大正製薬株式会社のプレスリリース
今年、新たに睡眠障害内科が標榜されるなど、睡眠は単なる休養ではなく、健康課題としてより注目されています。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」1)では、日本人の睡眠時間は国際的にみても短く、女性の40~50代では4割以上が1日6時間未満の睡眠しか確保できていないことが報告されています。
また、睡眠中に何度も目が覚める中途覚醒などによる、いわゆる「細切れ睡眠」は、アルツハイマー病との関わりが指摘されている脳領域の構造的な違いが見られることが分かりました。また男性よりも女性の方がその傾向が強い可能性があることが近年報告されています。※ただし、この研究は中途覚醒がアルツハイマー病を引き起こすことを示したものではありません2)。
こうした背景を踏まえ、大正製薬が 2026年10月に全国の40~50代女性を対象に睡眠に関する実態調査を実施しました。
調査の結果、49.7%の女性が理想どおりの睡眠を取れていないことに加え、多くの方が夜中に目が覚めたり、眠りが浅いといった中途覚醒の悩みを抱えている実態が明らかになりました。


さらに、中途覚醒の原因として「栄養不足が関係する可能性」を85.5%が知らなかったと回答。睡眠のために「栄養バランスを気にしている」人も12.6%にとどまりました。睡眠対策では生活習慣や寝室環境が意識される一方、睡眠リズムを整えるための毎日の栄養には意識が低いことがうかがえます。


■加齢に伴い低下する「メラトニン」と睡眠リズム
一般に、睡眠と覚醒のリズムに関わる「メラトニン」は、加齢とともに分泌量が低下すると報告されています3)。こうした変化も、年齢とともに「深い眠りを維持しにくくなる」「睡眠が途中で途切れやすくなる」背景の一つと考えられています。

高齢の不眠症患者を対象とした研究では、メラトニン投与によって睡眠効率の改善や夜間覚醒の減少が認められたと報告されています4)。
私たちの体には、脳の中に「体内時計」が備わっており、眠る時間と活動する時間のリズムを整えています。夜になると体内時計からの指令により、「メラトニン」の分泌が高まります。眠くなる頃に手足が温かく感じられることがありますが、これはメラトニンの働きによって手足から熱を逃がし、体の中心の温度を下げることで5)眠る準備を進めているためです。
また、メラトニンは体内で突然作られるわけではありません。まず、食事中のたんぱく質に含まれる「トリプトファン」という必須アミノ酸が材料になります。トリプトファンは体内で合成できないため、肉や魚、卵、大豆製品などから摂取する必要があります。
体内に取り込まれたトリプトファンは、5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)、セロトニンへと変換され、最終的にメラトニンになります。

■睡眠リズムを支える栄養素
メラトニン生成にかかわる栄養素として、
・トリプトファン
・マグネシウム
・ビタミンB6 など
にも注目が集まっています。
マグネシウムは、アメリカなど海外では睡眠をサポートするサプリ成分として注目されています。体内時計を調整したり、神経の興奮を抑えたり、筋肉の緊張を和らげたりする働きが知られており、リラックスした状態を保つことに関わると考えられています6)。不眠症の高齢者を対象とした研究において、マグネシウムのサプリメントを摂取した際、血清メラトニン濃度や睡眠時間、睡眠効率が上昇したという事例も報告されています7)。
ビタミンB6はトリプトファンからセロトニンが作られる過程で補酵素として働くことが知られています。
水溶性ビタミンであり、体内に蓄積されにくいため、継続して摂取したい栄養素です。
夜中に目が覚める、眠りが浅くなったと感じる背景には、加齢に伴うメラトニン分泌や睡眠リズムの変化が関係している可能性があります。睡眠リズムを支える栄養素を上手に取り入れるなど、自分らしい睡眠リズムを整えることが、これからの健やかな毎日を支える第一歩となりそうです。
(参考) 引用文献
1) 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
2) Alzheimer’s Dement. 2025;21(6):e70353
3) Exp Gerontol. 2004;39:1723-1729.
4) Lancet. 1995; 346:541-544
5) Am J Physiol. 1997;272:R1178-R1188
6) Nat Sci Sleep. 2025;17:2639-2656
7) J Res Med Sci. 2012;17(12):1161-1169

