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自殺・自傷のもとにある激しい感情の嵐に対処する弁証法的行動療法(DBT)日本で広めるプロジェクト始動 | ビューティーポスト

自殺・自傷のもとにある激しい感情の嵐に対処する弁証法的行動療法(DBT)日本で広めるプロジェクト始動

DBT Tokyoのプレスリリース

世界的なDBT指導者、トニー・ドゥボーズ博士が登壇します。

プロジェクト名 

DBT Tokyo(代表:高木美恵)と一般社団法人長谷川メンタルヘルス研究所(代表:遊佐安一郎)は、2026年11月3日(武蔵野大学)および5日(早稲田大学)にてDBT特別公開セミナーをハイブリッド開催(現地&オンライン)いたします。当日は、2005年からDBTセラピストや指導者を育て、世界各地で実装を支援してきた米国 Behavioral Tech Institute(BTECH)研修サービス部門副代表のトニー・ドゥボーズ博士(Tony DuBose, PsyD)が登壇します。 

自傷行為や「死にたい」という思考・言動は、精神科や心療内科、心理相談を訪れる多くの人々が抱える切実な悩みです。近年ではこれらの行動や自殺企図の若年化が進み、深刻な社会問題となっています。周囲からは理解しがたく映る行動も、本人にとっては「感情と上手につきあえない」「激しい心の痛みに耐えられない」という人生の葛藤に対する、切実な解決策(対処行動)であることがほとんどです。 

その根底には「生まれつき刺激に敏感で感情の起伏が激しく、一旦強い感情を持つと平常心に戻りにくい」という情緒的脆弱性があると考えられます。周囲にその苦しみを理解されず孤独を深めるなかで、単に「行動をやめろ」と言われても、苦痛を乗り切る代わりの対処法(スキル)を持たなければ止めることはできません。そうした当事者の痛みに応えるため、マーシャ・リネハン博士が体系化した包括的な心理治療プログラムが弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy=DBT)です。 

DBTは1991年以来科学的根拠を構築し世界各地で普及した一方、様々な障壁により日本ではまだ十分に活用されていません。本セミナーは、DBTを実施できる専門家を育て、提供できる仕組みを全国各地に創ることを目指すプロジェクト「もっとDBTを日本へ」の発足企画です。激しい感情の嵐に苦しむ当事者やその家族を支え、同時に医療・教育・福祉の最前線で向き合うスタッフのバーンアウトを防ぐために、DBTがどのように機能するのか、その全容をトニー・ドゥボーズ博士が語ります。 

公式ウェブサイト:https://dbttokyo.wixsite.com/dbtinjapan

  1. プロジェクトの背景:日本の医療・教育・メンタルヘルス現場が直面する危機と課題

自殺企図や死にまつわる言動、慢性的な自傷、見捨てられ不安、二者択一的で衝動的な行動、激しい怒りの表出による大切な人との関係の破綻——これらに代表されるボーダーラインパーソナリティ症(BPD)の傾向に苦しむ当事者とご家族は、根本的な解決策を見出せないまま長年苦慮する事態が続いています。これらに加え、近年では日本国内における小・中・高校生の自殺者数が年間500人を超えて高止まりしており(*)、若年層の約1割が自傷行為を経験しているという深刻なデータも浮き彫りとなっています(**)。 

うつ病や双極性障害、不安症、PTSDといった他の精神疾患と併発することも少なくありません。しかし、衝動的な行動の根底にある「激しい感情調節困難(感情の嵐)」は、従来の対話主体のセラピーや服薬、個別孤立した対応、あるいは入院加療だけでは防ぎきれず、医療・福祉・心理・教育分野の最前線で向き合う専門職もまた心理的に追い込まれることがしばしばです。 

