大正製薬株式会社のプレスリリース
「腸活」という言葉が広く浸透し、腸内環境を整えることへの関心が高まるなか、脳と腸の密接な関係は「脳腸相関」として広く知られるようになりました。
脳と腸は、自律神経などを介してつながっています。腸は第二の脳といわれており、強いストレスを感じると急におなかが痛くなったり、反対におなかの調子がすぐれないことで気分が落ち込んだりイライラしたりすることがあるのも、脳と腸が互いに影響し合っているためです。
そして近年、さらに皮膚も含めた相互の関係に注目が集まっています。それが「脳腸皮膚相関(のうちょうひふそうかん)」です。
「ストレスがたまると肌が荒れる」「便秘気味のとき、肌も荒れやすく気分も落ち込む」――。こうした心身の変化には、脳と腸、そして皮膚のつながりが関係していると考えられています。
では、脳・腸・皮膚はどのようにつながっているのでしょうか。そして、肌を健やかに保つために、何を意識すればよいのでしょうか。
腸内環境と美肌を専門とする小林メディカルクリニック東京 院長の小林暁子先生にお話をうかがいました。

◆「脳腸皮膚相関」とは
脳・腸・皮膚は深く影響している、というのが「脳腸皮膚相関」の概念です。1930年代に、海外の研究者によってこの考え方が提唱されたといわれており、現在でも研究が進められている分野です。
◆脳・腸・皮膚はひとつのつながり!?
「腸内環境が整っていると、皮膚の状態も良くなる気がする」。そんな経験をしたことのある方が多いのではないでしょうか。
脳は腸の機能に影響を与え、反対に腸の状態も脳に刺激を与えるのが「脳腸相関」ですが、「脳と腸の状態が一番わかりやすく反映されるのが皮膚。こうした脳、腸、皮膚が双方向に影響し合う関係を『脳腸皮膚相関』と呼ばれています」(小林暁子先生)。
例えば、睡眠不足やストレスが続いたりすると、自律神経やホルモンバランスが乱れ、腸の働きに影響を及ぼします。この腸内環境の乱れは免疫機能や皮膚の状態にも関係し、
肌荒れやニキビができるなど肌の状態に変化が現れることがあります。肌に生じた不調が気になってストレスを感じることで、再び脳から腸に影響が生じ、脳、腸、皮膚の不調の悪循環に陥ることもあります。
反対に、腸内環境が良い状態に保たれていると、腸のバリア機能や免疫機能が正常に働きやすくなり、皮膚の健康維持にもつながると考えられています。また、脳と腸は自立神経やホルモンを介して密接に情報をやり取りしており、セロトニンなどの神経伝達物質とも関連することから、腸内環境を整えることは、心身のすこやかな状態を支えるうえでも重要だと考えられています。
「皮膚は、唯一身体の状態を目で確認できる器官。腸内環境改善の効果が表れやすく、修復能力も高いので、皮膚の変化を日々チェックすることは非常に重要です。体調の良しあしを早めに察知することで、食事を気を付け、大きなトラブルを回避するなど、自分自身の体調を見つめ直すきっかけになります」(小林暁子先生)。
「脳腸皮膚相関」はまだ明らかになっていない部分も多く、現在も研究段階にあります。肌の状態だけを見るのではなく、睡眠やストレス、食生活などにも目を向ける “新しい腸活”として注目してみてはいかがでしょうか。
◆脳・腸・皮膚を整える5つの習慣 ~脳を休ませることも「腸活」!~
では、「脳」「腸」「皮膚」の関係を良好に保つためには、どうすればよいのでしょうか。その生活習慣と対処法についてご紹介します。
<1> 眠りの質を低下させない
暑い夏にはクーラーを上手く使うなど、十分な睡眠時間を確保するように心掛けましょう。睡眠の質が低下していると感じた場合には、昼寝を取り入れることも効果的です。長くなりすぎないよう、30分以内を目安に休むと、午後すっきりと過ごすことができます。

