アトラス日本合同会社のプレスリリース
腸内フローラにとって忘れてはならない重要なこと
人工甘味料は、世界中で最も広く使われている食品添加物であり、多くの人が代謝性疾患や体重増加を防ぐために「ダイエット」ソーダやカロリーゼロの飲み物に切り替えるようになっています。
人工甘味料は、砂糖の何百倍もの甘さを持ちながら、カロリーはごくわずかという、マーケティング担当者にとって夢のような食品添加物です。ダイエットコークのカロリーがゼロで、砂糖の含有量もゼロなのはなぜなのか、不思議に思ったことはありませんか。人工甘味料は糖分たっぷりでおいしいのにカロリーフリーの一挙両得の食品でしょうか。それとも、これらの化学物質の裏にはほろ苦い真実があるのでしょうか。
最も一般的な甘味料はアスパルテームとスクラロースで、どちらもAceKと呼ばれる化学物質が配合されています。清涼飲料水の3分の1はこの化学物質を含んでおり、チューインガム、歯磨き粉、ビタミン剤など様々な製品に添加されています。また、甘味料に天然の糖分を配合するケースも増えています。
スクラロースやアスパルテームなど、ほとんどの人工甘味料はFDAなどの規制機関によって安全であり、十分な耐性を備えていると判断されています。さらに、多くの人工甘味料はカロリーがないだけでなく、体内に影響をもたらさず通過します。そのため、人工甘味料は代謝的に「不活性」であり、痕跡を残さない糖分のお化けであるとされています。
人工甘味料をよく摂取する方や、最近便秘や下痢、あるいは肌荒れや食欲不振、自律神経の不調といった自覚のある方は、一度腸内フローラ検査を体験されてはいかがでしょうか?
Atlas 腸内フローラ検査のレポートダッシュボード
人工甘味料は腸内環境に影響なしなのか?
現在は、腸内に存在する何兆個もの細菌が、免疫から代謝まであらゆるものに影響を及ぼし、人間の健康に重要な役割を果たしていることが知られています。しかし、これまで規制当局の研究は、新しい物質を研究する際に腸内フローラの重要性を軽視してきました。
人工甘味料は小腸で吸収されずに大腸まで移動し、その過程で腸内細菌と相互作用します。人工甘味料は不活性ではなく、腸内フローラを変化させることで身体に病的な変化をもたらす可能性があることを示す証拠が登場しています。
人工甘味料がグルコース不耐性(耐糖能異常)の原因となる
グルコース不耐性とは、一度に大量の糖分を摂取したときに身体がそれを代謝しきれなくなる状態のことを言います。Nature誌に掲載された2014年の研究<https://genie.weizmann.ac.il/pubs/2014_nature.pdf>は、人工甘味料として利用されているアスパルテーム、サッカリン、スクラロースが、腸内細菌の変化を介して血糖値の異常を引き起こすことを、ヒトと動物の両方のモデルで実証したもので、広く引用されています<https://lab-sunchlorella.jp/health/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%94%98%E5%91%B3%E6%96%99%E3%81%A8%E8%80%90%E7%B3%96%E8%83%BD%E7%95%B0%E5%B8%B8%E3%81%A8%E8%85%B8%E5%86%85%E7%B4%B0%E8%8F%8C/>。
この3つの人工甘味料のうち、サッカリンは腸内細菌に最も顕著な悪い影響をもたらすことが示されました。FDAが推奨する1日のサッカリン摂取量(マウスの体に合わせて調整)を行っても、マウスは耐糖能異常を示しました。一方、天然の糖類、すなわちグルコースとスクロースを与えたマウスは、このような代謝の変化を示しませんでした。循環血糖値が高くなると、長期的には2型糖尿病を引き起こし、心臓病のリスクも高まります。興味深いことに、マウスに広域抗生物質を投与して腸内細菌を死滅させると、血糖値が正常に戻ったことから、腸内細菌が変化の引き金になったことが示唆されました。また、サッカリンを摂取したマウスの微生物を、腸内フローラを持たない無菌マウスに移植すると、ドナーの血糖値反応が採用され、腸内細菌と耐糖能異常の因果関係がより強固になりました。
