日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、これまで培ってきた幹細胞を解析する技術を活かし、黒髪と白髪の違いについて詳細に解析し、白髪では色素をつくる元となる「色素幹細胞」の数が減少していることを確認しました。また、その原因として色素幹細胞の維持に必要なタンパク質(CXCL12)の発現が弱まっていることを発見しました。さらに、CXCL12の発現を高める素材(超熟紅参、トリュフなど)に、白髪を予防する効果があることを確認しました。
黒髪の色はメラニンと呼ばれる色素によって決定されており、このメラニンはメラノサイトと呼ばれる細胞から供給されています。メラノサイトは毛包のバルジに存在する“色素幹細胞”から生み出されます。加齢やストレスなどによって色素幹細胞の数が減ってしまうと、メラノサイトが生み出されなくなりメラニンの供給が不足し、白髪になることが分かっています。今回メナードでは、毛包において「CXCL12」と呼ばれる特殊なタンパク質が、色素幹細胞の維持に重要な役割を果たしていることを発見しました。そして、このCXCL12の発現が低下すると色素幹細胞が維持できなくなり、メラニンの供給が滞ることで白髪が生じると考えられました。
そこで、CXCL12の発現を高める素材を探索し、キノコの一種である「トリュフ」と高麗人参を蒸して得られる「超熟紅参(ちょうじゅくこうじん)」から抽出したエキスに、CXCL12の生成を高める効果を発見しました。さらに、これらのエキスを配合したローションを3か月間頭皮に塗布した結果、白髪を予防する効果があることを確認しました。
今回の発見は、色素幹細胞をターゲットにした新しい白髪ケア技術の開発へ応用できると期待しています。
<参考資料>
1.黒髪が生える仕組み
毛髪の色は、メラニンの量によって左右されます。メラニンをつくり出すのは、メラノサイトと呼ばれる細胞です。毛穴の中にある毛包のバルジと呼ばれる領域に存在する「色素幹細胞」が、メラノサイトへと分化をしながら毛穴の奥に位置する毛球へと移動し、毛髪にメラニンを供給しています。一方、毛髪自体は、毛球部の毛母細胞から作られます。この毛母細胞の起源は、バルジ領域において色素幹細胞と隣接して存在する「毛包幹細胞」です。毛包幹細胞から分化した毛母細胞が、分裂を繰り返しながら毛髪へと変化していくことで、日々髪の毛は伸長しています。
毛母細胞がメラノサイトから十分な量のメラニンを受け取ることで、黒色の髪が生えてきます(図1)。
2.色素幹細胞が存在できる環境
これまでの研究から、色素幹細胞と毛包幹細胞は毛包の「バルジ」と呼ばれる特殊な領域に存在することが明らかになっています。そこで今回、バルジ領域について詳細に解析した結果、毛包幹細胞が産生する「CXCL12」と呼ばれるタンパク質がバルジ領域における幹細胞の維持に重要な役割を果たしていることを突き止めました。また、黒髪と白髪を比較した結果、白髪ではCXCL12の発現が減少していることを発見しました(図2)。つまり、白髪の原因として、バルジ領域においてCXCL12の発現が低下することで、色素幹細胞を維持できなくなり、メラノサイトの供給が滞ることが原因であると考えられました。
3.CXCL12の生成を高める成分の探索
白髪を予防するためには、バルジ領域のCXCL12の生成を高めることが重要だと考えられます。そこで今回、毛包幹細胞に様々な成分を添加し、CXCL12の生成を高める成分を探索しました。その結果、「トリュフ」と高麗人参を特殊な条件で蒸して得られる「超熟紅参(ちょうじゅくこうじん)」から抽出したエキスにCXCL12の生成を高める効果があることが分かりました(図3)。
4.トリュフエキスと超熟紅参エキスによる白髪の予防効果
男女21名を対象に、トリュフエキスと超熟紅参エキスを配合したローションを頭皮の左右どちらか一方に3か月間使用してもらい、白髪の予防効果について検討しました。毛根を採取して解析したところ、3か月間ローションを使用することでCXCL12の発現が高まっていることを確認しました(図4)。また、3か月間でローションを使用していない側の白髪が増えた9名について、ローションを使用した側の白髪の本数を解析した結果、白髪の増加を予防する効果があることが分かりました(図5)。