日本ロレアル株式会社のプレスリリース
● LGBTQIA+コミュニティに属する6,000名の回答者のうち、 ● 55%が他のコミュニティよりも支援を得にくいと回答 ● 40%がどこに支援を求めてよいかわからないと回答 |
2023年、パリ ––LGBTQIA+コミュニティの生の声を聞くことを主な目的に行われた有害な関係性、暴力的関係性、健全な関係性に関する前例のない国際的認識調査を踏まえ、イヴ・サンローラン・ボーテは今後、IPVに関して独自に取り組んでいる「ABUSE IS NOT LOVE」(アビューズイズノットラブ「暴力は愛じゃない」)プログラムの拡大を図ります。この調査は、IPV[1]防止を目的とした「ABUSE IS NOT LOVE」プログラムにおける解決策の提案や情報発信に役立つ知見を得るために、ジェンダー・対人関係研究で知られるDr. ベス・A・リビングストンが設計しました。
暴力はバッググラウンドやジェンダー、階級、国籍を問わず、さまざまな人々に影響を与えている世界的な問題です。国連が公表したデータによると、女性の3人に1人がIPVを経験しています。「ABUSE IS NOT LOVE」プログラムは、女性や少女たちを暴力的状況から救うために活動する団体を支援するという緊急の必要性に応える取り組みです。
IPVは世界全体で女性が被害者になるケースが圧倒的に多く、被害者の88%が女性、加害者の96%が男性というデータが示されています[2]。異性愛者ではない男女は親密なパートナーから身体的暴力を受けたり、命を奪われたりする頻度が最も高いとは言えないまでも、暴力の撤廃はすべての人にとって有益であり、すべての人の声に耳を傾けるべき価値があります。今回の新たな調査結果は、既存の調査では見過ごされがちな集団内に警戒すべき暴力のサインが蔓延していることを浮き彫りにしています。誰もが暴力のない健全な人間関係を築く権利があります。
調査の重要所見として、LGBTQIA+コミュニティに暴力的関係性の経験者が存在し、その一方で支援サービスを受けるハードルが高く、支援情報も不足している実態が明らかになっています。
この問題に対処すると同時に、暴力は性自認や性的指向にかかわらず、どのような関係にも起こり得ることを改めて訴えるため、「ABUSE IS NOT LOVE」プログラムでは今後もNPOに対する教育・啓発リソースの提供を続け、LGBTQIA+コミュニティの生の声を踏まえたプログラムの強化を行います。イヴ・サンローラン・ボーテは「ABUSE IS NOT LOVE」プログラムを通じて、グローバルでこれまでに49万3,000人に警戒すべき暴力のサインに関する啓発活動を行い、2030年までに200万人の受講を目指しています。
「ABUSE IS NOT LOVE」とは 「ABUSE IS NOT LOVE」(アビューズイズノットラブ「暴力は愛じゃない」)プログラムは女性が被害者になりやすい暴力の一種であるIPV(intimate partner violence:親密なパートナーからの暴力)と闘い、防止するためにイヴ・サンローラン・ボーテがグローバルで取り組んでいる活動です。女性の3人に1人は性的、身体的、精神的、経済的暴力を経験すると言われています。このプログラムは被害者になる前に警戒すべき暴力のサインを知っておくための啓発活動を重点とし、特に、立場が弱く、この問題が広がっている16~24歳の若い女性たちを対象にしています。プログラムは暴力と闘うための3つの柱を中心に総合的に構築されています。 1) 各国で暴力の防止に取り組むNPOを支援する 2) 世界のイヴ・サンローラン・ボーテチームの全員が教育を受ける 3) ソートリーダーシップを支援する 4) 警戒すべき暴力のサインについて大規模な啓発活動を行う 現時点で世界25の国または地域で活動が展開され、2030年までに世界で200万人に教育機会を提供することを目指しています。 |
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さまざまなコミュニティにおける暴力的関係、健全な関係の認識を探る
執筆者兼研究者、大学で教鞭も執るDr. ベス・A・リビングストンが設計した予備調査では、幅広い民族、性自認、性的指向が含まれた米国の18~25歳の大学生を対象に暴力的関係と健全な関係の認識を調べ[3]、その結果、LGBTQIA+コミュニティにおけるIPVの実態把握のための有意義なデータを集める必要性が高まっていることがわかりました。その後の大規模調査では5カ国、計6,000名のLGBTQIA+回答者(米国2,000名、英国1,000名、フランス1,000名、スペイン1,000名、ドイツ1,000名)を得て、親密な関係性における傾向と問題が明らかになっています。この調査の目標は、より詳細な実態把握と、IPVを防止し、健全な関係性を推進するための取り組みに活かすとともに、イヴ・サンローラン・ボーテでは、誰もが支援を受けられるよう対象範囲を広げ、リスクの高いコミュニティに教育やリソースの機会を提供できるようプログラムを強化していきます。
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警戒すべき暴力のサインの理解とすべてのコミュニティを含めたインクルーシブな支援の強化
調査では、よくある警戒すべき暴力のサインに該当する19の行動[4]について質問し、(a)誰かとの関係性の中で過去にその行動をしたことがあるか、(b)誰かとの関係性の中でその行動の標的になったことがあるか、(c)その行動をIPVの徴候として認識しているかを尋ねました。また、IPVを受けているときに親しい人にそれを話すことができるか、IPVを経験したときに支援を得ることができるか、支援を得る際全般の一番の障害は何かも尋ねました。
