【広島県北広島町 × 広島大学 × アドダイス】「AIでメンタルヘルスケア」実証実験報告

〜年1回のストレスチェックで捉えられない「364日の空白」を、ヘルスケアAI(ResQ AI)で可視化。行動変容を促しメンタルリスク改善の可能性を示唆 〜

株式会社アドダイスのプレスリリース

株式会社アドダイス(本社:東京都台東区、代表取締役CEO:伊東大輔、以下アドダイス)は、広島県北広島町(町長:箕野博司)、広島大学「脳・こころ・感性科学研究センター(BMKセンター)」と連携し、広島県の「The Meet 広島オープンアクセラレーター Gov-Tech-Challenge」採択事業として実施した「こころの健康DX」実証実験の最終成果を報告します。約3ヶ月にわたる本実証により、ヘルスケアAI(ResQ AI)による客観的なデータの可視化が参加者の自律的な行動変容を促し、メンタルリスクが改善する可能性があることが示唆されました。

広島県北広島町×株式会社アドダイス

1.目的と背景

精神疾患を理由とする休職・退職は増加の一途にあり、従業員・住民のメンタルヘルスケアは企業・行政を問わず喫緊の課題です。2025年5月には労働安全衛生法が改正され、従業員50人以上の事業場に限られていたストレスチェックの義務化が、規模を問わず全事業場に拡大されることが決定しました(最長2028年5月施行)。しかし年1回のストレスチェックは瞬間の「スナップショット」に過ぎず、残りの「364日の空白」に潜むメンタル不調の兆候を見逃すリスクは依然として残ります。

本実証実験は、(1)AIによるメンタル不調の早期検知(未病対策)体制の構築、(2)週次レポートを通じた自律的な行動変容とストレス回復力(レジリエンス)向上への影響検証、(3)睡眠の質や就寝起床パターンのモニタリングによる生活リズムの乱れの客観的把握、(4)レポート介入がメンタルヘルスに与える影響の分析、という4点を検証目的として設定しました。

2.実証概要

  • 実証期間:2025年9月29日〜2025年12月21日(約3ヶ月間)

  • 参加者数:計34名

    • 北広島町役場:6名

    • 広島イーグル株式会社(広島県山県郡北広島町): 18名

    • 株式会社ジェイ・エム・エス 千代田工場(広島県山県郡北広島町):10名

  • 計測デバイス:スマートウォッチ(ResQ Band / FitBit)によるバイタルデータ継続測定

  • AI解析:ヘルスケアAI「ResQ AI」によるデータ解析・メンタルスコアリング

  • 介入方法:AI解析結果・改善アドバイスを記載した週次レポートを各個人へ送付

  • 身体測定:実証期間中に2回のInBody計測(筋肉量・体脂肪率など)を実施

PoC実施イメージ

3. 結果概要

(1) ストレスチェックでは捉えられない「不調の芽」を検知

ヘルスケアAI(ResQ AI)の解析により、参加者のうち重いメンタル疲労状態にある方が複数確認されました。年1回のストレスチェックや健康診断は実施時点の状態しか把握できませんが(スナップショット)、ResQ AIによる継続的なモニタリングは、残る「364日の空白」を埋め、潜在的な重度疲労者を検知することに成功しました。

(2) 行動変容がメンタルヘルスを改善

週次レポートにより自身の状態を客観的に把握した参加者から、以下の自律的な行動変容と顕著な改善事例が確認されました。

  • 歩数2倍でメンタルスコア30%改善

自らの平均歩数が3,793歩と知った参加者が、意識的に歩数を増やし8,055歩(約2.1倍)とした結果、「心の疲れスコア」が30%減少し、疲労度が「重度」から「中等度」へと改善しました。

  • 睡眠+1時間で疲労スコアが半減

自らの睡眠不足を認識した参加者が就寝時間を1時間早め、平均睡眠時間が5.0時間→5.9時間へ増加し、「心の疲れスコア」が約50%減少しました。

  • 一部の参加者では、個別最適化レポートが行動変容のきっかけに

「個別レポート(介入群)」を受け取った一部の参加者において、レポート受領後に睡眠や運動の改善を実施し、スコアが改善したケースが確認されました。個人の状況に合わせた情報提示が、行動変容のトリガーとして機能する可能性が示唆されました。

