 コーヒー飲用時に胃の不快感を自覚する成人女性15名を対象に4週間調査した結果、LG21乳酸菌含有ヨーグルトを継続摂取することで、コーヒー飲用に伴う胃もたれをはじめ、胃のムカムカ感、胃痛、胸焼けなど複数の胃の不快感に改善が認められました。特に胃もたれでは、ほとんど症状がない方の割合は調査開始時の0%から、4週間後には86.7%まで増加する顕著な改善が認められました(図1)。

 今回の結果から、LG21乳酸菌含有ヨーグルトの継続摂取は、コーヒー飲用時の胃の不快感を軽減することが明らかになりました。LG21乳酸菌含有ヨーグルトには刺激物からの胃粘膜保護効果が報告されており、その作用機序としてコーヒーの主成分であるカフェインによる胃への刺激を和らげた可能性が考えられます。一方、今回の調査は少数の15名を対象としたものであることから、今後は対象者数を拡大しプラセボ群を置いたランダム化比較試験によるさらなる検証が必要となるでしょう。

図1 各被験者の胃不快感スコアの開始前と4週目の比較

調査背景

コーヒーは多くの人々を魅了している飲料である一方、主成分であるカフェインにより、胃もたれや胃痛、胸やけなどの胃部不快感を感じる人も少なくない。私どもは既に、LG21乳酸菌含有ヨーグルトが解熱鎮痛剤による胃粘膜障害に対して予防効果を持つことを明らかにし、医学学術誌に報告しています(Scand J Gastroenterol 2011;46:831)。

そこで本調査では、LG21乳酸菌含有ヨーグルトがコーヒー飲用による胃の不快感を予防する効果についてのアンケートを実施しました。

目的

LG21乳酸菌含有ヨーグルトを継続摂取した場合に、コーヒー飲用時の胃の不快感が改善されるかを評価する。

方法

アンケート調査対象者は、日常的にコーヒーを飲用し、カフェイン摂取時に胃の不快感を自覚する成人女性15名とし、調査期間は計4週間とした。本調査で用いる試験食品として、「胃の負担をやわらげる」など、胃に関する様々な症状あるいは病気の軽減、予防効果が報告されているLG21乳酸菌を含有する「明治プロビオヨーグルトLG21」を選定した。対象者は、LG21乳酸菌含有ヨーグルト1個を毎日摂取した。調査期間を通じて、コーヒーの飲用量(平均して1日3,4杯程度)および摂取タイミングは可能な限り一定とした。評価項目として、胃痛、胃もたれ、胸やけなどの胃の不快感に関する自覚症状を質問票により7段階で評価(0:まったく感じない 1:ごくわずかに感じる 2:わずかに感じる 3:軽く感じる 4:ややはっきり感じる 5:はっきり感じる 6:非常に強く感じる)し、調査開始前後でスコアを比較することで、LG21乳酸菌含有ヨーグルト飲用による予防効果を検討した。

結果

4週間の継続摂取により、「胃もたれ」、「胃のムカムカ感」、「胃痛・キリキリ感」、「胸やけ・胃酸が上がる感じ」の4症状すべてで症状スコアは統計学的に有意な改善を示しました(図2)。主要評価項目である「胃もたれ」では、特に顕著な改善が認められ、症状スコア0または1を「ほとんど症状がない方」と定義した場合、ほとんど症状がない方の割合は調査開始前の0%から4週目には86.7%まで増加した(図1)。各症状についての検討では、主に胃の運動不全が関与している「胃もたれ」「胃のムカムカ感」は、LG21乳酸菌含有ヨーグルト飲用開始1週間後には有意な改善が得られました。一方、主に胃酸過剰が原因と考えられる「胃の痛み」「胸やけ」はやや遅れて開始2〜3週間後に改善が認められました(図2)。

図2 胃不快感各症状の経時変化

※*、**は p値がそれぞれ0.05および0.01以下で統計学的な有意差を意味する

考察

 本アンケート調査では、コーヒー摂取による胃の不快症状がLG21乳酸菌含有ヨーグルトにより大きく改善されました。

しかし、今回はアンケート調査のみですので、その胃不快症状の原因と、LG21乳酸菌含有ヨーグルトの改善効果の仕組みについては、先の、解熱鎮痛剤服用についての我々の研究成果を基に説明します。まず、その理解の基盤として、胃粘膜を攻撃して傷害する胃酸と、胃酸やその他の傷害物質から胃粘膜を防御する胃粘液層について簡単に解説します。胃に貯留する胃液には、鉄くぎをも溶かす pH1.0 前後の強烈な胃酸が存在し、さらに胃酸によって活性化したタンパク分解酵素ペプシンが含まれることは、既に19世紀には知られていました。当時医師らは、胃はこのような激烈な状況にあるにもかかわらず、なぜ胃粘膜は消化もされず傷害も受けないのかという大きな疑問を抱いていました。そして明らかになったのは胃粘膜上皮細胞層の表面は、粘性の高いゲル状の胃粘液層によりコーティングされていることでした(下図)。粘液には酸を中和する重炭酸イオン(HCO3-、重曹の成分)と粘性を与えるタンパク成分ムチンが含まれています。その結果、胃液から粘液層へ侵入した胃酸は重炭酸イオンで中和されながら粘液層をゆっくりと浸透するため、粘膜細胞層に到達する頃には中和されて粘膜細胞には無害となっています。すなわち、胃粘液層は粘膜バリアーとして胃粘膜を保護しています。

