歯垢がつきやすい人は「舌の汚れ(舌苔)」が多く、舌苔中に細菌の栄養となりうるアミノ酸も多いことを発見

花王株式会社のプレスリリース

~舌を含む口内全体のケアが、歯垢対策の新たな視点に~

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)ヒューマンヘルスケア研究所は、株式会社島津製作所との共同研究により、歯垢(しこう)*¹がつきやすい人は、舌の表面に付着する汚れ「舌苔(ぜったい)」*²の量が多く、さらに舌苔中に細菌の栄養となりうるアミノ酸も多いことを見いだしました。これにより、歯に細菌が増殖しやすくなり、歯垢が増えやすくなっている可能性が示されました。この成果は、歯垢の蓄積を防ぐには、歯だけでなく、舌を含む口内全体のケアも大切であるという新たな視点を示すものです。

今回の研究成果は、第69回秋季日本歯周病学会学術大会(2026年10月16~17日・広島県)にて発表しました。

*1 歯の表面に付着する汚れ(細菌などのかたまり) *2 舌の表面に付着する汚れ(細菌や食べかすなどのかたまり)

背景

花王は、生活者の「本音」に寄り添ったオーラルケア研究を進めており、今回、「しっかり磨いているはずなのに、歯垢がつきやすい」という実感に着目しました。「歯垢」は細菌が歯に付着して形成されるもので、こうした細菌の活動がむし歯や歯周病、口臭などさまざまな口内トラブルの原因となります。「歯垢のつきやすさ」には個人差があることが知られていますが、その理由についてはまだ十分に明らかになっていません。

近年、分析技術の進展により、多面的に口内環境をとらえる研究が進んでいます。そこで花王は、「歯垢のつきやすさ」の要因を明らかにするため、分析技術に強みを持つ株式会社島津製作所と共同で、細菌・代謝物・生理学的因子に着目した網羅的解析を行いました。

歯垢がつきやすい人は、舌苔量が多く、細菌の栄養となりうるアミノ酸も多い

花王は、「歯垢のつきやすさ」に関わる要因を探るため、2025年6~8月、健常な男女40名を対象とした試験を実施しました。歯垢を除去したあと、飲食物を統一したうえで、2日間ブラッシングなどの口腔清掃を停止し、歯垢・舌苔・唾液の量だけでなく、島津製作所と共同で、歯垢・舌苔について細菌バランス(細菌の種類と存在割合)や代謝物などを網羅的に解析。検出できた合計1000を超える成分・菌種について、2日後に蓄積した歯垢量の多かった15名を「歯垢がつきやすい群」、少なかった15名を「歯垢がつきにくい群」とし、比較を行いました。

その結果、歯垢がつきやすい群では、歯垢がつきにくい群と比べて、舌苔量が約1.2倍であり、さらに、同量の舌苔中の細菌の栄養となりうる成分にも違いが認められました。その一例として、アスパラギン酸(アミノ酸の一種)は約1.8倍であることが分かりました。

試験中の2日間は両群で飲食物を統一していることから、舌苔中に認められた細菌の栄養となりうる成分の内、アミノ酸が歯垢のつきやすさに関与している可能性が考えられました。

試験開始時の舌苔の量が、2日後の歯垢量に関連している可能性

さらに、歯垢のつきやすさと舌苔の関係を調べるため、前述の30名について舌苔から得られた500を超える細菌種・代謝物などのデータを用いて統計解析を行いました*³。その結果、初期の舌苔量が多いと2日後の歯垢が増えることが推定されました。

*3 500を超える項目を主成分分析で要約し、重回帰分析によって、試験2日後の歯垢量との関連を分析。続いて、ベイジアンネットワークモデリングによって要因間のつながりを解析し、これらの因子がどのように関係しているかをpiecewise SEM解析により推定

まとめ

花王は、島津製作所との共同研究により、歯垢・舌苔・唾液を網羅的に解析し、歯垢のつきやすさに舌苔の量や質(細菌バランスや成分など)が関係する可能性を示しました。

今後、歯だけでなく舌を含む「口内全体のケア」に着目した新たなオーラルケアの研究・提案を進め、生活者が生涯にわたって健康で快適な口内を維持できるよう貢献していきます。

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