株式会社ACROのプレスリリース
ポーラ・オルビスグループの株式会社ACRO(本社:東京都品川区、社長:宮﨑稔章)内のTHREE ホリスティックリサーチセンターは、特定のスパイス系精油をブレンドすることで、黄色ブドウ球菌が形成する「バイオフィルム」に対して抑制・殺菌効果を発揮することを明らかにしました。
加えて、学校法人 城西大学(本所:東京都千代田区、理事長:水田博久)との共同研究により、ローズマリー芳香蒸留水が酸化ストレスから肌を保護し、炎症を抑制する機能を持つことも発見いたしました。
シナモン・クローブ・オレガノのブレンド精油に「抗バイオフィルム作用」を発見

本取組の背景
バイオフィルムとは、微生物やそれらが産生する物質(主に菌体外多糖類、たんぱく質やDNAなど)が集合して出来た構造体を指します。バイオフィルムは、粘着性が非常に高く抗菌剤や免疫細胞といった外的要因から細菌を守るためのバリアとして機能しており、簡単に洗い流すことが難しく、また抗菌剤や殺菌剤が浸透しにくいという特徴があります。
皮膚常在菌として知られる黄色ブドウ球菌はバイオフィルムを形成することが知られており、創傷治癒を阻害する要因の一つであると考えられています。また肌の炎症悪化因子である可能性も示唆されているため、抗バイオフィルム効果は肌の創傷治癒において重要な役割だと考えられます。
これまで精油単体での抗菌に関する報告はありましたが、複数の精油を組み合わせたブレンド精油による作用を探索しました。
研究成果
シナモン、クローブ、オレガノの精油を配合したブレンド精油を用い、黄色ブドウ球菌に対する効果を検証しました。
バイオフィルム形成阻害能を評価するため、黄色ブドウ球菌培養時にブレンド精油を添加したところ、バイオフィルムの形成量が有意に低下することが確認されました(図1)。

図1.ブレンド精油のバイオフィルム形成阻害
試験方法:黄色ブドウ球菌の懸濁液にブレンド精油を添加後、37℃で振盪培養した。形成されたバイオフィルム量を算出し、ブレンド精油添加ありなしで比較した。
出典:THREE ホリスティックリサーチセンター調べ
さらに蛍光顕微鏡を用いた観察により、バイオフィルム内の細菌の生死を判定したところ、既に形成されてしまった強固なバイオフィルムに対しても、ブレンド精油を添加することで、内部の細菌に対して有意な殺菌効果を発揮することが確認されました(図2)。


図2.ブレンド精油のバイオフィルム殺菌効果
試験方法:黄色ブドウ球菌を一晩培養してバイオフィルムを形成させ、ブレンド精油添加によるバイオフィルム内の細菌の生死を蛍光顕微鏡観察した。緑色は生細胞、橙色は死細胞を示す。
ブレンド精油はバイオフィルム形成後に添加し、蛍光強度比をブレンド精油添加ありなしで比較した。
出典:THREE ホリスティックリサーチセンター調べ
これらの結果よりシナモン、クローブ、オレガノの精油を配合したブレンド精油は、悪玉菌として知られる黄色ブドウ球菌のバイオフィルムに対して「形成阻害」と「殺菌」2つの作用による抗バイオフィルム作用が確認され、悪玉菌による炎症悪化を抑え、創傷治癒の阻害を抑制することが期待されます。
今後の展開
今回の発見は、精油に含まれる多様な芳香成分が単一の作用に留まらず、組み合わせることで多角的なアプローチを可能にし、高い効果を発揮していることを示唆しています。THREE ホリスティックリサーチセンターは今後も、精油等が持つ機能性に関する研究を継続してまいります。
[研究協力]
東京薬科大学薬学部 臨床微生物学教室(金子寛 助教、中南秀将 教授)
学術発表情報
大会名: 日本薬学会 第146年会(大阪)
会期: 2026 年 03月 26日~ 29日
場所: 関西大学 千里山キャンパス
演題名: Staphylococcus aureus に対する混合ハーブ精油の抗菌作用および抗biofilm作用(Antibacterial and anti-biofilm activities of mixed herbal essential oils against Staphylococcus aureus)
発表者:〇大関壮実1、金子寛1、金澤由紀2、佐井賢太郎2、中南秀将1( 1. 東京薬大薬
2. 株式会社ACRO THREE ホリスティックリサーチセンター)
ローズマリー芳香蒸留水の酸化ストレス保護作用を発見
本取組の背景
THREEでは、自治体と連携し、オリジナルの国産精油を開発しています。精油の生産過程では、植物を水蒸気蒸留する際に副産物として大量の芳香蒸留水が生成されます。精油開発において、この芳香蒸留水を有効活用することは、資源循環型のサステナブルな取り組みとして極めて重要です。しかし、芳香蒸留水の機能性に関する報告はこれまで不十分であり、その活用拡大に向けた科学的根拠の発見が課題となっていました。
肌は紫外線、乾燥、摩擦、加齢などの外的要因により、常に酸化ストレスに晒されています。細胞内に蓄積した酸化ストレスは、細胞機能の低下や炎症反応を引き起こします(図1)。特に酸化ストレスによって誘導される炎症性因子(IL-1β、IL-6、TNF-αなど)は、健やかな肌を損なう一因と考えられています。

