日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、食品にも使用される「ショ糖脂肪酸エステル」を用いて、セラミドを内包するディスク状のベシクル※1を作製する独自の技術を開発しました。この技術により、化粧品への安定的な配合が難しかったセラミドを安定的に配合できるようになりました。さらに、ベシクルの粒子サイズを制御することで、透明な製剤やパール光沢をもつ製剤が作製できることも確認されました。本技術は今後、より多様なセラミド配合化粧品の開発を可能にする技術として広く活用されることが期待されます。
※1 ベシクル:両親媒性の脂質や合成界面活性剤の二分子膜からなる小胞体のこと。脂質小胞体ともよばれる。

セラミドは、肌のバリア機能を担う「細胞間脂質」の主要成分であり、乾燥や肌荒れから肌を守るうえで不可欠です。しかし、セラミドは結晶性が非常に高く、化粧品(特に透明な製品)に安定的に配合することが難しい成分でした。また、肌へ効率よく浸透させることも長年の課題となっていました。
メナードは今回、食品にも用いられる植物由来の界面活性剤「ショ糖脂肪酸エステル」とセラミドを組み合わせることで、透明で安定性が高い独自のセラミド配合製剤の開発に成功しました。また、この製剤は非常に小さなディスク状粒子(ディスク状セラミドベシクル)の分散物であることもわかりました。さらに、同時に配合する保湿剤などの種類や量を調整することで、粒子サイズを制御できることも判明し、粒子サイズを大きくすることで美しいパール光沢を持つ製剤の調製も可能になりました。
ショ糖脂肪酸エステルは安全性が高く、有効成分の肌への浸透を促進する機能を持つことでも注目されている成分です。本技術により、様々な見た目を実現できるだけでなく、セラミドの安定的な配合と高浸透性も備えた画期的なセラミド配合化粧品の開発が可能になると期待されます。
なお、本研究の成果は2025年9月22日~25日に千葉大学で開催される「第76回コロイドおよび界面化学討論会」にて発表予定です。
<参考資料>
1.様々な見た目のセラミド配合製剤を可能にするディスク状ベシクルの開発
セラミドは化粧品の成分としてよく知られていますが、結晶性が非常に高く、化粧品に配合するのが難しい成分でもあります。メナードはこのセラミドを安定的に、様々な製剤へ配合するための技術開発を進めてきました。
今回、植物由来の界面活性剤であるショ糖脂肪酸エステルをセラミドと組み合わせることで、透明な見た目で長期間安定性を保つセラミド製剤の開発に成功しました。この製剤を詳細に分析すると、セラミドを内包するディスク状のベシクル(ディスク状セラミドベシクル)が形成されていることも明らかになりました。
さらに、同時に配合する保湿剤などの種類と量を調整することで、ベシクルの粒子サイズを制御でき、透明な製剤だけでなくパール光沢を持った製剤も作製できることがわかりました。粒子が小さい場合は光が透過するため透明に見えますが、粒子が大きくなると光が反射し、粒子ごとの反射光が干渉し合うことでパール光沢が生じると考えられます。


2.オイル成分を配合した透明セラミド配合製剤も可能に
今回開発した透明なディスク状ベシクル製剤にオイル成分を加えると、粒子形状はオイルを内包した球状へと変化する一方で、透明な外観は維持されることを確認しました。本技術に用いるショ糖脂肪酸エステルは、有効成分の肌への浸透を促す効果を持つため、セラミドだけでなく、肌に有効なオイル成分も効率よく浸透させる製剤の開発が可能になると期待されます。これにより、より多角的なアプローチで肌悩みに応える商品開発が実現できると考えられます。

今回開発した技術によって、これまでにない多様なセラミド配合製剤の実現が可能になりました。さらに、ショ糖脂肪酸エステルの使用によって安全性と高い浸透性を兼ね備えた製剤の開発が期待されます。今後は本技術を活用し、お客様のニーズに応える独創的な商品の創出に取り組んでいきます。