その結果、LGBTQIA+コミュニティ内に特定の暴力行為が存在するにもかかわらず孤立や仲間や親、友人からのスティグマ(偏見)などを恐れて、支援を得にくい状況が明らかになっています。
主な調査結果:
· 31%がIPV被害を経験したことがあると回答
· 21%がIPV行為を訴えられたことがあると回答
· 55%が「LGBTQIA+コミュニティはIPVに関して他のコミュニティよりも支援を得にくい」に同意する*と回答
· 5カ国全体で調査に参加したLGBTQIA+成人の56%が何らかのIPVを経験したことがあると回答
· 5カ国全体で、よくあるIPVの警戒すべきサインの中でされた方もした方も最も回答が多かった項目は「機嫌が
悪いとあなたを無視する」(それぞれ32%、30%)にもかかわらず、この行為をIPVと認識していた人の割合は最も少ない24%
調査結果から導き出した傾向:
· 米国では5人に2人以上(41%)がIPV被害を経験したことがあると回答。次いで割合の多い順に英国(32%)、フランス(25%)、スペイン(25%)、ドイツ(22%)。
· 5カ国全体で、女性自認者の3分の1以上(35%)がIPV被害を経験したことがあると回答。男性自認者で同じ回答をした人は4分の1をわずかに超える程度(26%)。
· 5カ国全体で、SNSのパスワードを管理されたり、テクノロジーを使って追跡されることがIPVにあたると認識している人はわずか38%。さらにそれよりも認識度が低かったのが「機嫌が悪いとあなたを無視する」(24%)、「何度も電話をかけてきたり、メッセージを送ってくる」(31%)、「おかしいと言って、あなたに恐怖心を植え付ける」(33%)。これらはいずれもその関係が暴力的であることを示す警戒すべきサインであり、注意を要する重要な統計データです。
· 5カ国とも、3分の1以上がLGBTQIA+コミュニティに属する人がIPVに関する支援を求める際の一番の障害を「スティグマの恐怖」と回答(英国36%、米国36%、フランス44%、スペイン38%、ドイツ34%)。
支援を求める際の一番の障害:
1. スティグマ(偏見)の恐怖
2. メディアでほとんど取り上げられていない(LGBTQIA+におけるIPV事例)
3. どこに支援を求めたらよいかわからない
調査結果の要点:
· LGBTQIA+コミュニティに属する人が暴力行為を経験した場合に支援を得るには大きな壁が存在する
· LGBTQIA+コミュニティに属する人に安心して支援を得られる先を知ってもらうために、もっとインクルーシブなリソースが必要
· 健全な関係性に関する教育とインクルーシブなロールモデルが必要
· 特定の行動はエスカレートしやすい性質があることが理解されていない可能性がある。特に干渉、無視、侮辱的行為など
· 啓発活動を広げる重要性。特に、(a)相手を支配するために用いられる場合、多くの行為がIPVになり得る、(b)一見無害に見える行為も、徴候に気づかなければ危険なレベルにエスカレートする可能性があることを強調する
· 加害者と直接対峙したくない人が受けられる支援や、本人のニーズに応じたサービスの提供が必要
Dr. ベス・A・リビングストンは次のように話しています。
「IPVとDVは、すべてのコミュニティで私たちが考えるべき重要な問題です。私は2020年の『ABUSE IS NOT LOVE』プログラム立ち上げ時からアドバイザーを務め、関連団体への情報提供や支援、必要とするすべての人に教育ツールを届けるための研究に取り組んでいます」
イヴ・サンローラン・ボーテのインターナショナル ジェネラル マネージャー、ステファン・ベジーは次のように述べています。
「ソートリーダーシップに対する貢献は、『ABUSE IS NOT LOVE』プログラムの柱の一つです。私たちは今後もあらゆる形態の暴力と闘い続けます。そして何より、見過ごされがちなコミュニティに支援の手を差し伸べることが大切です。『暴力は愛じゃない』。そのひと言に尽きます」
イヴ・サンローラン・ボーテは今後も引き続き、「ABUSE IS NOT LOVE」プログラムを通じてLGBTQIA+コミュニティを支援するNPOをサポートし、と同時にインクルーシビティとニュートラル化に関するニーズに対処し、危険な徴候と健全な関係性に関する啓発活動を支援し、スティグマの軽減を図り、より便利で利用しやすいプログラム作りに取り組みます。また、サービスの拡充によって暴力加害者に立ち向かう準備ができていない人、リソースを利用したい人、相談に乗ってほしい人、得られる支援について情報がほしい人にも支援の輪を広げます。
IPVに関する啓発活動を継続し、悪循環を断ち切るためのリソースを提供することはLGBTQIA+コミュニティに属する人はとりわけ、どこの誰にとっても極めて重要です。イヴ・サンローラン・ボーテはこれからも志を同じくする仲間、パートナー、各種団体、教育機関を支援しながら変化を呼び起こし、永続的な影響を与えることに力を注ぎます。
注釈:
1 IPV(intimate partner violence:親密なパートナーからの暴力)とは現在または過去の配偶者や親密な関係にあるパートナーによるDVと定義されています。
2 DV相談専門ダイヤル3919、2019年主要データ
3 本調査では、過去の関係性における暴力の頻度と、健全な関係性のための支援やロールモデルを見つける際の難易度について尋ねました。その結果、LGBTQIA+コミュニティ内に特定の暴力行為が存在し、仲間や親、友人グループからの孤立を恐れてなど、支援を得えにくい状況が判明しています。
4 NGOや専門家からの情報に基づく、よくある警戒すべき暴力のサインに該当するよくある行動
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イヴ・サンローラン・ボーテ
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