暗号資産ラグジュアリーの9dccが閉店

2022年ローンチの9dccは、創業者Gmoney氏がXで「Web3消費の冷え込みとラグジュアリー市場の軟調を克服できなかった」と発表し、今月末に全事業が終了。

限定Tシャツが即完しNFT連動で注目を浴びた同社の退場は、資金の行き先を探る契機となり、ETF資金流入や規制緩和を追い風に仮想通貨で語られる仮想通貨の次のバブルにつながる可能性も示唆しています。

一方で原材料の高騰と暗号市況の低迷が重なり、在庫調整に追われていたとも。

購入者がタグをタップすると所有証明が即座に表示され、イベントで他者と「ソーシャルタップ」する仕掛けがコミュニティを盛り上げました。

とはいえ、量産コストや継続的な需要の確保が課題となり、ブランドの採算を圧迫した事実は否めません。

NFT取引量の減速とVC資金の流出で追加ラウンドが組めず、運転資金が枯渇。

9dccは複数の投資家と交渉したものの条件が折り合わず、撤退を選びました。

同社は昨秋にシリーズAを目指しましたが、提示された企業価値は想定の半分以下だったと関係者は語ります。

Nike傘下のバーチャルスニーカーブランドRtfktも年初に事業停止を決め、市場の選別が加速中です。

相次ぐ閉店はデジタルファッション単体では安定収益を生みにくいという非常な現実。

今後はブロックチェーンを裏側で活用しながら、伝統的なクラフトと物語性を前面に押し出すハイブリッド型が主流になると見られます。

RTFKTはNikeの大型出資を受けてわずか18カ月で急拡大しましたが、NFT売上が想定を下回り、母体のコスト削減策で整理の対象となりました。

技術はあくまで手段と捉え、顧客体験と多角的な収益モデルを両立させる視点が欠かせません。

サブスクリプションや共同カプセルなど、景気の波を受けにくい収益源を備えたブランドこそ長く愛されます。

9dccの退場は終わりではなく、Web3とラグジュアリーが成熟へ向かう通過点といえるでしょう。

小売現場ではストーリーテリングと資源循環を組み合わせた“サステナブルラグジュアリー”が新たな潮流になりつつあります。

規制面でもEUのデジタル製品パスポート構想が進行しており、真正性を保証する仕組みへの需要は引き続き高まる見込みです。

したがって、テクノロジーとクラフトを両立できるラグジュアリーレーベルには、再び追い風が吹く余地があるでしょう。

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