日本人は、日常生活でどのくらい体を動かしているか? 「仕事」が62.7%の一方、「余暇」は18.8%にとどまる

公益財団法人 笹川スポーツ財団のプレスリリース

「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する公益財団法人笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区 理事長:渡邉一利 以下:SSF)は、1992年から隔年で全国の18歳以上を調査対象に、運動・スポーツ実施状況やスポーツ観戦率、スポーツボランティア実施率、好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
2020年度調査では、世界保健機関 (WHO) 開発の、人々の身体活動量を把握するための質問票「世界標準化身体活動質問票(GPAQ)」の質問項目を追加いたしました。健康づくりに欠かせない身体活動を増やす政策や施策を推進するには、余暇に行う運動・スポーツを含むさまざまな生活場面で、人々はいつ・どれぐらい体を動かしているのかを把握する必要があるためです。
調査結果では、日本人の総身体活動量のうち、仕事が62.7%と割合が高い一方、運動・スポーツを含む余暇の割合は18.8%にとどまることが分かりました。
今後は、「健康のため」の身体活動推進方策だけでなく、レジャーやスポーツの視点から方策の検討が必要です。

 

  • 調査結果のポイント

全体の総身体活動量の平均は「34.8メッツ・時/週」(※)

【内訳(%)】
仕事21.8メッツ・時/週(62.7%)
移動6.4メッツ・時/週(18.5%)
余暇6.5メッツ・時/週(18.8%)

※メッツ「安静時を1としたときに、何倍のエネルギーを消費するか」を示す“運動強度”の単位
 例 ウォーキング(速歩)は4.5 メッツ、ランニングは10 メッツ。

・メッツ・時/週:「運動強度×時間」で計算する“運動量”の単位。ある運動強度「a メッツ」の運動を1 時間実施する場合に「a メッツ・時」、1週間の平均「a メッツ・時/週」
 

  • 「GPAQ:Global Physical Activity Questionnaire (世界標準化身体活動質問票)」とは?

・GPAQ
世界保健機関(WHO:World Health Organization: WHO)が開発した質問票。

・目的
余暇に行う運動・スポーツを含む、生活全体における人々の身体活動量を把握する。

・項目
3領域 (仕事、移動、余暇) と座位から構成され、さらに3領域の身体活動は中強度と高強度に分かれる。

・身体活動量の測り方
週あたりの身体活動時間に強度を掛けて算出。強度はメッツという単位で示され、安静状態には1メッツ、中強度の身体活動には4メッツ、高強度の身体活動には8メッツが割り当てられる。
例えば、仕事で週に5時間激しく動く人の身体活動量は「5×8メッツ=40メッツ・時/週」となる。
 

  • 担当者コメント

「健康のため」の身体活動推進方策だけでなく,レジャーやスポーツの視点から方策の検討を

 われわれが普段体を動かす方法の一つに運動・スポーツがあり,それは余暇時間に行うものというイメージを持つ人々は少なくないだろう.しかし,調査結果から日本人は仕事の身体活動が多く,余暇の身体活動は高くないことが分かった.この結果は意外かもしれないが,余暇の身体活動を増やせば生活全体の身体活動量を伸ばす可能性があると捉えることもできる.

これまで,身体活動の推進に向けて,健康増進にかかわる研究分野を中心に方策検討が進められてきた.しかし,運動・スポーツが健康に良いと理解していても行動につながらないこともある.今後は,レジャーやスポーツマネジメント分野といった多方面からの研究と方策検討を期待したい.

【追手門学院大学 社会学部 社会学科 特任助教 藤岡 成美】
※元笹川スポーツ財団 スポーツ政策所 政策オフィサー
 

  • 調査結果

■日本人の身体活動のいま

全体の総身体活動量の平均は34.8メッツ・時/週であり、領域別に内訳(%)をみていくと仕事62.7%、移動18.5%、余暇18.8%である。総身体活動量をみると男女の差が大きく、全ての年代で女性よりも男性の方が高い。ただし、若年ほど総身体活動量が多いという傾向は共通する。

領域に関しては、男女とも仕事の身体活動量が多いが、特に男性20~40歳代において仕事の割合が高い(20歳代 69.3%,30歳代 76.2%,40歳代 73.0%)。余暇の身体活動量は男性8.6メッツ・時/週、女性4.5メッツ・時/週となっている。

図:全体および仕事・移動・余暇の身体活動量(全体,性・年代別)
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020

▼本リリースの全文はこちら
https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/gpaq/01.html

 

  • 参考:運動・スポーツ実施頻度(全体・年代別) 「スポーツライフ・データ2020」より

下記は、運動・スポーツ実施頻度を「非実施」から「週7回以上」までの9区分で示した図である。
年代別にみると、18・19歳は「非実施」が18.1%と低く、「週3回以上4回未満」「週4回以上5回未満」の割合がそれぞれ12.5%、9.7%と他の年代よりも高い。20歳代は「非実施」が28.9%で最も高いほか、「週6回以上7回未満」が2.1%と他の年代より低い特徴がある。30歳代と40歳代は、「非実施」が25%前後で18・19歳に次いで低いが、「週7回以上」の高頻度実施者もそれぞれ12.7%、12.5%と他の年代と比べて低い。

続く年代をみると、「週1回未満」の割合は50歳代11.1%、60歳代10.9%、70歳以上4.2%であり、年代が上がるとともに低くなる。50歳以上の「週6回以上7回未満」と「週7回以上」の割合は50歳代が4.8%と15.5%、60歳代が5.2%と18.2%、70歳以上が5.5%と28.7%であり、年代が上がるにつれて高頻度実施者の割合が高くなり、特に70歳以上では「週7回以上」が28.7%と突出している。50歳以上では、週1回に満たない頻度で運動・スポーツを実施する者の割合は年代とともに低くなり、週7回以上のように高頻度で運動・スポーツを行う者が多くなる。

参考図:運動・スポーツ実施頻度(全体・年代別)
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020

  • 笹川スポーツ財団

代表者 : 理事長 渡邉 一利
所在地 : 〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
設立 : 1991年3月
目的 : スポーツ・フォー・エブリワンの推進
事業内容:
・生涯スポーツ振興のための研究調査
・生涯スポーツ振興機関との連携事業
・生涯スポーツ振興のための広報活動
URL : https://www.ssf.or.jp/

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