次に研究者らは、7人の被験者に、FDAガイドラインに従った1日の最大量のサッカリンを投与しました。1週間後、7人のうち4人は、腸内フローラの多様性の急激な変化と並行して、血糖値に大きな変化が見られましたが、3人は反応が見られませんでした。腸内細菌の一つ、バクテロイデーテスが豊富であることが、グルコースの変化を反映し、関連があることが示唆されました。
さらに、グルコースに反応を示さなかった人たちは、腸内細菌叢の構成にほとんど変化が見らませんでした。4人の被験者の細菌を移植した無菌マウスのグループは、ドナーの異常なグルコース反応を採用していました。研究チームはまた、体重増加と人工甘味料の摂取との間に相関関係があるかどうかを調べました。現在進行中の研究では、381人の男女のデータベースを分析し、甘味料の摂取と体重増加および耐糖能異常の間に正の相関があることを発見しました。
太っている人は人工甘味料を摂取しやすいという考え方も否定できません。”逆因果 “として知られているものです。これらは「ダイエット」や「ゼロカロリー」として販売されている飲料に使用されていることを考えると、可能性は低くはないでしょう。この結果は説得力がある一方で、甘味料が代謝異常や体重増加を引き起こすかどうかを言うのは時期尚早ですが、さらなる研究によってそのような関係が明らかになるかもしれません。
悪を断つ:善玉菌が病原体になるとき
最近、ある生体外の試験管内研究で<https://www.mdpi.com/1422-0067/22/10/5228/htm>、ダイエットコーラ2缶分程度のサッカリン、スクラロース、アスパルテームが、常在菌を病気を引き起こす病原菌に変えてしまう可能性があることがわかりました。具体的には、これらの一般的な甘味料が、2種類のモデル細菌(大腸菌とフェカリス菌)の腸管粘膜に付着、侵入し、細胞を殺す能力を高めることが実証されたのです。
甘味料にさらされると、これらの細菌はバイオフィルム形成を増加させました。バイオフィルムとは、細菌が糊のような物質を分泌して対象物に付着し、繁殖する仕組みのことです。バイオフィルム内の細菌の集団は、毒素を放出しやすく、抗菌処理に対する耐性が高いため、病気のリスクを高める可能性があります。病原性が高まると、細菌が腸から血流に乗り出し、敗血症や炎症などの健康被害を引き起こすリスクが高まる可能性があります。
現在までのところ、敗血症(血液中毒)と人工甘味料の摂取との関連性を追求した研究はありません。一方で、他の試験管内研究<https://www.mdpi.com/2072-6643/12/6/1862/htm?elqTrackId=f4b8698be0724407a4fc00f7883daff9>により、ある種の甘味料の大量摂取が甘味受容体を活性化することにより、腸の粘膜を損なう可能性があることが示されています。
これらの知見を踏まえて、研究者は次のように結論付けています<https://www.sciencefocus.com/news/artificial-sweeteners-can-turn-healthy-gut-bacteria-into-pathogens/>。「食事中のAS(人工甘味料)消費量が増え続けているので、この食品添加物が腸内細菌叢にどのように影響し、これらの有害な影響をどのように改善できるかを理解することは、極めて重要です」
人工甘味料は敵か味方か?
