アッヴィのプレスリリース
アッヴィ、「ベネクレクスタ(R)錠」(一般名:ベネトクラクス)について、未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)に対する治療薬として、効能・効果の追加に係る承認事項一部変更承認を国内で取得
ー 日本での慢性リンパ性白血病(CLL)の推定総患者数は約6,000人1と報告されており、日本では患者数の少ない稀な疾患
ー 未治療のCLLおよび小リンパ球性リンパ腫(SLL)を対象とした国内第2相試験と海外第3相試験のデータなどから得られた結果に基づく承認
ー 本承認により、未治療のCLL(SLLを含む)に適応が拡大し、患者さんへ新たな治療選択肢を提供
アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長:ティアゴ・カンポス ロドリゲス)は、本日、抗悪性腫瘍剤/BCL-2 阻害剤 「ベネクレクスタ(R)錠10mg・50mg・100mg」(一般名:ベネトクラクス、以下「ベネクレクスタ」) について、オビヌツズマブとの併用療法およびイブルチニブとの併用療法における未治療の慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemia: CLL、小リンパ球性リンパ腫(Small Lymphocytic Lymphoma:SLL)を含む)に対する効能又は効果の追加に係る承認事項一部変更承認を取得しました。
ベネクレクスタは、体内のBCL-2と呼ばれる特定タンパク質を標的とすることにより、がん細胞で失われたアポトーシス(がん細胞の自然死または自己破壊)の過程を回復させる作用を有しています。日本では、ベネクレクスタは2019年9月に再発または難治性のCLL(SLLを含む)に対する治療薬として、製造販売承認を取得しました。さらに、2020年6月には急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia: AML)に対する希少疾病用医薬品指定を厚生労働省より受け、2021年3月にはAMLの適応症に対する製造販売承認を取得しています。加えて、2024年6月19日には再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(Mantle Cell Lymphoma: MCL)に対する希少疾病用医薬品指定を受け、2025年3月27日にはMCLの適応症に対する製造販売承認を取得しています。
CLLは、欧米では最も多く見られる白血病であり、成人の白血病全体の約30%を占めます2。一方、日本国内におけるCLLの推定総患者数は約6,000人1と報告されており、患者数の少ない稀な疾患です。CLL診断時の年齢中央値は70歳3で、発症率の男女比では男性に多いとされています3,4。予後不良のリスクが高い患者さんにおいては、遺伝的要因を有する患者さんが含まれます。SLLは、末梢血や骨髄への浸潤が見られないCLLと同一の細胞の腫瘍と定義されています。多くは緩徐な経過を示しますが、一部には進行が速く、予後不良となる例も存在します5。
未治療のCLL患者さんに対する治療法の選択は、年齢、併存疾患および遺伝的要因などを考慮して決定されます5-7。既存の治療法は長期間にわたる投与が必要であり、毒性や疾患の進行、服薬遵守といった課題も指摘され、治療継続が困難な場合があります5,6,8。特に日本では未治療のCLLおよびSLLの患者さんに対する一次治療の適応をもつ治療薬は限定されているのが現状であり、固定投与期間で長期的な臨床転帰の改善を示す新たな治療選択肢に対するアンメット・メディカル・ニーズが存在しています5-9。今回の承認により、未治療のCLLおよびSLLの患者さんに対して、新たな治療選択肢を提供できるようになりました。
本承認は、日本国内で実施された未治療のCLLおよびSLL患者さんを対象とする第2相試験(M20-353)、海外で実施された第3相試験(CLL14[BO25323] およびGLOW[CLL3011])の結果等に基づくものです。詳細につきましては、https://jrct.niph.go.jp/(jRCT2021210055)やhttps://www.clinicaltrials.gov/ (NCT02242942)、https://www.clinicaltrials.gov/(NCT03462719)をご参照ください。
ベネクレクスタ(R)錠 製品概要(今回、変更となった【効能又は効果】、【用法及び用量】抜粋)
| 販売名 | ベネクレクスタ(R)錠10mg・50mg・100mg |
| 一般名 | ベネトクラクス |
| 効能又は効果 | 慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む) |
| 用法及び用量 | <未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)> 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
※ベネクレクスタ錠のその他効能又は効果:
○再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫
〇急性骨髄性白血病
ベネトクラクスについて
ベネトクラクスは、BCL-2と呼ばれる体内の特定タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。一部の血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、アポトーシスの過程を回復させる作用があります。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これらの企業が共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験でベネトクラクスを評価しています。ベネトクラクスは、米国を含め80を超える国で承認されています。
がん分野におけるアッヴィについて
アッヴィでは、幅広いがん種に対する治験薬の開発を積極的に推進するとともに、複数の血液がんにおける標準治療の変革に取り組んでいます。献身的で経験豊富なチームは、革新的なパートナーと協力し、画期的新薬となり得る製品の開発促進に努めています。当社は世界で最も罹患者が多く、また最も消耗性が高いがん種に対し、300を超える臨床試験で20種類以上の治験薬を評価しています。当社の事業の目的は、人々の人生を豊かにすることです。そのため、患者さんが当社のがん治療薬にアクセスすることができるよう、ソリューションの探求にも取り組んでいます。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Facebook、Instagram、X(旧Twitter)やYouTubeやLinkedInでも情報を公開しています。
日本においては主に、免疫疾患、肝疾患、精神・神経疾患、がん、アイケアの領域、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスのポートフォリオで、製品の開発と提供に取り組んでいます。アッヴィの詳細については、www.abbvie.co.jpをご覧ください。FacebookやYouTubeでも情報を公開しています。
1.政府統計の総合窓口(e-Stat).統計でみる日本.患者調査.令和2年患者調査.確定数 全国編 閲覧(報告書非掲載表),閲覧第119表 総患者数,傷病基本分類別 (https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004002720)
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