ケストースによるヒトのインスリン抵抗性を改善する効果について国際科学雑誌『 Nutrients(ニュートリエンツ )』に掲載

物産フードサイエンス株式会社のプレスリリース

物産フードサイエンス株式会社(東京都千代田区大手町、代表取締役社長:横山 昌己)は、産学共同研究としてケストースによるインスリン抵抗性改善効果に関する研究を進めてまいりましたが、このたび本研究成果が国際科学雑誌『Nutrients(ニュートリエンツ)』に掲載されましたのでお知らせいたします。

 掲載論文について
・ ケストースによるインスリン抵抗性改善効果
これまでに、二型糖尿病を自然発症するモデル動物であるOLETFラットを用いて、ケストースの摂取によって糖尿病の主原因の一つであるインスリン抵抗性が抑制されることが報告されています。注1)
今回の報告では、高脂肪食によって肥満を誘導したラットにケストースを摂取させることで、糖尿病モデル動物と同様にインスリン抵抗性が抑制されることを報告しております。さらに、BMIが高めの健常者を対象とした臨床試験も実施しており、ケストースの継続的な摂取によってインスリン抵抗性を抑制されることを合わせて報告しております。
インスリン抵抗性は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などいわゆる生活習慣病の原因であることが報告されており、今回の報告によって、ケストースの継続的な摂取が生活習慣病の予防に有効である可能性が示されました。

・ケストースによる腸内細菌叢の調整効果
同臨床試験において、ケストースを摂取することにより、Bifidobacterium属細菌の有意な増加やEggerthella属細菌の減少傾向(P = 0.056)が観察されました。Bifidobacterium属細菌は酢酸を産生することが知られており、腸内細菌が腸内で産生する短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など健康に良い効果がある成分の総称)は、短鎖脂肪酸受容体であるGPR43の活性化を介して、肥満の予防と全身のインスリン感受性の改善につながることがマウス実験で報告されています。注2) また、Eggerthella属細菌はイミダゾールプロピオン酸の産生を介してインスリンシグナルを阻害し、耐糖能を悪化させることが報告されています。注3) これらの結果から、ケストースを用いたプレバイオティクス介入は、腸内細菌叢の調整を介して、肥満傾向の健常者のインスリン抵抗性を改善する可能性が示唆されました。

 

論文のURL
https://www.mdpi.com/2072-6643/13/9/2983

本共同研究グループについて
本共同研究グループは、以下の組織で構成されています。

 

「ケストースとは」
スクロースに1分子のフルクトースが結合した三糖類の難消化性糖質で、タマネギやアスパラガス、ニンニク、大麦、ライ麦など、人が日常摂食する野菜や穀物にも含まれています。砂糖に似たまろやかな甘味を有しており、摂食後は消化・吸収されることなく大腸まで届き、「ビフィズス菌」、「乳酸菌」、腸管内で酪酸を産生する「酪酸産生菌」などの有用菌の栄養源となることが報告されています。

注1)PLOS ONE, An Alteration in the Cecal Microbiota Composition by Feeding of 1-Kestose Results in a Marked Increase in the Cecal Butyrate Content in Rats, November 18, 2016
注2)Nature Communications, The gut microbiota suppresses insulin-mediated fat accumulation via the short-chain fatty acid receptor GPR43, May 13, 2013
注3)Cell, Microbially Produced Imidazole Propionate Impairs Insulin Signaling through mTORC1, October 25, 2018
 

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