株式会社コーセーのプレスリリース
※ 2021年9月16日発行 ニュースリリース
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2021/09/2021091601.pdf
動画URL:https://youtu.be/IhmzFz2w2Z8
- 研究の背景
マスカラは、まつ毛を「カールさせる効果」と、その状態を長時間保つ「カールキープ効果」が重要な基本品質のひとつとして求められています。このカールキープを崩す要因となる汗や水への耐性を強めたタイプとして、「ウォータープルーフタイプ」のマスカラが知られていますが、洗顔時に専用のリムーバーが必要であったり、落とす時にまつ毛やまぶたへの負担感があったりすることが課題でした。一方、この課題を解決するため、「フィルムタイプ」と呼ばれる簡単に落とせるマスカラも市場に広がっていますが、汗や水への耐性が比較的弱いことから「カールキープ効果」が長時間持続しないという課題がありました。そこで今回、「ウォータープルーフ効果」と「落としやすさ」の両方の機能を高いレベルで併せ持つマスカラの実現を目指し、新素材の開発を行いました。
- 高いウォータープルーフ効果と落としやすさを両立させる素材開発
今回、着目したのはマスカラのウォータープルーフ効果に欠かせない「皮膜形成剤」という素材です。本素材はその構造の中に、形状を維持する硬い膜になる部分と、動きに追従する柔らかい膜になる部分を併せ持っています。そのため、室温ではまつ毛を上向きに固定する硬さと、まばたきの動きに耐える柔軟性を有しています。さらに、硬い部分と柔らかい部分の割合・配置を制御することで、温度に応答して柔らかさが変化するように設計しました(図2)。そのため洗顔時はお湯で柔らかくなり、簡単に落とすことができます。
上記の技術開発を経て、汗や水に強いウォータープルーフ効果がありながらも、洗顔時にお湯で簡単に落とせる皮膜形成剤の開発に成功しました。
- ウォータープルーフ効果とメイクオフ効果の確認
新素材を配合したマスカラ(開発品)のウォータープルーフ効果とメイクオフ効果の検証を行いました。ウォータープルーフ効果の検証として、人工皮革に開発品を塗布し、20℃の水に1分浸した後、コットンでこすりました。その結果、化粧膜は剥がれず、高いウォータープルーフ性を有していることが確認できました(図1左)。メイクオフ効果の検証には、従来のウォータープルーフマスカラとの比較を行いました。先ほどと同様に開発品、従来品をそれぞれ40℃のお湯と洗顔料を混合した液に1分浸した後、コットンでこすりました。その結果、開発品は簡単に落とすことができたのに対し、従来品では化粧膜をほぼ落とすことができませんでした(図1中、右)。このことから、今回の開発品はウォータープルーフ効果とメイクオフ効果を両立できていることが分かりました。
- カールキープ効果の確認
新素材を配合したマスカラの実際のカールキープ効果を検証するため、マスカラを塗布し、塗布直後と10時間後のまつ毛のカール度合いを測定しました。その結果、日中の汗や水の影響を受けることなく、10時間後もカール効果が持続できることが確認できました(図3)。
- 今後の展望
本研究成果はマスカラだけでなく、ウォータープルーフ効果とメイクオフ効果の両立が求められるアイシャドウやベースメイク製品への応用も検討しています。コーセーでは、今後もお客さまのニーズに寄り添い、よりよい価値を提供すべく、新規性と有用性の高い研究開発を続けていきます。
- 参考資料
2021年9月16日発行 ニュースリリース
~お湯と洗顔で落とせるウォータープルーフマスカラ~
「落ちにくさ」と「落としやすさ」を両立『ファシオ』からハイブリッドなマスカラを発売
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2021/09/2021091601.pdf