~田村代表幹事「極端な“痩せ願望”の問題解決は、みんなの気づきから」 行政・ファッション業界・宣言発起人企業代表らと「自分らしさと健康」を議論~
マイウェルボディ協議会のプレスリリース
マイウェルボディ協議会(代表幹事:田村好史)は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 「包摂的コミュニティ―プラットフォームの構築」の一環として、2025年11月6日(木)、JR京都駅1階駅前広場にて、『マイウェルボディ共同宣言』発表イベントを開催しました。本イベントは、一般社団法人ラブテリ主催「京都保健室」内の特別プログラムとして実施されたものです。

マイウェルボディ協議会は、人生100年時代において、誰もが自分らしく健康な身体=“ウェルボディ”を選択できる社会の実現を目指す産官学の協議会です。現代の日本においては、「痩せなければならない」という社会的なプレッシャーや同調圧力が一部で根強く残っており、医学的に適正な体型を自ら選択することが難しくなることがあります。この「低体重(痩せ)」の問題は、不定愁訴や生理不順を招くなどのプレコンセプションケアの観点で重要であるだけでなく、中高年期においても、将来のフレイル(虚弱)やサルコペニア、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクと関連する、全世代的な健康課題です。
こうした社会課題に対し、11月6日(木)、『マイウェルボディ共同宣言』を発表しました。本宣言は、「痩せている/太っている」といった体型そのものを評価するものではなく、「痩せていなければならない」という社会的圧力を問い直すことを目的としています。
■『マイウェルボディ共同宣言』 全文
私たちは、マイウェルボディ※1を通じて、将来の“あらゆる選択肢※2”を
大切にできる社会を築くことを宣言します。
1.健康は、将来の選択と幸福の土台であることを広めます。
2.こころとからだの健康に関する正しい情報を発信します。
3.すべての人が、体型への偏見を手放し、互いを認め合う文化を育てます。
※1 マイウェルボディとは、ひとりひとりが、心地よくあり続けられる健康な身体のことです。
※2 ”あらゆる選択肢”とは、進学、留学、就職、結婚、妊娠・出産、昇進、起業などの、人生の様々な可能性のことです。
<宣言に込めた想い>
この宣言は、『痩せなければ』という社会的なプレッシャーを感じるすべての人の「未来の可能性(=あらゆる選択肢)」を守るため、誰もが自分の身体を尊重しながら生きられる社会を目指し、その周囲にいる人々の無意識の偏見や、社会全体の「痩せへの当たり前を見直す」ことを目的とした、社会への“働きかけ”の意思表明です。
第1項は、ともすれば『痩せ=美』という価値観の後ろに隠れがちな、「健康」が人生のあらゆる“選択肢”の「土台」であること、社会全体で再認識する意志を示します。第2項は、「ご本人」だけではない、その周囲の人々も含めた「リテラシーの向上」を目指します。第3項は、本宣言の核として「多様性(ダイバーシティ)」と「包摂性(インクルージョン)」の実現を掲げています。現実に多様な体型の人が存在することを前提に、すべての人が体型への偏見を手放し、互いの身体を尊重し合える文化(=包摂性)を育てることを社会全体で目指します。
■背景にある新疾患概念「FUS」と社会課題
イベント冒頭、当協議会代表幹事の田村好史(医学博士)が登壇し、宣言の背景にある健康課題として、日本肥満学会FUSワーキンググループが2025年4月に提唱した新疾患概念「女性の低体重/低栄養症候群(FUS)」について解説しました。
田村は、痩せや日常的なちょっとしたダイエットによる栄養不足が引き起こす健康障害は、中高年期のフレイル(虚弱)やサルコペニア、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクにも関連する、全世代的な課題であると指摘しました。その上で、「特に日本では20代女性の約2割が『低体重(痩せ)』に該当し、骨密度低下や月経異常など、より深刻な健康障害につながりやすい。さらに、ちょっとしたダイエット行動が、疲れやすい、だるい、頭痛、メンタルの不調にもつながることがある」とし、この背景には『痩せ=美』といった画一的な価値観がある」と述べました。
さらに、「こうした『FUS』のような問題が顕在化するのは、社会における体型に対する包摂性が不十分であることによると考えられる」と続け、個人の問題ではなく社会全体での対応が必要であることを訴えました。