(3)事前調査におけるメンタル疲労者をAIでも検知

実証開始時のアンケートで「重度のメンタル疲労」の結果だった参加者について、実証開始後、ヘルスケアAIでも100%検知しました。本人や周囲も気づかない「見えない疲労」のリスクを、AIが客観的に可視化できる可能性が示されました。

(4)ある企業に見られた組織のレジリエンス(回復力)の可視化

本実証にご参加いただいたうちの一社では、参加者のこころの疲れスコアが一時的に上昇した場合でも、週末を超え翌週にはスコアが下降する傾向が確認されました。組織内もしくは家庭内にストレスを解消できる人間関係の存在が推測され、心理的安全性の高い環境が組織のレジリエンス(回復力)として機能しているケースが確認されました。

(5)行政としての展開可能性と課題(北広島町役場)

北広島町役場参加職員からは、AIによる客観的データが自己認識を深め、主体的な健康管理への第一歩となるという評価が得られた一方、メンタル情報の開示への抵抗感、導入コスト、データ活用の倫理的配慮など、住民全体への展開に向けた現実的な課題も明らかになりました。

【実証実験の詳細報告記事】

4.コメント

笹岡貴史 広島大学 脳・こころ・感性科学研究センター 准教授

これまで、脳が身体内部の感覚(内受容感覚)を適切にモニターし、処理できることがこころの健康に重要であることが基礎研究で示されてきました。しかし、実験室で得られた知見が実世界でも再現できるか、日々の生活から得られるデータによって検証することの重要性に注目が集まっています。

今回の取り組みで、一部の参加者で睡眠や運動などとストレスとの関係が見いだされ、活動量データに基づくレポートの送付が行動変容のトリガーとなる可能性がフィールドデータで示されたことは、自身の普段の身体の状態への気づきが、住民のメンタルヘルス改善に繋がる可能性が見える結果と考えられます。

効果の個人差を生む要因など、さらなる検証を重ね、地域の課題を解決する技術開発に繋がっていくことを大いに期待しています。

岡本百合 広島大学 保健管理センター 教授

身体の健康は数値指標により客観的に把握できますが、メンタルヘルスは依然として自覚症状への依存度が高く、早期発見が課題とされてきました。こうした背景において、無自覚な不調の兆候を可視化しようとするアドダイスの取り組みは、予防の観点からも意義のあるアプローチといえます。今後、その有用性が実証され、ウェルビーイングの向上に貢献していくことを期待しております。

5.今後に向けて

本実証は、ウェアラブルデバイスとヘルスケアAIによる継続的なメンタルヘルスの見守りが、従来の年1回のストレスチェックを補完し、「未病段階での早期検知」と「自律的な行動変容の促進」という2つの価値を同時に実現できることを示しました。

アドダイスは引き続き、ヘルスケアAI「ResQ AI」を活用した健康リスクの可視化・未病対策ソリューションの提供を通じて、企業・自治体における健康経営推進とすべての人のWell-being向上に貢献して参ります。

以上

<参考資料>ご協力自治体・企業概要

(1)北広島町役場

所在地:広島県山県郡北広島町有田1234番地

業務内容:地方行政・住民サービス

URL:https://www.town.kitahiroshima.lg.jp/

(2)株式会社ジェイ・エム・エス(JMS)

所在地:広島市中区加古町12番17号

事業内容:医療機器・医薬品の製造・販売及び輸出並びに輸入

URL:https://www.jms.cc/

(3)広島イーグル株式会社

所在地:広島県山県郡北広島町新氏神6番地

事業内容:製造業/プレス加工部品・切削加工部品の製造

URL:https://www.ekkeagle.com/jp/hek/

(4)株式会社アドダイス

所在地:東京都千代田区外神田6-3-6 MKビル3F

代表者:代表取締役CEO 伊東大輔

事業内容:人工知能を用いた業務管理サービスの提供・導入支援コンサルティング

URL:https://ad-dice.com/

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