Craif、尿中マイクロRNAとAIを用いて食道がん検出の非侵襲検査法の基盤となる技術を開発

多施設共同研究の成果が Cancer Science 誌に掲載

Craif株式会社のプレスリリース

 バイオAIスタートアップのCraif株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役CEO:小野瀨 隆一、以下Craif)は、国立がん研究センター東病院の村野 竜朗 医員(研究当時、現 東京科学大学 光学医療診療部 講師)、矢野 友規 消化管内視鏡科長らとの多施設共同研究により、尿中エクソソーム由来マイクロRNAの種類や量をAI(機械学習)で解析し、機械学習モデルを構築した結果、食道扁平上皮がん(ESCC)の効率的な検出の可能性が期待される非侵襲検査法の基盤となる技術を開発したことを明らかにしました。研究成果は日本癌学会の公式学術誌 Cancer Science に掲載されました。

食道がんは早期に自覚症状がほとんどなく、多くの患者が進行してから診断されることが課題となっています。早期発見の重要性は高いものの、内視鏡検査は侵襲性や受診負担があり、無症状の段階で継続的に受けるには限界があります。そこで本研究では、非侵襲的に採取できる尿を用い、マイクロRNA解析とAIを組み合わせて食道がん患者を効率的に検出できるかを検証しました。

■ 研究のポイント

  • 5施設共同で食道がん患者149名、健康成人152名の尿中マイクロRNAを解析

  • 機械学習の解析手法を用いて、57種類のマイクロRNAからなるアルゴリズムを構築

  • 訓練データで AUC 0.90、独立検証データでも AUC 0.85 と良好な性能を確認

  • 食道表在がん患者(ステージ0/I)において高い感度(ステージ0:100%、ステージI:91%)

  • 治療前後の尿を比較するとスコアが有意に低下し、腫瘍の影響を反映する可能性を示唆

■ 研究概要

 本研究では、5つの施設(国立がん研究センター東病院、東京都立多摩総合医療センター、医療法人社団同友会 春日クリニック、医療法人社団康喜会 辻仲病院柏の葉、

東京科学大学病院)で共同収集した食道がん患者および健康成人の尿検体を解析しました。各尿検体からエクソソームを抽出し、次世代シーケンサーによってマイクロRNAを網羅的に解析しました。得られたマイクロRNA解析データから、AIの一種であるRecursive Feature Eliminationという機械学習の手法を用いて、食道がんの検出に寄与する57種類のマイクロRNAからなるアルゴリズムを構築しました。この機械学習モデルは、独立した検証コホートにおいてもAUC 0.85(感度84%、特異度66%)と良好な性能を示し、症状がない段階の食道がん患者においても尿中マイクロRNAの変化をとらえられる可能性が確認されました。

さらに、内視鏡治療や外科手術により腫瘍が完全切除された患者の尿を分析したところ、治療後に健康成人に近いマイクロRNAの発現パターンを示す傾向がみられ、食道がんの存在を反映するバイオマーカーとしての特性も示唆されました。

■ 社会的意義

 食道がんの早期診断には内視鏡検査が有用ですが、侵襲性や受診負担の観点から、無症状の段階で継続的に受けることは容易ではありません。そのため、受診者の負担を抑えつつ、内視鏡などの精密検査へ効率的につなげる検査方法の開発が求められています。

尿は非侵襲的で採取が容易であり、継続的な評価に適した検体です。本研究で示された尿中マイクロRNAとAI解析による手法は、負担の少ない一次検査として、内視鏡検査を必要とする方を効果的に選別する新たな方法の基盤技術となる可能性があります。将来的には、食道がん検査の効率化や受診機会の拡大に寄与する可能性が期待されます。(現時点で、日本の保険診療として認められたものではなく、一般診療で推奨できるものではありません。また、国の定めるがん検診としても推奨できるものではありません)。

■ 論文情報

掲載誌:Cancer Science(https://doi.org/10.1111/cas.70298

タイトル:Development and validation of a urinary exosomal miRNA diagnostic panel for early detection of esophageal cancer

著者:Tatsuro Murano, Hiroki Yamashita, Yuki Kano, Ken Takeuchi, Takayuki Amano, Takanobu Yoshimoto, Mayuko Otomo, Hisashi Fujiwara, Shin Namiki, Hiroki Yamaguchi, Yoriko Ando, Yumi Nishiyama, Mika Mizunuma, Yuki Ichikawa, and Tomonori Yano

■用語説明

  • エクソソーム: 細胞から分泌される小さな袋状の粒子で、体内の情報伝達に使われます。エクソソームには細胞由来のマイクロRNAなどの物質が含まれており、がんの診断に役立つ重要な情報を運んでいます。

  • マイクロRNA: 細胞の中にある非常に小さな分子で、遺伝子の働きを調節する役割を持っています。がん細胞ではマイクロRNAの種類や量が変化するため、病気の早期発見や診断の手がかりとなります。

  • 機械学習: AI(人工知能)技術の1種で、大量のデータをもとに自らパターンを学習し、未来の予測や分類を行います。今回の研究では、がんの診断のために、マイクロRNAのデータを使って病気の有無を高精度に判定するために用いられました。

  • AUC(曲線下面積): 診断の正確さを示す指標で、0から1までの値を取ります。1に近いほど診断の性能が高いことを意味します。

  • 感度・特異度:感度とは、疾病のある人のうちで陽性となる割合を示し、特異度とは、疾病のない人のうちで陰性となる割合を示します。

■ Craifについて

 Craif(クライフ)はがん早期発見に取り組む2018年創業のバイオAIスタートアップです。尿をはじめとする体液から、DNAやマイクロRNAなど多様なバイオマーカーを高精度に検出する独自の解析技術基盤「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」とAI技術を融合し、がんの超早期発見・早期治療・早期復帰を可能にする革新的な検査を開発しています。バイオテクノロジーとAIの力を社会に広く届けることで、当社のビジョンである「人々が天寿を全うする社会の実現」を推進します。

【会社概要】

社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)

代表者:代表取締役 小野瀨 隆一

設立:2018年5月

資本金:1億円(2024年3月1日現在)

事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発

本社:東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F

URL:https://craif.com/

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。