人工甘味料に関する科学的な研究は、明確は判断を提示しているとは言い難いのが現実です。ある二重盲検無作為化比較試験<https://microbiomejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40168-020-00976-w>で、サッカリンの大量摂取は、ヒトでもマウスでも、腸内フローラの多様性や耐糖能に影響を与えないことが明らかになりました。それにもかかわらず、研究者らは、これらの結果は必ずしもこれまでの知見と矛盾するものではなく、人工甘味料の摂取が、ある個体には無害で、他の個体には有害であることを示している可能性があると結論づけています。人口甘味料が腸内フローラの構成に悪影響を及ぼす人、影響しない人がいる可能性を示唆しています。
この考えを支持する証拠が以前から発見されています。例えば、先の研究では、サッカリンの1日最大量を投与された7人の被験者のうち4人だけが血糖値の上昇を経験し、3人はそのような影響を受けませんでした。これとは違う研究では、小規模の無作為化臨床試験(二重盲検化)で、17人の健康な人を対象にスクラロースとアスパルテームの影響を2週間にわたって調査しました。参加者は、アスパルテームの1日摂取許容量(ADI)の14%(0.425g)とスクラロースのADIの20%(0.136g)を摂取し、2段階の間に洗浄期間を設けました。全体として、研究者らは、血糖値耐性、腸内フローラ組成、短鎖脂肪酸の生成に変化はないことを確認しました。
利用可能な証拠に基づいて、人工甘味料が代謝性疾患を引き起こすと、確証をもっていうことはできません。とはいえ、一部の人々にはそのような影響があることを示唆する説得力のある研究があります。人工甘味料の人気が高まっていることを考えると、この疑問はさらに研究する価値があります。
では、私たちは甘味料を捨てて、代用品を探すべきなのでしょうか?まだ結論は出ていませんが、人工甘味料が腸内フローラとどのように相互作用し、代謝の健康に影響を与えるのかがよくわかるまでは、人工甘味料の摂取を制限することが賢明かもしれません。
自然食品であればいいのか?代用品はあるのか?
人工甘味料の代用品として期待されているのが、カロリーゼロの天然葉で、砂糖の300倍の甘みがある「ステビア」です。FDAと欧州食品安全機関によって安全性が確認され、この葉はダイエット飲料業界の救世主として歓迎されています。
コカ・コーラ社は、この葉を使った飲料を「Coke Life」として発売しましたが、強い甘草臭と苦い後味のため、短期間で販売を中止しました。現在、メーカーはステビアを大規模に発酵させ、葉に含まれる甘い酵素を分離し、苦味をなくすことを検討しています。
まとめ
- 非栄養性人工甘味料は、砂糖の何百倍もの甘さを持ちながら、カロリーはごくわずか。人工甘味料は最も広く使われている食品添加物で、多くの清涼飲料水、歯磨き粉、ビタミン剤にさえ含まれている。
- アスパルテームやスクラロースなど、一般的な人工甘味料のほとんどは、厳格な試験の後、FDAなどの規制機関によって安全で耐容性があると判断されている。
- 歴史的に、安全性評価では、人間の健康における腸内フローラの重要性が無視されてきた。
- 最近になって、人工甘味料が腸内細菌叢の変化を介して耐糖能異常を引き起こし、その結果、人工甘味料が解決しようとする問題(糖尿病、心臓病)のリスクを増大させる可能性があることを示す証拠が見つかっている。
- ある研究では、人工甘味料が大腸菌やフェカリス菌が持つ、病気の原因となる特性を高める可能性が示唆されている。
- 少なくとも2つの無作為化比較試験では、アスパルテーム、サッカリン、スクラロースを摂取しても、耐糖能や腸内フローラ構成に変化がないことが観察されている。
- ステビアは、ダイエット飲料業界の「救世主」として歓迎されている、カロリーゼロの天然砂糖代替食品。
- ステビアと腸内フローラに関する研究は限定的で、疑問がある。4つの研究では、細菌間のコミュニケーションを乱すなど、腸内細菌叢に害を及ぼす可能性が示唆されている。
免責事項:この記事は情報提供のみを目的としたものです。専門的な医学的アドバイス、診断、治療の代わりとなるものではありません。
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Atlas Biomedについて
Atlas Biomedは、2016年にイギリスで設立されたパーソナライズドヘルス企業です。遺伝子および腸内フローラ領域の最先端技術と、ユーザーの遺伝子、腸内フローラ、ライフスタイルデータを組み合わせることで、健康状態を多面的に把握します。それらをもとにパーソナライズされたアドバイスを提供し、健康に関する意識向上及びデータに基づいた意思決定を支援します。AtlasBiomedの検査キットは、英国、欧州16か国そして日本で提供しています。アトラス合同会社はAtlasBiomedの日本の子会社です。