こうした「解決の糸口が見えない当事者・支援者双方の葛藤」に対し、DBTは科学的根拠に基づき世界中で確かな治療実績を上げてきました。

*厚生労働省自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課 (2026)令和7年中における自殺の状況 https://www.mhlw.go.jp/content/001680736.pdf                                                        **松本俊彦(2012)自傷行為の理解と援助。第108回日本精神神経学会学術総会教育講演。https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1140080983.pdf

2. 弁証法的行動療法(DBT)とは:科学的根拠

DBTは、従来の心理療法で改善がみられない、自殺リスクとボーダーラインパーソナリティ症(BPD)に苦しむ人たちのためにマーシャ・リネハン博士(Marsha Linehan, PhD)が開発を始め、年月をかけて体系化した包括的心理療法です。 

  • 受容と変化の統合(弁証法): ありのままの現実を認める「受容(マインドフルネス・承認)」と、変化を促す「行動科学(スキル習得・行動変容)」という相反する要素を、対立させることなく統合します(弁証法的統合)。

  • チームで支える5つの治療構造: 支援者を孤立させず、包括的に当事者を支えるために以下の5要素を複数のセラピストがチームとなって取り組みます。  1. グループスキルトレーニング(具体的な対処スキルの習得)  2. 個人セラピー(本人のモチベーションの維持・強化)  3. セッション間コーチング(実生活の現場におけるスキルの汎化)  4. セラピストコンサルテーションチーム(支援者のバーンアウト防止と質の維持)  5. ケースマネジメント(本人を取り巻く社会環境・関係機関との調整) 

  • 科学的根拠: 1991年に最初のランダム化比較試験(RCT)で有効性が報告されて以来、米国をはじめ、欧州やオーストラリアなど各国でRCTが実施され、DBTの有効性が検証されてきました(Behavioral Tech Institute)*** また、米国心理学会(APA)のDivision 12が公開する心理療法に関する情報では、境界性パーソナリティ障害に対するDBTが取り上げられています(American Psychological Association, Division 12)****

    思春期の自傷関連行動に対する有効性: 思春期向けDBT(DBT-A)は、思春期の自傷行為および自殺念慮の低減に加え、近年のエビデンスレビューでは自殺企図の低減についても、唯一の「レベル1:確立された介入法(Level 1: Well-established intervention)」と評価されています(Esposito et al., 2026)*****

***Behavior Tech Institute https://behavioraltech.org/evidence

****American Psychological Association Division 12  https://societyofclinicalpsychology.org/psychological-treatments-archive/dialectical-behavior-therapy-for-borderline-personality-disorder/)

*****Esposito EC, Patel KK, Hull S, Johnson CN, Patel MA, Glenn CR. Evidence Base Update of Psychosocial Treatments for Self-Injurious Thoughts and Behaviors in Youth: 2018-2024. J Clin Child Adolesc Psychol. 2026 Jan-Feb;55(1):1-38. doi: 10.1080/15374416.2026.2613368. Epub 2026 Feb 3. PMID: 41632025.)。

3. プロジェクト「もっとDBTを日本へ」の構想と社会課題へのアプローチ

世界各地で浸透したDBTが、なぜ日本では普及してこなかったのか。そこには複数の構造的な障壁が存在します。 「弁証法的行動療法」という名称の難解さに加え、日本語の文献が乏しく、研修の多くが欧米で開催されることによる「言語と情報へのアクセスの壁」。さらに、5つの機能を備えた包括的治療構造ゆえに、人手不足に悩む医療現場では「導入のハードルが高い」と敬遠されがちでした。また、日本人を対象とした大規模な臨床研究も開拓途上のままです。これらすべての根底には、日本国内に世界基準の正規トレーニングを受けたDBTセラピストや組織的インフラが決定的に不足しているという現実があります。 

本プロジェクトは、米国BTECHとのパートナーシップのもと、2027年以降に日本初となる「正規包括研修」を開催し、将来的に日本全国各地においてモデルに忠実な標準DBTを提供できる体制を整備することを目指します。 