<2> 軽めの運動や気分転換でリフレッシュ!
何となく気分が乗らない、元気が出ないというときには、ジョギングやウオーキング、ストレッチなど、軽めの運動をしてみましょう。
また、行ったことのない場所に出かけるなど、日常から少し離れて気分転換をするのもおすすめです。
こうしたリフレッシュはストレス解消につながり、副交感神経が優位になり、腸のぜん動運動が促進されて、腸の働きにもよい影響を与えます。「脳を休ませることも腸活の一つ」と考えて、心身をリフレッシュする時間をつくりましょう。

<3> チョコチョコ飲みで水分をしっかり補給!
腸活では食べ物が注目されがちですが、水分摂取も重要です。ただし「1日2リットル以上飲まなきゃ」と一度にたくさん水分を摂っても、ほとんどが尿で体外へ出てしまいます。効果的なのは、チョコチョコとこまめに水分を摂り込むこと。勉強やオフィスワークの合間でも、5分・10分に1回など、のどが渇く前に水分を補給するようにしましょう。

<4> 発酵食品や食物繊維で腸に良い食習慣を!
身体に良い善玉菌を含むものを「プロバイオティクス」、その善玉菌の栄養になるものを「プレバイオティクス」と呼びます。ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品や整腸剤などで腸によい影響を与える乳酸菌・ビフィズス菌などを採り入れ(プロバイオティクス)、菌のエサ(栄養源)となり、菌の増殖や働きを高める成分である食物繊維やオリゴ糖を含む食材、しいたけ、レタス、玉ねぎ、にんにく、キャベツなどさまざまな食品をバランス良く摂るようにしましょう(プレバイオティクス)。
また、毎日の食事だけで「腸活」を完璧にしようとすると、それ自体がストレスになってしまうこともあります。無理なく続けるためにも、必要に応じてビフィズス菌・乳酸菌を腸に届ける整腸剤を活用するのも一つの方法です。


<5> 腸ストレッチと腸もみでリラックス!
緊張でかたくなったおなかをやわらかくする「腸ストレッチ」。便通を改善し、腸のまわりの筋肉に刺激を与えて腸を動かすことを目的に行います。また、おなかをやさしくマッサージする「腸もみ」は、腸周りの筋肉を鍛え、腸の汚れを落としやすくするセルフケアの一つです。どちらも副交感神経が優位になる入浴後や就寝前がおすすめです。

◆終わりに~脳を休ませ、腸を整え、肌の状態にも目を向けよう~
小林メディカルクリニック東京 院長 小林暁子先生

肌の状態が気になったとき、スキンケアだけでなく、ストレスや睡眠、食生活などにも目を向けてみるといった新しい視点を与えてくれるのが「脳腸皮膚相関」の考え方です。
現代では、子どもから高齢者まで、さまざまなストレスを抱えています。腸の健康を守るためにも、ストレスをため込まない生活を心掛けることが大切です。
手軽な運動を取り入れたり、1日の中でスマートフォンから離れて自分自身と向き合う時間をつくったりするのもよいでしょう。
また、ストレス解消を意識したストレッチなどもおすすめです。特別なことをする必要はありません。食物繊維やビタミンを含むバランスのよい食事や、整腸剤の活用、腸もみなどのセルフケアを無理なく取り入れ、焦らず楽しく腸内環境を整えていきましょう。
<プロフィール>
小林メディカルクリニック東京院長・医学博士。順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学総合診療科を経て、2005年にクリニック開業。内科、皮膚科のほか、便秘外来や女性専門外来を併設し、全身の不調に対応する。なかでも便秘外来ではのべ15万人以上の便秘患者の治療に携わり、高い実績を上げている。また、さまざまな業界とコラボし、美腸メニューを提供。テレビ出演、講演でも活躍中。著書多数。
【参考文献】
・「脳・腸・皮膚の相互作用を利用した 精神的ストレスを緩和する機能性食品素材の開発」
(高山善晴)
・「体もメンタルも腸からポジティブに! 最新版 美腸の教室」(監修:小林暁子)

