ロート製薬「BÉLAIR LAB」 × eスポーツグリーンの香気構成成分(Restful Green)はデジタル疲れの不眠に有効

ロート製薬株式会社のプレスリリース

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)が運営する香りと感性の研究所「BÉLAIR LAB(ベレアラボ)」は、eスポーツプロ選手2名を対象に、グリーンの香気構成成分(Restful Green)を使用した際のパフォーマンス、休息や睡眠への影響を科学的に検証しました。本研究成果は、2021年3月に開催した第16回日本感性工学会春季大会にて発表しました。引き続き香りの機能性研究に取り組むと同時に、製品開発へ応用していきます。

■研究結果のポイント
この度、ビデオゲーム練習中、練習後の安静時、睡眠時において、グリーンの香気構成成分(Restful Green)により、下記の点を確認しました。

【ビデオゲーム練習中】
被験者には個人差があり、香りあり、なしの条件間にて同一の明確な有意差は確認できませんでしたが、被験者それぞれに以下の点を確認しました。
①被験者1は、3時間のゲーム練習中、総自律神経活動※1がより活性した状態になり、対戦練習での勝率が4%アップした。
②被験者2は、20分間のコンボ練習中に限り総自律神経活動※1が活発化した。
※1.総自律神経活動は自律神経が活発になる指標であり、注意・集中を計る指標の一つとして研究が進められています。

【ビデオゲーム練習後の安静時】
香りありの条件下にて、被験者2は有意差が確認できませんでしたが、被験者1では下記の点を確認しました。
①被験者1は、デジタル疲労の回復率が高く、練習後の安静時に香りのない時と比べて約4倍回復した。

【練習後の睡眠】
香りありの条件下にて、被験者それぞれに明確な有意差が確認されました。
①両者の睡眠時間が延長した(被験者1:平均8時間から9.1時間、被験者2:6.5時間から8.04時間)
②両者ともに睡眠中に副交感神経活動が向上し、緊張度が低い状態で眠っていた。

■研究の経緯
当社ではこれまでにグリーンの香気構成成分(Restful Green)の機能性に関する研究を行い、精神的な疲労や不安を軽減する効果を確認しています。今回は、近年の働く世代が抱える睡眠不足や睡眠の質の低下の原因とされる※2、スマートフォンやパソコン、ゲームなどのデジタル操作による「デジタル疲労」に着目し、同課題を持つ層の代表として、プロのeスポーツ選手2名(男性1名・女性1名)を被験者として検証を行いました。なお当社は2019年10月より株式会社デジタルハーツホールディングスと協業し、eスポーツを新たなエンターテインメントとしてゲームファンのみならず幅広い層に広める取り組みを行っています。2020年2月29日には、株式会社バンダイナムコエンターテインメントが主催する3D対戦格闘ゲーム『鉄拳7』のeスポーツ大会「鉄拳プロチャンピオンシップ 日韓対抗戦 2020」を全面サポートし、香りで選手を支援しましたが、さらなる可能性があると考え、この度の検証に至りました。
※2.厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」より

■グリーンの香気構成成分(Restful Green)について

ベレアラボ独自のノウハウに基づいてブレンドされた、新緑の透き通るようなさわやかな香りのモジュール。過去の研究においてヒトに対して抗疲労効果やストレス軽減効果が認められた天然植物から抽出された成分を独自に組み合わせています。この香りモジュールの持つ効果性については今後とも研究を重ねていきます。

■試験方法
2020年6月~8月にかけて、プロのeスポーツ選手2名(男性1名・女性1名)に対して、14日間 コントロールされた環境で1日3時間3D対戦格闘ゲーム『鉄拳7』の練習を実施しました。内容はA)反射反応をトレーニングするコンボ練習(20分)、B)対戦型練習(2時間40分)の2種類です。選手にはウェアラブル心拍センサーmyBeat(ユニオンツール株式会社製)を24時間装着してもらい、1日の自律神経活動・体動のモニターに加えて、ゲーム練習の前後には心理評価と睡眠に関する主観評価を行いました。ゲーム練習を行う空間にグリーンの香気構成成分(Restful Green)がある日とない日を交互に実施し、比較をしています。なお本研究は臨床研究等倫理審査委員会(ロート製薬内)にて登録しています。

