株式会社WizWeのプレスリリース
この度、株式会社WizWe(本社:東京都港区、代表取締役CEO:森谷 幸平)は、同社の研究機関である「WizWe習慣化研究所」の主任研究員・丹野宏昭 Ph.D.が、日本心理学会第89回大会(会期:2025年9月5日・7日、会場:東北学院大学 五橋キャンパス)にて、「ドライバーを対象とした睡眠改善プログラムにおける参加者の行動段階と成果の関連」に関する研究成果を発表したことをお知らせいたします。

■研究の背景
近年、睡眠不足による交通事故防止の観点から、2018年にはドライバーの睡眠状況チェックが義務化されるなど、ドライバーの睡眠改善が社会的課題となっています。運送会社においても睡眠改善プログラム導入が進んでいます。
一方で、参加者の意識や特に行動ステージの違いによって、取り組む行動や得られる成果に違いが生じることが指摘されていました(大曽, 2025;Grandner et al., 2021)。行動変容ステージモデル(Prochaska & Velicer, 1997)では、健康行動は「無関心期 → 関心期 → 準備期 → 実行期 → 維持期」と段階的に進行するとされており、睡眠改善も同様に意識や行動が段階を経て変化していきます。
本研究では、ドライバーを対象とした睡眠改善プログラムの参加者について、睡眠改善に関する意識・行動の変化を探索的に検討しました。そして、睡眠改善行動の段階を分類し、それぞれの段階における睡眠の状態も概観しました。
引用文献:大曽 基宣 (2025) トランスセオレティカル・モデルに基づく睡眠教育内容の措定と特徴 聖霊女子短期大学紀要 53: 1-9.
■調査方法
関東および甲信越地方の運送・交通関連会社に勤めるトラック・タクシー・バス運転手27名(全員男性、30代〜60代)を対象に、2024年4月〜7月の4か月間に睡眠改善プログラムを実施しました。
<参加者には以下の実行を依頼>
①スマートウォッチによる睡眠計測
②LINE配信の睡眠改善情報(コラム・動画)の視聴(週1回)
③睡眠改善アクション目標(例:出勤前、朝目が覚めたら日光を浴びる・仕事から帰宅したら就寝3時間前から部屋を暗くする など)の選択(期間中計6回)
④睡眠改善行動の実行記録を入力
また、開始1か月目以降は、前週の睡眠スコアや睡眠記録状況に応じた個別メッセージが送信。参加者は期間中にLINE を通じてサポーター*と自由に会話することができました。
*行動継続を支援する担当者
■結果・考察~睡眠改善の行動ステージが進むと、睡眠の質向上につながる
参加者のプログラム中の行動量に基づき、以下の3クラスタに分類しました。(Table1)
非アクティブ群:行動量が低い
関心群:動画視聴、コラム閲覧、目標設定は高いが睡眠記録率や睡眠改善行動記録率が低い
アクティブ群:全ての行動量が高い
各クラスタ間の平均睡眠スコア(量・質)と、開始月→終了月の変化量を比較した結果、平均睡眠量スコアにおいてはクラスタ間で有意な差がみられませんでしたが、平均睡眠質スコアは、「アクティブ群」が高く維持されました。また、開始月はクラスタ間で有意差がなかったものの、終了月は「非アクティブ群」の睡眠質スコアが有意に低下していました。(Table2)
その結果、睡眠改善の行動ステージは、①「非アクティブ群」→②「関心群」→③「アクティブ群」と変化し、この過程を経ると睡眠質改善につながると推察されます。


注:この研究は、研究協力企業および著者が所属する「株式会社WizWe」の研究費で実施されたが、利益相反には該当しない。
■研究の意義
今回の研究結果は、ドライバーの健康と安全を守る上で、単にプログラムを導入するだけでなく、参加者の行動段階に応じた支援設計が重要であることを示しています。今後は交通業界に限らず、ヘルスケア領域全般への応用が期待されます。
丹野宏昭Ph.D.
WizWe習慣化研究所 主任研究員
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 心理学専攻(博士) 社会調査士。博士号取得後、東京福祉大学心理学部にて講義および研究に従事。また、学外活動として社会人を対象とした「ゲームを用いたコミュニケーショントレーニング講座」も担当。
<主な研究>
・ゲームを用いたコミュニケーションスキルトレーニングに関する研究
・対人関係と適応に関する研究
・対人関係ゲームによる小中学校のクラス作りと不登校抑制のプログラム研究
<著書>
『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学-嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』
会期:2025年9月5日(金)~7日(日)
会場:東北学院大学 五橋キャンパス
「ドライバーを対象とした睡眠改善プログラムにおける参加者の行動段階と成果の関連」
<習慣化プラットフォーム「Smart Habit」とは>
Smart Habitは、社会心理学・行動経済学の専門家が、4万人分の行動データをもとに導き出した習慣形成理論に基づく、行動継続を支援するプラットフォームです。「三日坊主」をなくすことを目指し、習慣化サポーターとユーザーとの間に会話を通じてラポール(親密な信頼関係)を築くことで、離脱因子を徹底的に取り除き、継続的な行動を促します。
また、リアルなサポーターによる伴走と自動化プログラムの組み合わせにより、1人のサポーターが同時に最大3,000名のユーザーを支援することが可能です。2018年のサービス開始以来、ユーザー数は順調に増加し、これまでに累計4万人以上の方をサポートしてきました。語学をはじめとする教育分野での学習習慣化支援として、多くの大手企業に導入され、学習完了率70%以上という高い成果を上げています。
さらに2021年からは、蓄積されたノウハウをもとに、他分野への展開を本格化。「Smart Habit LTV」では、サブスクリプション事業者向けにチャーン防止とLTV向上を支援し、「Smart Habit Healthcare」では、ヘルスケア領域における習慣化支援を行うなど、フィットネスやヘルスケア業界へのサービス拡大を進めています。

【会社概要】
会社名:株式会社WizWe
代表者名:代表取締役CEO 森谷 幸平
所在地:東京都港区虎ノ門二丁目2番1号 住友不動産虎ノ門タワー5階
設立:2018年5月
資本金:87,812,500円 ※2025年1月31日現在
事業内容:1. Smart Habit事業 2. 教育、ヘルスケア、その他の習慣化事業 3.サブスクリプションの離脱防止およびLTV最大化事業
会社ホームページ:https://wizwe.co.jp/