株式会社再春館製薬所のプレスリリース
株式会社再春館製薬所(本社:熊本県上益城郡益城町 代表取締役社長 西川正明 以下、再春館製薬所)は、熊本県を主産地とする柑橘「パール柑」の皮から抽出したエキスに、線維芽細胞の「遊走性活性化」作用を確認。この「コラーゲンを生成する細胞の移動」作用により、人体において“ムラの無いコラーゲン生成”分布が期待され、シワ予防効果への応用研究に展開していけることが示唆されました。
同研究成果は、「日本生薬学会第67回年会」(2021年9月19日・20日)にて発表いたします。
漢方の製薬会社・再春館製薬所では、至る所に漢方理念が息づいています。例えば、果実の“皮”――リンゴの皮を剥くとすぐに変色してしまうことでも明らかなように、「皮は果実を守る生命エネルギーを秘めている」という発想から、その力強さを原料に活かすための検討を行うことも珍しくありません。
新たに“地産地消の原料”という観点で着目したのは、熊本県のブランド柑橘「パール柑」の皮が持つ力。大橘(おおたちばな)という柑橘の、熊本県産のものを「パール柑」と呼びますが、名前のように真珠色に輝く美しい果肉と爽やかな香り、甘酸っぱい味が特徴で、ビタミンCを豊富に含みます。
再春館製薬所は近年、水俣市で40年以上農薬不使用栽培にこだわり続ける生産者グループ 「からたち」から果実の提供を受け、美容や健康に役立てるための研究を重ねてきました。
パール柑
■人体に備わる、コラーゲン生成のカギ「細胞遊走性」
コラーゲンを生成する“線維芽細胞”は、細胞の密度が薄いところに自ら歩くように移動する働き、「遊走性」を有しています(写真1)。しかし、人体に本来備わっているこの力も、年齢を重ねるにつれて衰えていくことが報告されており、「線維芽細胞密度にムラが生じる」ことは、「細胞の無い箇所では、コラーゲンが生成されない(生成されるコラーゲンの分布にムラが生じる)」と言い換えができるとも考えられます。
1974年、日本で最初にコラーゲン*を美容成分として基礎化粧品「ドモホルンリンクル」に配合した実績からも、コラーゲン研究に定評がある再春館製薬所は、コラーゲン生成のカギとなる「細胞遊走性」を高める可能性を、本研究素材の「パール柑」から抽出したエキスに求めました。
* 配合目的:保湿・肌をなめらかに
写真1:細胞遊走の様子
■パール柑エキスの効果 「細胞遊走性の活性化作用」
細胞遊走性を有する植物の評価においては、細胞遊走性関連因子(SPP1/CD44v6)の発現量を指標にしています。検討の結果、特に柑橘類には活性傾向があることが判明。さらに詳細な検討により、「パール柑」から抽出したエキスには、最も有意な効果を見出しています(図1)。
図1:パール柑エキスの「細胞遊走性」関連因子活性効果
また、パール柑エキスの遊走性において線維芽細胞を用いた検証では、濃度に比例して遊走活性が高まることも確認できました(写真2/赤枠内細胞の“疎”→“密”への変化を確認)。
写真2:パール柑エキスの細胞遊走活性化
■再春館製薬所の“独自原料”として、製品への応用へ春館製薬所の“独自原料”として、製品への応用へ
コラーゲンが不足した箇所にはシワが生じる一因となるため、パール柑エキスの働きによって、細胞密度が均一化されるという結果は、「(コラーゲンが不足した箇所にも)細胞がバランスよく分布され、コラーゲンが生成されやすい環境に整える」こと、「コラーゲン不足によるシワ発生の予防」を示唆し、再春館製薬所は、肌のハリ・弾力不足といった肌悩みにアプローチする、“独自原料”への応用を目指しています。
また、人体のタンパク質全体の30%を占めるコラーゲンは、「肌悩みに対する美容成分」というイメージが先行していますが、実はコラーゲンは、肌のみならず、骨や血管、腱の柔軟性、関節の動きをなめらかにするなど、身体全体に存在する非常に重要な基盤成分です。そのため研究範囲も、肌(真皮)における有効性の検証や活性成分の特定に加え、健康食品などへの展開も広く視野に入れてまいります。
今後の再春館製薬所の製品ラインナップに、どうぞご期待ください。