単なる技法の紹介にとどまらず、現場にプログラムを定着させる「実装科学(Implementation Science)」の観点やアジア各国での導入知見を活かし、専門家や医療機関が最初の一歩を踏み出せる国内実践者コミュニティを形成。日本国内で、日本語による包括的な研修体制を実現することを目指しています。

プロジェクト「もっとDBTを日本へ」の目標

4. 2026年11月 招聘セミナー開催概要

【セミナー①】DBTとは何か・DBT導入のための研修とは(臨床家・研究者・医療組織向け)

・日時:2026年11月3日(火・祝)13:00 〜 16:30 

・会場:武蔵野大学 有明キャンパス 1号館306教室 + オンライン同時配信(ハイブリッド) 

・登壇:トニー・ドゥボーズ博士、アジア各国のDBT導入実践者 

・第一部(13:00〜14:30):DBTオリエンテーション(理論的基礎、行動科学と受容の統合、世界標準トレーニングの全体像) 

・第二部(15:00〜16:30):アジア各国でのDBT実装の実際と課題(組織導入・現場課題Q&A)※14:30〜15:00現地ネットワーキング 

・参加費:3,300円(税込)

【セミナー②】思春期と保護者・養育者のためのDBT(教育・福祉・医療関係者・学生向け)

・日時:2026年11月5日(木)15:00 〜 17:30 

・会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 3号館602教室 + オンライン同時配信(ハイブリッド) 

・登壇:トニー・ドゥボーズ博士 

・内容:思春期特有のリスク要因とバイオ・ソーシャルモデル/マルチファミリー・アプローチ「中を取る(Walking the Middle Path)」/学校・地域における定着と汎化 

・参加費:2,200円(税込) 

・協賛:早稲田大学 井合研究室

5. 登壇者プロフィール

■ トニー・ドゥボーズ(Anthony P. DuBose, PsyD)博士 米国 Behavioral Tech Institute (BTECH) 研修サービス部門副代表 / ワシントン州公認臨床心理士 / DBT-リネハン資格認定委員会 認定臨床家™ DBT創始者マーシャ・リネハン博士の直系の共同研究者として、四半世紀にわたり普及と臨床実装を牽引。入院加療中の青少年の劇的な回復を目撃したことから自殺リスクにある人びとのために働くことをライフワークとし、世界各地で何万人もの臨床家・政府機関・医療システムにDBT導入コンサルテーションを提供してきた。世界弁証法的行動療法協会(WDBTA)国際普及委員会メンバー。

6.主催代表プロフィール

■ 遊佐 安一郎(Yasuichiro Yusa, Ed.D.) 一般社団法人 長谷川メンタルヘルス研究所 代表・所長 / 臨床心理学者・教育学博士(Ed.D.) 米国ニューヨーク州立大学オールバニ校大学院にて教育学博士号(Ed.D.)取得。東京大学大学院教育学研究科客員教授等を歴任。日本における家族療法、認知行動療法、そしてDBTの草分け的存在として、半世紀近くにわたり日本の心理臨床と臨床家教育に関わってきた。長年、複雑な困難を抱えるクライアントとご家族に向き合い続けてきた経験から、本プロジェクトの共同主催代表として組織基盤と実装体制の構築を牽引している。

■ 高木 美恵(Mie Takaki) DBT Tokyo 代表 / 臨床心理士・公認心理師 / DBT-リネハン資格認定委員会 認定臨床家™ 。DBT創始者マーシャ・リネハン博士の自伝『私が弁証法的行動療法をつくらなければならなかったわけ(Building a Life Worth Living)』の翻訳者。東京にて日本語と英語で標準DBTプログラムを提供する傍ら、米国BTECHとの交渉を粘り強く続け、国内導入への道筋を模索している。現在、BTECH認定のDBT指導者となるための専門研修を受講中。DBTアジアパシフィック協会(APAC-DBT)イベント委員会メンバー。

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