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「保湿してもすぐ乾く」に向けた保湿のデュアルアクション 「NMF複合化リポソーム」を開発 | ビューティーポスト

「保湿してもすぐ乾く」に向けた保湿のデュアルアクション 「NMF複合化リポソーム」を開発

株式会社コーセーのプレスリリース

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:田中 慎二)は、加齢などで衰えた乾燥しやすい肌に対して、2つの機能から角層の水分保持能を高める「NMF複合化リポソーム」を開発しました。本技術は、NMF(天然保湿因子)による角層細胞内に水分を蓄えるアプローチと、リポソームによる肌のバリア機能の要「細胞間脂質」の構造を立て直しという、保湿のデュアルアクション機能を特長としています。本技術を用いてたスキンケア品を使用したところ、2週間で肌の水分保持能の向上に加え、皮膚弾力性をはじめとする肌状態の改善が確認されました。本研究成果の一部は第36回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会(2026年9月28日~10月1日、オーストラリア・パース)にて発表しました。

             図1 NMF複合化リポソーム連用による水分保持能の変化

研究の背景

 肌本来がみずから水分を留める力である水分保持能は、加齢に伴って低下し、深刻な乾燥を引き起こすだけでなく、バリア機能の低下、肌のハリ・弾力の低下といったエイジングサインの連鎖を招くことが知られています。肌の水分保持機能は、レンガとモルタルの関係で例えられ、水分を蓄える「角層細胞(レンガ)」と、水分の蒸発を防ぐ「細胞間脂質(モルタル)」の双方が正常に機能することで維持されます。しかし、角層細胞に天然保湿因子(NMF)などの保湿成分を届けるには、バリアとして働く細胞間脂質の緻密な構造を乗り越える必要があるため、従来の保湿ケアでは角層細胞と細胞間脂質の両方へ同時にアプローチすることは困難でした。結果として、加齢などで肌の水分保持能が衰えてしまうと、お手入れをしてもすぐに乾燥を感じてしまうことが課題とされてきました。そこで本研究では、肌の水分保持能を根本から改善すべく、独自のカプセル技術を応用した研究に挑戦しました。

NMF複合化リポソームの開発

 水分保持において重要な角層細胞および細胞間脂質の双方へ同時にアプローチする上で、当社が40年以上にわたり研究してきた「リポソーム」に着目しました。リポソームは生体類似成分のリン脂質を主成分とし、油の層と水の層が交互に重なり合う微小なカプセルで、肌との親和性が高く、そのままでは肌に馴染みにくい水溶性成分の浸透を高める特長があります。そこでリポソームにNMFを複合化して浸透させ、角層細胞を保湿し、同時にカプセル自体を構成する脂質成分が細胞間脂質を補強することで、角層細胞と細胞間脂質の双方へのアプローチを目指しました。

 複合化するNMF成分には、過酷な乾燥ストレス下でも優れた保水性を示したアミノ酸「L-セリン」を選定しました。さらに浸透性を高めるべく、カプセル表面の電荷を適度なプラス(カチオン性)に制御した「NMF複合化リポソーム」を開発しました。この開発品は、電子顕微鏡の観察により多重層構造が確認できています。(図1)

NMF複合化リポソームの角層への浸透性

 開発品の角層への浸透性を確認するため、ヒト皮膚を用いた浸透性試験を行いました。開発品と同量のセリンを含むセリン水溶液と比較した結果、開発品は、セリンの角層深部への浸透量を200倍以上に高めていることがわかりました。

NMF複合化リポソームは角層細胞の保水性を高め、細胞間脂質を補強する

 本技術が、実際に「角層細胞」と「細胞間脂質」の双方へどのような影響を与えているかを検証しました。 まず、浸透したセリンが、角層細胞内で保水機能を発揮しているか確認するため、高湿度から低湿度(砂漠の平均湿度に近い30%RH)へと湿度変化させた際における、角層細胞内のケラチン線維の収縮状態を確認しました。ケラチン線維は水分を失うと、縮んで線維同士の間隔が狭くなることが知られており、その間隔を指標に保水性の評価に用いられます。開発品をヒト皮膚に塗布した場合は、セリン水溶液と比較してケラチン線維の間隔が広く保たれており、乾燥環境下でも角層細胞が水分を保持できていることが示唆されました。(図2)

                  図2 湿度変化によるケラチン線維の間隔

 次に、開発品が細胞間脂質を実際に補強できているかを検証するため、大型放射光施設SPring-8での小角X線散乱(SAXS)解析を行いました。その結果、開発品を塗布したヒト皮膚はセリン水溶液に比べて、健全な肌に欠かせないラメラ構造由来の回折ピーク強度が上昇しており、開発品がバリア構造を物理的に補強していることが示されました(図3)。

 図3 小角X線散乱による細胞間脂質ラメラ構造の評価

連用による水分保持能の改善効果検証

 本技術が実際のヒトの肌において機能するかを検証するため、乾燥による肌トラブルが生じやすい60歳以上の健康な実験参加者(23名)を対象に、4週間の連用試験を実施しました。その結果、肌の水分量や水分蒸散量の改善にとどまらず、水分保持能が使用2週間で有意に向上していることを確認しました(図1)。加えて、皮膚の弾力性が改善することがわかりました(図4)。

図4  NMF複合化リポソーム連用による皮膚弾力性の変化

今後の展望

 本研究では、角層細胞と細胞間脂質双方にアプローチできる「NMF複合化リポソーム」を開発することで、低下した肌の水分保持能を改善させることに成功しました。本技術は複合化する成分を変えることで、水分保持能に加えて幅広い肌悩みにアプローチすることが期待できます。今後はこの技術をベースとして、さまざまな成分の複合化とこれまでにない新たな肌効果を実現し、お客さまのウェルビーイングの実現に貢献する製品・サービスの提供を目指していきます。

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