■パネルディスカッション「自分らしい健康な身体を選べる社会へ」
後半のパネルディスカッションでは、田村教授に加え、こども家庭庁成育局母子保健課長・田中彰子氏、関西コレクションエンターテイメント取締役社長・中川博之氏、マイウェルボディ協議会幹事/花王株式会社エクスターナルリレーション部長・外間貴美が登壇し、医学界、行政(母子保健)、若い世代の価値観に影響を与えるファッション業界、共同宣言発起人企業の視点から、活発な議論が交わされました。
田中氏からは、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたあらゆるライフデザインや将来を考えて健康管理を行うことが、女性だけでなく男性にも重要であるということについて、中川氏からは、アカデミーで実施されているモデルの健康を守る取り組みや多様な美しさの発信、SNS時代の自己肯定感の向上についての言及がありました。外間からは、社会を変えるために産官学民が共同して取り組むことの必要性や、花王の健康経営および生活者への情報発信の取り組みの話がありました。さらに、インフルエンサーでもあるモデルに対してチェックリストなどの形で情報提供ができるとよいのではないかという、今後の活動の発展へも話が広がりました。
議論の中で田村教授は、「この共同宣言は、『痩せなければ』と感じているご本人だけではなく、無意識のうちに価値観を伝えている周囲の人々にも気づきを促すものです」と強調。「良かれと思ってかけている、『痩せて良かったね』『そんなに食べたら太るよ』、といった何気ない言葉が、知らず知らずのうちにプレッシャーになることがある。この宣言は、家庭や職場など日常の場で、『自分もそうした価値観を持っていたかもしれない』と気づくきっかけにしたい」と述べ、社会全体の理解促進を訴えました。
■本宣言の社会的な価値と今後の展開
本宣言を通じて、この課題への社会的な認知と共感を広げ、誰もが健康について正しく学び、自分らしい身体を主体的に選び、その選択が尊重される社会の実現を目指します。この発表を皮切りに、今後は広く企業・団体・個人の皆様からの賛同を募り、この動きを社会全体に広げてまいります。
■共同宣言発起人(順不同、11月6日現在)
マイウェルボディ協議会、花王株式会社、株式会社ルネサンス、味の素株式会社、株式会社カーブスジャパン、株式会社All Right、日本航空株式会社、アサヒグループ食品株式会社、株式会社スズケン、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、ロート製薬株式会社、株式会社コスミックコーポレーション、株式会社メディパルホールディングス、フォルダ株式会社、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社、東洋メディック株式会社、公益社団法人日本助産師会、特定非営利活動法人 HARU for me、一般社団法人日本臨床栄養協会、小児栄養分野推進合同協議会、一般社団法人ラブテリ、横須賀市健康部健康増進課、公益社団法人 東京都医師会、クラスクリニック、一般社団法人Allyable、ウェルカオス株式会社、川崎医療福祉大学
(注)本リリースは体型のいかんに関わらず、すべての人の健康と尊厳を守ることを目的としており、特定の体型・性別・年齢層を否定する意図は一切ありません。
■(参考)「第2回京都保健室」について
開催期間:2025年11月6日(木)、11月18日(火)~11月19日(水)
会場:JR京都駅、藤井大丸、QUESTION(京都信用金庫)
目的:京都で暮らし、働く女性の健康増進とプレコンセプションケア
内容:体組成/貧血/骨密度の測定とカウンセリング、各種セミナーの実施
主催:一般社団法人ラブテリ、一般社団法人Miss SAKE、株式会社ワコール
協賛:株式会社Mizkan Holdings、ロコモチャレンジ!推進協議会、花王株式会社、株式会社藤井大丸
協力:京都新聞「キョウカラミライキャンペーン」、マシモジャパン株式会社
後援:京都市、マイウェルボディ協議会
京都保健室HP : https://kyotohokenshitsu2025.my.canva.site
■マイウェルボディ協議会について
マイウェルボディ協議会は人生100年時代において、誰もが自分らしく健康な身体=“ウェルボディ”を選択できる社会の実現を目指す産官学の協議会です。2023年に設立され、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「包摂的コミュニティープラットフォームの構築」の一環として、「女性のボディイメージと健康改善のための研究開発」を背景に活動を開始しました。誰もが健康な心と身体について学び、自分に合ったウェルボディを選び、それが尊重される社会を目指して取り組んでいます。

協議会公式ウェブサイト: https://mywellbody.jp/
協議会公式Xアカウント: https://x.com/mywellbody
協議会公式Instagramアカウント: https://www.instagram.com/mywellbody_official/
協議会公式TikTokアカウント: https://www.tiktok.com/@mywellbody_official
協議会公式YouTube: https://www.youtube.com/@MyWellBody

