マンダム、水相内に複数かつ大量のオイルを含むオイルゲルの形成に成功

(株)マンダムのプレスリリース

株式会社マンダム(本社:大阪市 社長執行役員:西村健)は、生活者の毛髪に関するウォンツを叶える化粧品(医薬部外品を含む)の開発を行っています。そのひとつとして、多様な機能性を有するヘアオイルの製剤研究に取り組んでいます※1。
今回、毛髪にべたつきのないサラサラの感触を与えつつ、うねりやくせを抑制し、まとまりを付与できるヘアオイル製剤の開発を目指しました。本来混ざりにくい植物油とシリコーン油を混合させる技術に加え、保湿剤を含んだ水相に、植物油とシリコーン油の混合オイルを大量に含ませるO/LC※2(高内相液晶)型のオイルゲル形成に成功しました。2021年8月発売の「ルシードエル オイルトリートメント #EXヘアオイル うねり・くせケア」には本技術が応用されています。

  • 研究の背景

近年、自然なツヤ感を付与でき、トレンドスタイルを実現できるヘアオイルを使用する生活者が増えています。その中で、べたつき感の少ないヘアオイルが人気ですが、ヘアオイルユーザーが最も感じている髪悩みは、自然なまとまり感を阻害する「うねり・くせ」です※3。

一般的にヘアオイルは、水を含有しないオイル成分のみから成り、植物油主体の製剤とシリコーン油主体の製剤に二分されます。毛髪のうねりやくせを抑制しまとめるためには、植物油主体のヘアオイルが適していますが、頭髪全体への伸びが悪く、べたつき感や見た目のギラツキが高いという特徴を有しています。一方、近年主流となっているシリコーン油主体のヘアオイルは、サラサラの指通りで自然な仕上がりになりますが、毛髪のうねりやくせを抑制しまとめる効果は低い傾向があります。また、オイル成分の種類により差はあるものの、オイル成分が手や髪に付着するとべたつき感が生じるというデメリットが存在します。

以上から、毛髪のうねりやくせを抑制して自然なまとまりを付与でき、従来よりもべたつきが少なくサラサラとした使用感のヘアオイルの開発が必要だと考え、そのために2つの技術の確立を目指しました。
①植物油とシリコーン油の利点を活かすために、植物油とシリコーン油を均一に混合する技術
②オイル成分の利点を発揮しつつもオイル特有のべたつきを抑えながら、毛髪の自然なまとまり感を向上させる技術

  • 互いに混ざり合わない2種のオイルを均一に混合する技術を開発

​うねりやくせを抑制し毛髪をまとめる効果が高い植物油と、サラサラで使用感の良いシリコーン油は、化学的性質が異なるため互いに混ざり合いません。今回、両オイルへの親和性が高く、仲を取り持つ役割を果たす油(バインダーオイル)を発見しました。このバインダーオイルを用いることで、2種のオイルを相互溶解することが可能となり、1相の混合オイル(以下、均一混合オイル)の開発に成功しました(図1)。​

  • 保湿剤を含んだ保湿ゲルに、混合オイルを大量に含ませた高内相液晶オイルゲルを開発

均一混合オイルの開発により、両オイルの利点を活かすことはできるものの、その利点を十分に発揮できるわけではありません※4。一方、保湿剤にはオイルのようなべたつきはなく、毛髪をまとめる効果があります。そこで、うねりやくせを抑制し毛髪を自然にまとめる能力を向上させ、べたつきを低減するためには、オイルに保湿剤を配合することが有用だと考えました。水溶性の保湿剤を非水系である通常のヘアオイルに配合する方法としては乳化がありますが、外観が白色となりオイル様外観を有さないことに加え、配合できるオイル量に制限があり、オイルの利点を発揮できません。そこで、今回オイル様外観を有しながらオイルの利点を発揮できる製剤として、特定の界面活性剤と水やグリセリンで形成した保湿ゲルに、均一混合オイルを大量に含ませた混合オイル内包型のO/LCオイルゲル(高内相液晶オイルゲル)の形成に成功しました(図2)。

  • うねりやくせをのばして毛髪をまとめる能力が高いこと、べたつきが低いことを確認

​高内相液晶オイルゲル製剤(開発製剤)を毛束に塗布し、機能性および使用性を評価しました。
≪機能性および使用性の評価方法≫
●うねりやくせを抑制し、毛髪をまとめる効果(図3)
30cmのブリーチ毛束に、開発製剤および比較品を一定量塗布し、状態を確認。
●べたつき(図3)
10cmの平毛束に、開発製剤および比較品を一定量塗布した後、木くずをふりかけ、状態を確認。
●うねり・くせのばしの維持(図4)
「うねり・くせ」に対して、ヘアアイロンなどの熱機器で対処する使用シーンを想定し、パーマネントウェーブ処理を行った30cmカール毛束に、開発製剤および比較品を一定量塗布後、180℃のヘアアイロンでストレートにスタイリングし、35℃、湿度80%下で10時間放置した後、状態を確認。
≪評価結果≫
開発製剤は、植物油やシリコーン油、均一混合オイルを塗布した場合よりも、うねりやくせを抑制して毛髪をまとめる能力が高く、べたつき感も少ないことを確認しました。
また、うねり・くせのばしの維持評価に関して、均一混合オイルよりも開発製剤を塗布した場合の方が、カール戻りが比較的起こりづらく、均一混合オイルよりもうねり・くせをのばした状態を維持できていました。

今回は、毛髪のうねりやくせを抑制し自然なまとまりを付与でき、従来よりもべたつきが少なくサラサラとした使用感のヘアオイルの開発をすすめた結果、開発製剤で求めていた機能性・使用感を実現するとともに、ヘアアイロンなどの熱機器を使用した際にはうねり・くせをのばした状態を維持できることもわかりました。今後は、複数のオイルを含む高内相液晶オイルゲル形成技術の製品応用をすすめ、生活者により快適にお使いいただけるヘアオイル製剤技術の進化、深化を図ってまいります。

※1 第84回SCCJ研究討論会:「アルキルエーテルリン酸塩を用いた高内相液晶オイルゲル(O/LCゲル)の調整とオイルゲルの粘度コントロール方法について」
※2 液晶(固体のように規則的な分子配列を維持しながらも液体としての流動性をもつ状態)中に油が保持された構造
※3 参考リリース:「ルシードエルオイルトリートメント#EXヘアオイルうねり・くせケア」2021年6月14日
https://www.mandom.co.jp/release/202106140105.html
※4 ≪機能性および使用性の評価方法≫の一部にて検証(図3.A~Dを参照)

【参考資料】
図1.
左) 2相分離した植物油(クランベアビシニカ種子油)とシリコーン油
右) バインダーオイルで1相混合した植物油(クランベアビシニカ種子油)とシリコーン油

図2. 高内相液晶オイルゲルのA)外観とB)顕微鏡画像

図3. うねりやくせを抑制し、毛髪をまとめる効果とべたつき

図4. 開発製剤(高内相液晶オイルゲル)のうねり・くせのばしの維持の効果

 

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