■研究結果【被験者1】
被験者1では、3時間のゲーム練習中にグリーンの香気構成成分(Restful Green)を使用した場合は、香りを使用しない場合と比べ、以下の4つの影響があることが観察されました。

① 練習中のHF(副交感神経活動の指標), LF(交感神経活動の指標),  Total Power(LFとHFの総和) の全ての値が増加しました。交感神経と副交感神経がバランス良く活性し、注意・集中力が向上した状態であったと推測されます。また、対戦型練習での勝率が4%向上しました。

 

②練習後の安静時にTotal Power(LFとHFの総和) が明瞭に増加しました。練習中と練習後で比較した数値をコントラスト値で算出した場合、香りを使用した方がコントラスト値は高く、ゲームによるデジタル疲労の回復率が香りのない時と比べて約4倍であったことが示唆されます。

③睡眠時間が平均8時間から9.1時間に延長されました。

④睡眠中のHF (副交感神経活動の指標)成分値に増加が見られ、緊張度が低い状態で眠っていたことが示唆されます。

 

【被験者1】 MASA選手(TwitterID:@tekken_masa)
所属:EQNX 主戦タイトル:鉄拳7

練習中にグリーンの香りで気持ちが落ち着くという実感は多少あったのですが、結果として勝率が上がり、睡眠の質や時間などに違いが出たということに驚きました。この研究結果を見ることで香りに対する意識がすごく変わりました。普段長く過ごす空間(自分の部屋など)や睡眠の際、特に大会の前日などしっかり眠りたい日には、グリーンの香りを嗅ぎながら練習してみたいと思います。

 

■研究結果【被験者2】
被験者2では、3時間のゲーム練習中にグリーンの香気構成成分(Restful Green)を使用した場合は、香りを使用しない場合と比べ、以下の3つの影響があることが観察されました。

①3時間の練習のうち、反射反応をトレーニングする20分間の「コンボ練習」において、Total Power(LFとHFの総和) の値が有意に増加しました。総自律神経が活性化することで、注意・集中力が向上した状態であったと推測されます。

②睡眠時間が平均6.5時間から8.04時間となり、平均で1時間30分延長され、理想の睡眠時間とされる8時間に達しました。

③睡眠中のHF (副交感神経活動の指標)成分値が、香りがない時と比べて3倍以上増加し、緊張度が低い状態で眠っていたことが示唆されます。

【被験者2】みぃみ選手(TwitterID:@mimi00618)
所属:DIGITAL HEARTS Gaming 主戦タイトル:鉄拳7

元々アロマが好きで寝室で使ったりもしますが、ゲームのパフォーマンス向上とは全く関係ないと思っていました。オンライン対戦が盛り上がる時間帯が夜の為、夜遅くに寝る習慣をなかなか変えられないという悩みがあります。グリーンの香りを練習中に使うだけで、睡眠の質を上げる事ができるのはすごくありがたいと思いました。試合直前にリラックスできるように、短い睡眠時間でも質を上げられるように、香りが使えるといいなと思います。

■考察
新しい生活様式で当たり前となったリモートワークやオンライン会議など、デジタル機器を使うシーンが大幅に増える中、ストレスや不眠の課題が多く上がり、その原因の一つとしてパソコンやスマートフォン操作による「デジタル疲労」が挙げられています。今回の研究により、日中のストレス負荷のかかるデジタル作業中にグリーンの香気構成成分(Restful Green)を使用することで、睡眠不足や質の低下に対して香りがより効果的にアプローチできる可能性があると考えます。

■論文情報
著者名:柳川 舞、並木 恵介、吉長 成恭、澤地 あかり、坂本 隆、加藤 俊一
タイトル:デジタル疲労に起因する慢性的ストレスに対する香りの影響
書名・誌名:JSKE 第16回日本感性工学会春季大会・ISASE2021
発行年・巻・号・頁 :2021年

■「BÉLAIR LAB(ベレアラボ)」について
専属調香師によるフレグランス開発と科学的研究が一体となった、香りに特化したオープンイノベーションラボ。これまで感覚で語られてきた香りを感性デザインという手法で科学的に検証し、製品開発や生産性向上に活かし、香りによる豊かな社会づくりに取り組んでいます。

〒105-0014 東京都港区芝1-7-5 ロート東京ビル5階
URL:https://www.belairlab.com/
※一般の方の見学は受け付けておりません。

・「BÉLAIR LAB」はロート製薬株式会社の登録商標(登録第6317982号)です。

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