東京大学大学院農学生命科学研究科・日鉄興和不動産・SANU・JDSC、多拠点生活とウェルビーイングの産学共同研究を開始

株式会社JDSCのプレスリリース

~都市と自然を行き来する暮らしが心身や日常生活に与える影響を、同一の調査参加者を1年間追跡して検証~

東京大学大学院農学生命科学研究科(東京都文京区、研究科長:東原 和成、以下 東京大学)、日鉄興和不動産株式会社(東京都港区、代表取締役社長:三輪 正浩、以下 日鉄興和不動産)が運営する総合研究所「Future Style総研」、株式会社SANU(東京都新宿区、代表取締役:福島 弦、以下 SANU)、株式会社JDSC(東京都文京区、代表取締役:加藤 エルテス 聡志 / 佐藤 飛鳥、以下 JDSC)の4者は、都市と自然を行き来する多拠点生活がWell-beingに与える影響を検証する産学共同研究(第2フェーズ)を開始します。

本研究は、日鉄興和不動産、SANU、JDSCの3社が2025年から行ってきた探索的な調査を発展させたものです。これまでの調査で見えてきた傾向をもとに、新たに東京大学が参画し、産学連携で検証していきます。

【本リリースポイント】

1.これまでの調査で、多拠点生活の利用者に、心身や日常生活の変化の兆しが見えてきました。

2.新たに東京大学が参画し、SANU会員のみでなく、多拠点居住を実践する幅広い都市生活者と、多拠点居住を実践していない都市生活者も含めて比較研究を行います。

3.同じ人を1年間追跡し、変化が「多拠点生活を選ぶ人の特性」によるものか、「多拠点生活の経験」によるものかを切り分けて検証します。

1. 研究背景|都市生活の疲弊と、広がる「二地域居住」への関心

仕事や家事、育児、デジタル機器への常時接続などにより、都市生活の中で心身を切り替え、十分に休むことは難しくなっています。一方、リモートワークの広がりなどを背景に、都市と自然など、複数の場所を行き来しながら暮らす選択肢が広がっています。

国土交通省の最新調査(※1)でも、都市住民の約3割(27.9%)が二地域居住に関心を示しており、20歳代の44.8%が地方移住に関心を示すなど大きな潜在ニーズが存在し、2024年11月施行の改正広域的地域活性化法(二地域居住促進法)など国の政策的後押しも本格化しています。

ただし、多拠点生活が心身にどのような影響を与えるのかは、まだ十分に分かっていません。多拠点生活を選ぶ人は、もともと心身の状態が良い人である可能性もあり、多拠点生活そのものの影響と見分けることが、これまでの課題でした。

本共同研究は、多拠点生活を広義の「二地域居住」のひとつの実践形態と捉え、都市と自然を行き来する暮らしが都市生活を補完する新たな「生活インフラ」「セルフケアインフラ」になり得るかを学術的に検討するものです。

(※1 出典:国土交通省「二地域居住等の推進に向けた調査 (https://www.mlit.go.jp/2chiiki/files/23112802kokudo.pdf)より)


2-1.これまでの研究|探索的調査から、仮説検証へ

  • 事前調査(2025年12月): アンケート調査

    SANU 2nd Home会員196名は、非会員218名に比べ、ウェルビーイングに関わる時間への期待が高い傾向がみられました。参考リリース:https://www.nskre.co.jp/company/news/2026/20260430.html

  • 第1フェーズ(2026年2月~7月):アンケート調査+ウェアラブル整体データ+デプスインタビュー

    SANUが運営する多拠点生活サービス「SANU 2nd Home」の利用者25名に、滞在前・滞在中・滞在後の3回、同一の設問によるアンケート調査を実施しました(うち19名は、ウェアラブル機器で夜間の心拍変動も計測)。また、7名にデプスインタビューを実施しました。

2-2. 第1フェーズで見えてきた3つの兆し|都市と自然を行き来する多拠点者の傾向(研究仮説)

※小規模な探索的調査による知見であり、効果や因果関係を示すものではありません。第2フェーズで検証する研究仮説です。

兆し1|滞在中は、心身の自己評価が大きく高まる。帰宅後も続くかが、次の検証課題

滞在中は、心身の自己評価が滞在前より高まる傾向がみられました。また帰宅後には、多くの項目が滞在前に近い水準に戻りました。身体のコンディションや睡眠・休養などは、帰宅直後も滞在前をわずかに上回る値でしたが、帰宅後にどの程度継続するかは、第2フェーズで検証します。

▼Well-beingに関わる心身状態の変化 

兆し2|利用を重ねるうちに、拠点が旅先から「帰る場所」に変わっていく

デプスインタビューでは、通ううちに、拠点が旅先ではなく「戻ってくる場所」「第二の家」のように感じられるようになった、という声がほとんどの方から聞かれました。どの拠点でも配置や備品が同じで、準備や計画の負担が減るという声もありました。