 解熱鎮痛剤は、重炭酸イオンやムチン産生を阻害して、それらの粘液中濃度を低下させるので粘膜バリアーを劣化させます。その結果、胃酸が十分に中和されないまま粘膜上皮細胞層に到達してしまい粘膜細胞傷害が発生します。LG21乳酸菌は胃粘膜細胞に働きかけて重炭酸イオンやムチンの産生を増加させ粘膜バリアーを強化します。胃粘液層と同じような仕組みで胃粘膜を保護するのが、牛乳に含まれる乳タンパク質です。欧米では古くからミルクは胃を守ると考えられていました。乳タンパクは胃粘膜表面に付着することで、粘液層のように胃酸から粘膜細胞を守ります。ミルクを発酵させたヨーグルトでは乳タンパクは分子レベルで均等に分離しているため、粘膜面をムラなく微細にコーティングし、より良好な粘膜保護効果を発揮します。LG21乳酸菌含有ヨーグルトの胃粘膜保護効果には、このヨーグルトタンパク成分の作用も加わっていると考えられます。

 本報告の主題であるコーヒーに含まれるカフェインは胃酸分泌を刺激します。過剰に分泌された胃酸は粘膜バリアーを凌駕して完全に中和されないまま粘膜表面に到達しているようです。またコーヒーに含まれるクロロゲン酸が刺激の一部となっている可能性もあります。胃粘膜細胞層表面には内臓知覚神経と呼ばれる胃粘膜への様々な刺激を感知するセンサーが張り巡らされています。その結果、中和されずに残った胃酸が感知されて様々な胃の不快症状を引き起こしていると考えられます。ただ、浸透して到達した中和されていない胃酸の量は、解熱鎮痛剤の場合と比べるとわずかであるので、多くの人々では不快感を引き起こすに至りません。したがって、コーヒーを飲むと胃の不快感が発生する人は、このセンサーが過敏になっている可能性もあります。センサーが過敏状態の人は、他の刺激物、例えば濃い緑茶や香辛料等に対しても同様の症状が起きる可能性があります。現在、このような症状を持つ人々は増加しており、症状が重い場合は「機能性ディスペプシア」という病名がつけられています。

 コーヒーを飲むと胃に不快な症状が起きる人に対しては以前から、空腹時を避ける、カフェインレスコーヒーにする、コーヒーにミルクを入れるなどの対応が言われてきました。しかし、濃いブラックとかエスプレッソにこだわる通の人々もたくさんいます。

今回、ポジティブの結果が得られた本アンケート調査を終えて、我々は、毎日1個のLG21乳酸菌含有ヨーグルトを不快症状改善に用いることをお勧めします。今回の調査では、「胃もたれ」「胃のムカムカ感」は摂取開始1週間程度で改善が得られたのに対し、「胃の痛み」「胸焼け・胃酸が上がる感じ」の軽減には2〜3週間かかることがわかりました。したがって、コーヒー飲用に伴う胃の不快感をLG21乳酸菌含有ヨーグルトで改善できるか否かの見極めには、1ヶ月程度の継続摂取が必要と考えます。また、この方法で改善が得られない場合は、コーヒーを飲む前にLG21乳酸菌含有ヨーグルトを食べて胃粘膜をあらかじめコーティングしておくことも試みられてはいかがでしょうか。

<からだにいいこと>

女性のための健康Webメディア「からだにいいこと」には、2,000記事以上の医師や専門家による監修記事が登録されています。近年増加する間違った情報や不確かな情報で“健康情報迷子”になっている人に、「迷ったらココ!」と安心して頼りにしていただけるメディアを目指しています。

また、健康意識の高いユーザー組織「からだにいいことアンバサダー」は1,000名を超えました(2026年6月現在)。ユーザー目線にたった企画や記事、体験談のほか、アンケートデータを通じてより多く発信できる場を広げていきます。

からだにいいこと:https://www.karakoto.com/

<一般社団法人日本プロバイオティクス学会>

プロバイオティクス、さらに付随するプレバイオティクスの基礎臨床研究および製品開発を支援することを目的として設立され、その目的に資するため、学術集会の開催、学術誌の刊行、プロバイオティクス・プレバイオティクス製品開発への助言、国内外の関連学会との交流等を行っている。 

古賀泰裕(こが・やすひろ)

一般社団法人日本プロバイオティクス学会 理事長

東海大学 名誉教授

1978(昭和 53)年、九州大学医学部卒業、同大学院にて医学博士取得。1991(平成 3)年、九州大学生体防御医学研究所助教授を経て、1993(平成 5)年、東海大学医学部感染症部門教授。2018 年、定年にて退任。引き続き、同医学部消化器内科学客員教授。2026年4月に東海大学名誉教授に就任。1998(平成 10)年に現在の日本プロバイオティクス学会を設立し、理事長として同学会の発展運営に努めている。現在はプロバイオティクスの研究開発に従事。ピロリ菌の活性を抑制する作用で知られるLG21乳酸菌の第一発見者。著書:毎日新聞出版「プロバイオティクス物語」、「美味しく食べられる胃を守る」、シナジー社「医科プロバイオティクス学」など

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