研究成果
皮膚角化細胞を用いて、ローズマリー芳香蒸留水の酸化ストレスに対する生理活性を検証しました。
(1) 細胞生存率の向上と活性酸素種(ROS)産生の抑制
ローズマリー芳香蒸留水を皮膚角化細胞に添加後に酸化ストレスを与えたところ、酸化ストレスによる細胞生存率の低下を改善し(図2-a)、細胞内でのROS産生を抑制すること(図2-b)が確認されました。

図2-a.ローズマリー芳香蒸留水の酸化ストレスに対する細胞保護作用
試験方法:ローズマリー芳香蒸留水を添加した皮膚角化細胞に酸化ストレスを与え、培養後の細胞生存率を比較した。
出典:THREE ホリスティックリサーチセンター調べ

図2-b.ローズマリー芳香蒸留水の抗酸化作用
試験方法:ローズマリー芳香蒸留水を添加した皮膚角化細胞に酸化ストレスを与え、ROS産生を蛍光顕微鏡観察し、ローズマリー芳香蒸留水ありなしで比較した。
出典:THREE ホリスティックリサーチセンター調べ
(2) 炎症性因子の発現抑制
ローズマリー芳香蒸留水を添加した皮膚角化細胞に酸化ストレスを与え、炎症性因子の遺伝子発現を確認したところ、酸化ストレスによって上昇した炎症性因子(IL-1β、IL-6、TNF-α)の遺伝子発現を抑制することが認められました(図3)。

図3.ローズマリー芳香蒸留水の酸化ストレスに対する抗炎症作用
試験方法:ローズマリー芳香蒸留水を添加した皮膚角化細胞に酸化ストレスを与え、
IL-1β、IL-6、TNF-αの遺伝子発現量を比較した。
出典:THREE ホリスティックリサーチセンター調べ
今後の展望
精油の生産過程で得られるローズマリー芳香蒸留水が、抗酸化・抗炎症効果を併せ持つ有用な成分であることが示唆されました。今後は、日常的な外的要因から皮膚を保護する機能性成分として、スキンケア等への応用が期待されます。
学術発表情報
大会名: 日本薬学会 第146年会(大阪)
会期: 2026 年 03月 26日~ 29日
場所: 関西大学 千里山キャンパス
演題名: ローズマリー芳香蒸留水の酸化ストレス保護作用の評価(Protective Effects of Rosemary Aromatic Distilled Water on Oxidative Stress)
発表者:○金澤 由紀1,2,騎馬 由佳2,田窪 詠子1,2,横川 貴美2,鈴木 龍一郎2,佐井 賢太郎1,北村 雅史2( 1. 株式会社ACRO、2. 城西大薬)
「THREE ホリスティックリサーチセンター」について
「精油」をはじめとする植物から得られる恵みと心・からだ・肌の関係を探求し、地域社会との取り組みを通じた新たな価値を創出・発信することを目的に2022年09月02日 ACRO内に設立しました。
人の在り方にとどまらず、環境や社会の在り方も踏まえた半歩先の価値を創出・発信することで、「THREE」のさらなる進化に向けた重要な役割を担っていきます。
https://hrc.threecosmetics.com/
学校法人 城西大学
城西大学は、2025年に創立60周年を迎えました。「学問による人間形成」を建学の精神に掲げ、学問・研究だけでなく、お互いを尊敬し合える豊かな人間性を持ち、社会のさまざまな課題を解決できる人材を育成します。坂戸キャンパスは、学生・教職員等あらゆる方角から人の流れを受け入れ日常的に自然な交流を生み出す「知の交流」の拠点としての機能を果たしています。

