マグロ加工残渣が「アボン」になるゴロンタロ州の食品加工現場を視察 ― 発酵による賞味期限延長・高付加価値化を提案

PT Awina Sinergi International、ゴロンタロ州立大学とともに地場の食品加工事業者 BMS(Bilal Mekar Snack)を訪問

スペースシードホールディングス株式会社のプレスリリース

スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:鈴木健吾、以下「SSHD」)は、2026年8月10日、インドネシア・ゴロンタロ州の食品加工事業者 BMS(Bilal Mekar Snack)を訪問し、マグロの加工残渣をフレーク状の食品「アボン(abon)」に加工する生産現場を視察しました。視察には、PT Awina Sinergi International 代表取締役社長のAnanda Setiyo Ivannanto氏、およびゴロンタロ州立大学の Arfiani Rizki Paramata 博士が同行。SSHDからは、ゴロンタロ州の農水産物を発酵させることで、食品素材および最終製品の賞味期限を延ばしながら付加価値を高めるアイデアを紹介しました。


視察の概要

実施日

2026年8月10日(月)

訪問先

BMS(Bilal Mekar Snack)
Jl. Poowo, Kel. Bulotadaa Barat, Kec. Sipatana, ゴロンタロ市(インドネシア・ゴロンタロ州)

参加者

鈴木健吾(SSHD 代表取締役CEO)
Ananda Setiyo Ivannanto 氏(PT Awina Sinergi International 代表取締役社長)
Dr. Arfiani Rizki Paramata, S.Pi., M.Si.(ゴロンタロ州立大学 講師/LPPOM MUI ゴロンタロ州支部 ハラール監査員)

目的

水産加工残渣の利用実態の把握と、発酵技術による保存性向上・高付加価値化の可能性検討

本視察は、同日にSSHD・Awina・ゴロンタロ州立大学 海洋水産技術学部の三者が締結した「アグリビジネス及び持続可能な水産資源管理分野における研究、人材育成、及び産業化の推進に関する協力協定」に基づく、最初の現地活動として実施されました。

<参考> 2026年9月7日発表「スペースシードホールディングス、PT Awina Sinergi International、ゴロンタロ国立大学 海洋水産技術学部と三者協力協定を締結」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000139.000140650.html

捨てられていた部位が、常温で流通する商品になる意義

BMSは「ゴロンタロの郷土食」を掲げる地場の食品加工事業者です。マグロの加工工程で生じる残渣を加熱・ほぐし・調味し、乾燥させてフレーク状の「アボン・イカン・トゥナ(Abon Ikan Tuna=ツナのアボン)」に仕上げています。アボンはご飯やパンに合わせて食べるインドネシアの伝統的な保存食で、常温流通が可能なため、冷蔵設備が十分でない地域にも広く届けられます。同社はこのほか、ゴロンタロ名物である燻製魚の辛味調味料「サンバル・サゲラ(Sambal Sagela)」なども製造し、直営店舗に加えて Shopee、Tokopedia、Bukalapak などのECプラットフォーム、Grab、Maxim のデリバリーサービスを通じて域外へ販売しています。

一方で、原料となる残渣の品質が季節や漁獲状況に左右されること、無添加を志向するほど賞味期限の設定が短くなること、原料由来の風味のばらつきを調味で吸収せざるを得ないことなど、小規模事業者に共通する課題も確認されました。

BMSの工場内の素材を細かくするミキサー
フレーク状にする機械
マグロをアボンにした最終商品の一例

発酵を「保存」と「価値づけ」の両輪として使う提案

SSHDは視察の場で、ゴロンタロ州の農水産物を対象とした発酵活用のアイデアを共有しました。主な論点は次のとおりです。

  • 保存性の設計。有用微生物を優占させ、pHや水分活性を制御することで、保存料に依存せずに食品素材・最終製品の賞味期限を延ばす方向性。

  • 風味と機能の付与。発酵過程でのタンパク質分解により遊離アミノ酸やペプチドを増やし、うま味・栄養価の面から残渣を「安い原料」ではなく「機能をもつ素材」として位置づける方向性。

  • 最終製品から食品素材へ。アボンのような最終製品に加え、調味料ベースや粉末素材など、他社の製品に組み込める中間素材として供給することで、単価と販路の双方を広げる方向性。

  • 残ったものも残さない。加工工程でさらに生じる副産物についても、飼料・肥料原料などへの転換を含めて一体で設計する方向性。

これらは現時点でアイデアの共有段階であり、今後、ゴロンタロ州立大学の研究設備と教員・学生の参加のもとで、原料特性の把握と小規模な試作・評価から検証を進める予定です。

BMSの食品加工の現場の様子

ハラールと品質保証を前提に

同行した Arfiani Rizki Paramata 博士は、水産学を専門とする研究者であると同時に、LPPOM MUI(インドネシア・ウラマー評議会 食品医薬品化粧品検査機関)ゴロンタロ州支部のハラール監査員、およびBNSP認定のハラール監査資格を有しています。インドネシアではハラール製品保証庁(BPJPH)のもとで食品のハラール認証が制度化されており、加工度を上げるほど原料・工程管理の設計が重要になります。SSHDは、発酵技術の導入を検討する初期段階からハラール適合と品質保証の視点を組み込むことで、地域の中小事業者が国内市場および輸出市場に無理なく到達できる形を目指します。

コメント

スペースシードホールディングス株式会社 代表取締役CEO 鈴木健吾

残渣を捨てないというのは、環境の話である前に、経済の話です。同じ魚から取れる価値を何倍にできるかは、技術と設計で決まります。発酵は、保存期間を延ばすと同時に、素材そのものの価値を上げられる数少ない手段のうちの一つです。現場で手を動かしている方々の工夫に、私たちの技術と大学の知見を重ねていきたいと考えています。

PT AWINA SINERGI INTERNATIONALについて

PT AWINA SINERGI INTERNATIONAL(PT AWINA)は、A-Wing Group(AAI)のインドネシア法人で、インドネシアを拠点に再生可能エネルギーや環境ソリューションをはじめとする事業を展開する企業です。日本企業との連携を通じ、再生可能エネルギー、廃棄物管理、循環型経済などの分野における事業創出に取り組み、日本とインドネシアをつなぐビジネス連携を推進しています。

また、北陸電力グループの北陸電気工事株式会社およびAAI CO., LTD. とともに、PT AWINA RIKUDENKO SOLAR ENGINEERING INDONESIA(ARISE)に参画しています。ARISEは2023年4月に設立された北陸電気工事株式会社初の海外子会社で、インドネシアにおける太陽光発電を中心としたエネルギーソリューション事業を展開しています。

https://awina.co.id/

スペースシードホールディングス株式会社について

スペースシードホールディングスは、「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、投資活動、研究活動ならびに事業創出を行う宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。発酵とロンジェビティー技術の社会実装を支援する「Fermentation and Longevity Fund」プログラムの運用などを軸に、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。2040年までに各種ステークホルダーとともに、人類が宇宙空間で居住するのに必要な技術を揃えることを目指しています。

https://ss-hd.co.jp/

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