~キメの乱れが色ムラに影響、透明感低下との相関を確認~
第一三共ヘルスケア株式会社のプレスリリース
第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広、以下「当社」)は、当社が独自に開発した肌の透明感評価法である「透明感スコア」を中心としてさまざまな肌の状態との関連性を調査した結果、肌の透明感は“肌のキメ”の状態に大きく依存することを明らかにしました。
当社は、印象に左右されがちな肌の透明感について、客観的かつ定量的に評価可能な独自指標「透明感スコア」を開発し、透明感の向上を目指したスキンケア製品の研究開発に取り組んでいます。「透明感スコア」では、肌画像から得られる「輝度(*1)」と「黄み(b*値)のばらつき」を説明変数(*2)とし、輝度が高く色ムラの少ない肌を“透明感のある肌”と定義しています。つまり、肌の透明感は、輝度の高さとともに、黄みのばらつき、すなわち肌の色ムラの少なさに大きく関係します。
今回、輝度や色ムラがどのような肌の状態と関連しているのかを明らかにするため、独自に開発した評価方法である「透明感スコア」を中心に、さまざまな肌状態との関連性を調査しました。その中で、特に“肌のキメ”との関連性が強く示されました。
この研究成果に基づき、“肌のキメ”を整え色ムラを抑えるアプローチによって、視覚的な肌の透明感を向上させるための新たなスキンケアの開発が実現できると考えられます。当社は、今後もより科学的根拠に基づいたスキンケア製品の創出を目指してまいります。

■「透明感スコア」の詳細
News Release 「肌の透明感」について客観的評価方法を開発(2020年7月6日付)
■ 試験方法と研究成果
20~50代の一般女性66名を対象に肌画像を撮影し、「輝度」と「黄み(b*値)のばらつき(標準偏差)」を用いて「透明感スコア」を算出しました。あわせて、各種測定機器や角層評価法を用いて、肌の状態を多角的に評価しました。
その上で、算出した「透明感スコア」およびその構成要素である「輝度」「黄み(b*値)のばらつき」と、肌の三次元形状を測定できる皮膚分析器「アンテラ3D」によって得られた毛穴の数、肌の粗さ(テクスチャー)、肌表面の隆起やくぼみの体積との相関関係を分析しました。
(1)「透明感スコア」と「アンテラ3D」から得られたキメ評価値(*3)との相関解析
取得した肌画像をもとに、「透明感スコア」と4種のキメ評価値との相関を、スピアマンの順位相関係数(*4)を用いて解析しました。なお、キメ評価値は数値が大きいほど、肌のキメが乱れている状態を示します。
解析の結果、毛穴の数・粗さ・くぼみ体積・隆起体積のいずれにおいても、「透明感スコア」との間に有意な負の相関(r)が確認されました【図1】。これは、キメが乱れている肌ほど、「透明感スコア」が低下する傾向があることを示しており、肌の透明感とキメの状態には強い関連性があることが明らかになりました。

(2)「輝度」および「肌の色ムラ(黄みのばらつき)」とキメ評価値との相関解析
前述(1)で「透明感スコア」と肌のキメ評価値との間に有意な相関が確認されたことを受け、その構成要素である「輝度」および「黄み(b*値)のばらつき」とキメ評価値との関連性についても検証を行いました。
それぞれの指標と4種のキメ評価値との相関を、スピアマンの順位相関係数を用いて解析した結果、すべての組み合わせにおいて有意な相関が認められました。なかでも、肌の色ムラを示す「b*値の標準偏差(b*SD)」とキメ評価値との間に、特に高い正の相関が確認されました【図2】。
この結果から、肌のキメはとりわけ色ムラと強く関連しており、肌の透明感に影響を与える重要な要素であることが示唆されました。

■ 今後の展望
肌の透明感とキメの関係は一般的にも知られていますが、当社の研究では、より科学的なアプローチでその関連性を明らかにしました。具体的には、キメに影響を与える複数の評価指標と、当社独自の「透明感スコア」を構成する「輝度」および「黄み(b*値)のばらつき」との関係を分析しました。
その結果、本研究においてキメの評価値として設定した、毛穴の目立ちや肌の粗さ、凹凸の体積といった肌表面の状態が、「肌の色ムラ(黄みのばらつき)」と強い相関があり、視覚的な透明感に影響を与えている可能性が示されました。
これらの知見から、肌のうるおいを保ち、凹凸の少ないなめらかな肌である「キメの整った肌」を目指すことが、透明感のある肌づくりにおいて重要なアプローチであると考えられます。
当社は今後、本研究を製品開発に応用するとともに、細胞レベルまで深く掘り下げてメカニズムを探究することで、肌を整えるとともにQOL(生活の質)向上につながる新しいソリューションの提供を目指してまいります。
<ご参考>
第一三共ヘルスケアについて
第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(*5)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。
現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。
こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。
*1 人の目に入る光の量 *2 結果の予測や説明に関与するデータのこと *3 肌表面の微細な凹凸や毛穴の数を数値化して表したもの *4 2つの変数の順位関係をもとに、-1(逆相関)〜1(正の相関)で関係性を示す指標。0は無相関を意味する *5 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています
<リリース原文(PDF)>