兆し3|滞在の経験が、自然との距離感や、帰宅後の暮らし・家族との関わりにも及ぶ

自然が身近になった、帰宅後の暮らしや家族との会話に変化があった、という回答や声が得られました。ただし、感じ方は人や状況によって異なります。これらは、多拠点生活の価値を滞在中だけでなく、都市へ戻った後の暮らしまで含めて捉える必要性を示唆しています。

▼多拠点生活における日常への影響 


3. 第2フェーズの研究内容|

第2フェーズ共同研究のポイント

  1.比較対象の拡大(計800名規模想定)

 ・一般的な多拠点生活者(SANU以外のサービス利用者や自前で拠点を持つ

     層含む)および単拠点生活者まで広く対象を拡大し、比較研究を実施

  2.継続追跡調査の開始

    ・同一対象者を長期的(初回・6ヶ月後・1年後)に追いかけ、意識や行動の変化     を調査                            

  3.東京大学の参画

    ・産学連携で4者共同研究体制を構築

※上記の研究設計・規模・手法等は現時点の計画(予定)であり、今後の研究の進捗や倫理審査、調査設計の精緻化等に伴い、一部変更となる可能性がございます。

検証する3つの仮説

1.多拠点生活を選ぶ人の特性によるものか、経験によるものか

もともと心身の状態が良い人が多拠点生活を選んでいるのか。それとも、多拠点生活の経験が心身に影響しているのか。

2.自然環境の影響か、行き来する暮らし方の影響か

影響しているのは、自然環境そのものか。それとも、複数の場所を行き来する暮らし方か。

3.変化は一時的なものか、続いていくものか

滞在中の変化は、その場限りのものか。それとも、帰宅後の暮らしにも続いていくのか。

本研究を通じて目指すもの

これまで住まいは、「どこに住むか」という1か所の視点で考えられてきました。また、政府等も推進する多拠点居住(二地域居住)については、地域への経済的効果や関係人口の創出といった地域側の視点での有効性は多く語られ研究されてきた一方で、実践者(多拠点居住者)自身にとってどのような効能があるのかについては、十分に研究されてきませんでした。

本研究では、都市と自然など役割の異なる複数の場所を組み合わせて暮らす視点(「暮らしのポートフォリオ」)から、多拠点居住者自身にとっての効能や価値を明らかにしていきます。

実践者自身にとっての効能を解明していくことで、多拠点居住が一人ひとりの豊かな人生を支える「新たな住まいの選択肢」として広がっていく可能性を見出していきたいと考えています。得られた調査設計や知見は、研究者・自治体・企業にも広く公開し、持続可能なライフスタイルモデルの社会実装につなげていきます。


4. コメント

東京大学大学院農学生命科学研究科
准教授 曽我 昌史 氏

「Well-beingの個人内変化を追う研究は国内外でも殆ど見当たらないため、第1フェーズの探索的研究は社会的にも学術的にも高い価値があります。一方、自然体験がWell-beingを高めるという説は広く信じられていますが、学術的には選択バイアスの課題が残されています。以上をふまえ、比較群を伴う縦断調査と横断調査を組み合わせた本取り組みは、人と自然の関わり方を科学的に理解するうえで非常に価値の高い研究になると期待しています。」

■Future Style総研について

運営:日鉄興和不動産株式会社

URL: https://futurestylesoken.jp/

活動内容: Future Style総研は未来から発想するための研究所です。暮らしや働き方などのさまざまなシーンを未来思考で見つめ、研究し、人生を豊かにする「新しい価値」を生み出すことを目的としています。シングルライフに特化し調査研究を行う「+ONE LIFE LAB」、人口減少社会における新たな都市像を探る共同研究プロジェクト「Post Growth City Lab」などを推進しています。

株式会社SANUについて

URL:https://2ndhome.sa-nu.com/

ライフスタイルブランド「SANU(サヌ)」が展開する、日本各地の美しい自然の中に独自建築した「自然の中のもうひとつの家」を提供する会員制セカンドホームサービス「SANU 2nd Home」を展開しています。「Live with nature./自然と共に生きる。」を掲げ、都市生活を基盤としながら自然を日常に取り込むライフスタイルを提案。サブスクリプション・法人契約・共同オーナー型まで多様な選択肢を展開し、2026年10月現在、国内40拠点・250室を運営しています。

株式会社JDSCについて

URL:https://jdsc.ai/

JDSCは、AIエージェントとデータサイエンスを核に、日本の基幹産業の変革を進めるテクノロジーカンパニーです。製造・物流・インフラ・公共などの現場に深く入り込み、DXやAXによる意思決定の高度化から、フィジカルAIによる現実世界の最適化・自律化までを実現。社会課題を解決する新たな産業スタンダードを創り、日本のアップグレードに貢献します。

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