第79回世界保健総会期間中において、笹川陽平ハンセン病制圧大使就任25周年を迎え、取り組みを強化
公益財団法人笹川保健財団のプレスリリース
笹川ハンセン病イニシアチブ(公益財団法人 笹川保健財団、日本財団、および笹川陽平WHOハンセン病制圧大使による連携)は、2026年5月18日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部において、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使就任25周年を記念したレセプションを開催しました。本レセプションには、第79回世界保健総会に出席中のハンセン病蔓延国を中心とした各国保健大臣、WHO関係者、日本政府代表団など約100名が参加しました。
また、総会期間中に、WHO事務局長テドロス・アダノム博士をはじめ、WHO各地域事務局長、インド、ブラジルおよびインドネシア等ハンセン病対策重点16か国の保健大臣らとの面談を実施し、ハンセン病のない世界の実現に向けた国際連携のさらなる強化について意見を交わしました。

ハンセン病対策はこの25年間で大きく進展した一方で、現在も世界では年間約18万人前後の新規患者が報告されており、依然として感染の課題が残されています。また、治癒可能な疾患でありながら、偏見や差別に苦しみ続ける人々が存在している現状も指摘されています。レセプションでは、笹川大使による25年にわたる活動の成果を紹介するとともに、ハンセン病問題に関する国際的な認知向上と理解促進を図り、今後の取り組みに向けた国際連携およびアドボカシーのさらなる強化を確認しました。
笹川氏は2001年、「ハンセン病制圧のためのグローバル・アライアンス特別大使」に任命され、その後WHOハンセン病制圧大使として、ハンセン病の制圧と差別撤廃に尽力してきました。これまでに127か国を訪問し、3,700日以上にわたり現場で活動を継続しています。近年もブラジル、インド、インドネシアなど主要流行国の首脳や政府関係者との対話を重ね、具体的な対策推進に取り組んでいます。
WHO事務局長のテドロス・アダノム博士は、総会の公式演説の中で次のように述べました。「ハンセン病制圧に向けたWHO親善大使として25周年という節目を迎えられた笹川陽平氏の卓越したリーダーシップに、心より敬意を表します。笹川氏はWHO親善大使として最も長くその任を担われ、現在もなお精力的に活動を続けておられます。心から感謝申し上げます。」
25周年を迎えたWHOハンセン病制圧大使/日本財団名誉会長の 笹川陽平氏は、レセプションの冒頭でこれまで活動を支えてきたWHO、各国政府、当事者団体、医療従事者、関連NGOへの謝意を表明したうえで、「ハンセン病は治療可能な病気であるにもかかわらず、いまなお偏見や差別によって多くの人々が苦しんでいる。最後の一人まで取り残さないという強い意志のもと、国際社会がさらに連携を強化していく必要がある」と訴えました。現在87歳となった笹川氏は、「現場には課題も解決策もある」という信念のもと、「ハンセン病の影響を受けるすべての人々に支援が届くその日まで、活動に全身全霊で取り組み続ける」と決意を表明しました。
また、新型コロナウイルス感染症拡大下に開始された「Don’t Forget Leprosy Campaign」(ハンセン病を忘れないでキャンペーン)は、世界各地のハンセン病当事者を含むステークホルダーの連帯を促進し、ハンセン病問題への関心維持に大きく貢献してきました。ハンセン病問題の解決に向けたこれまでの歩みを振り返る中で、「最後の一マイル」こそが最も困難な道のりであるとの認識が共有されました。本周年においては、「Don’t Forget Leprosy Campaign」の新たなメッセージとして「The Last Mile Starts Now」を掲げ、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、国際社会に対しさらなる協力と行動を呼びかけました。
笹川ハンセン病イニシアチブについて
笹川ハンセン病イニシアチブは、笹川陽平WHOハンセン病制圧大使と笹川保健財団および日本財団がハンセン病のない世界の実現を目指す戦略的アライアンスです。笹川大使および大使が名誉会長を務める日本財団(1962年設立)と、ハンセン病対策に特化した財団として設立された笹川保健財団(1974年設立)は、50年近くにわたり世界各地でハンセン病対策に取り組んでいます。「医療面」では、1975年以降、WHOを通じて世界各国政府によるハンセン病対策を支援しており、その累計は約2億ドルにのぼります。また、「社会面」については、日本政府などと連携し、国連総会における「ハンセン病患者・回復者・その家族らに対する差別撤廃決議」の採択(2010年)や、国連人権理事会を通じた国連ハンセン病差別撤廃特別報告者の設置(2017年)に大きく貢献しています。
ハンセン病について
ハンセン病は、らい菌が主に皮膚や神経を侵す慢性の感染症で、年間18万人程度の新規患者数が毎年報告されています。治療法が確立された現代では薬を服用すれば治る病気ですが、治療の開始が遅れたり、中断したりすると、抹消神経が障害を受け、手足・顔面の知覚麻痺や筋力低下などの身体的な障害につながることがあります。推定300万~400万人がハンセン病によって何らかの障害を持ちながら生活しているとみられています。また、ハンセン病は治る病気にも関わらず、多くの回復者およびその家族が、社会の根強い偏見や差別に今なお苦しんでおり、教育や雇用、社会参加の機会が制限されるなどの問題が残っています。

