日本メナード化粧品、オオムギから抽出したエキスに歯ぐきの幹細胞の機能を高める効果を発見!

日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、愛知学院大学 歯学部(愛知県名古屋市千種区末盛通2-11)歯周病学講座(教授:三谷 章雄)との共同研究から、オオムギエキスに歯ぐきの幹細胞(歯肉幹細胞)の機能を高める因子を増やす効果を発見しました。また、オオムギ、ラフマ、ジュンサイを組み合わせたエキスに、歯ぐきの炎症とコラーゲンの分解を抑える効果、口臭成分の発生を抑制する効果を見出しました。これらの植物エキスは、新しいオーラルケアへの応用が期待されます。

歯ぐきを維持するためには、「コラーゲン」が重要です。歯ぐきのコラーゲンは、しっかりものを噛めるように歯を支える役割を担っています。しかし、歯ぐきの腫れや出血を引き起こす炎症(歯肉炎)などによって、コラーゲンは減ってしまいます。このような状態は“歯周病の初期段階”ともいわれます。これを修復するには、歯ぐきのコラーゲンを補う必要があります。

歯ぐきのコラーゲンは、「歯肉線維芽細胞」と呼ばれる細胞が生成しています。また、この歯肉線維芽細胞を生み出しているのは「歯肉幹細胞」と呼ばれる歯ぐきの幹細胞です。つまり、歯肉幹細胞は歯ぐきのコラーゲンを供給するもととなる重要な細胞です。

  • 歯ぐきの幹細胞の機能を高め、歯肉炎と口臭予防に効果的な植物エキス

今回、オオムギエキスに、歯肉幹細胞の機能を高める因子を増やす効果を見出しました。幹細胞の機能を高めることで、歯ぐきのコラーゲンの維持につながると期待されます。
さらに、オオムギエキスにラフマ、ジュンサイから抽出したエキスを組み合わせることで、歯ぐきのコラーゲンを維持する効果に加え、炎症を抑える効果、口臭の発生を抑制する効果も見出しました。
この3種の植物エキスと殺菌剤等を配合した洗口液を3か月間使用した結果、歯ぐきの出血率の減少や口臭の改善が認められ、歯肉炎、口臭の抑制に効果的であることを確認しました。

本研究の成果は今後、オーラルケア商品の開発に応用してまいります。なお、研究成果の一部は2022年3月25日~28日にオンライン開催された「日本薬学会第142年会」にて発表しました。

<参考資料>
1.歯ぐきの構造と炎症による衰え

歯ぐきは「上皮」と「結合組織」から構成されています。上皮は「歯肉上皮細胞」で構成され、歯周病菌など病原性微生物の侵入に対する物理的なバリアとして機能しています。結合組織では「歯肉線維芽細胞」がコラーゲンを生成し、歯ぐきの健康を保っています。この歯肉線維芽細胞は、「歯肉幹細胞」と呼ばれる歯ぐきの幹細胞から生み出されます。

図1 歯ぐきの構造とコラーゲン生成に関わる細胞図1 歯ぐきの構造とコラーゲン生成に関わる細胞

歯周病菌などの繁殖により歯ぐきに炎症が起きると、上皮のバリア機能が低下し、歯周病菌の影響を受けやすくなります。また、結合組織では、コラーゲンが壊されるとともに歯肉線維芽細胞のコラーゲンの生成能力が低下し、コラーゲンが減少します。結合組織のコラーゲンが減少すると、歯ぐきは衰えていきます。歯ぐきの健康を守るためには、歯ぐきのコラーゲンの生成を高めることが重要です。

図2 歯ぐきが衰えるメカニズム図2 歯ぐきが衰えるメカニズム

 

2.オオムギエキスが歯ぐきの幹細胞の機能を高める
歯肉線維芽細胞にオオムギエキスを添加して培養したところ、歯肉幹細胞の機能を高めるタンパク質FGF2※1の産生促進が認められました。この結果から、オオムギエキスは歯肉線維芽細胞からのFGF2の産生を促進し、このFGF2を介して歯肉幹細胞の機能を高めることで、新しい歯肉線維芽細胞を生み出し、歯ぐきの維持・再生を促すと期待されます。
※1 Fibroblast Growth Factor 2の略称。細胞の増殖促進作用や血管新生作用を有し、歯科領域では「歯周組織再生剤」として臨床応用されている。

図3 歯ぐきを構成する細胞の活性化図3 歯ぐきを構成する細胞の活性化

 

 

3.歯肉炎を予防する植物エキス
歯肉線維芽細胞に歯周病菌由来LPS※2を添加し実験的に歯肉炎を起こさせたモデルに、3種の植物(オオムギ、ラフマ、ジュンサイ)から抽出したエキスを添加して培養したところ、炎症性サイトカイン(TNF-α)とコラーゲン分解酵素(MMP3)の遺伝子発現が抑制されました。この結果から、3種の植物エキスには、歯ぐきにおける炎症とコラーゲン分解を抑え、すこやかな歯ぐきを保つ効果があることがわかりました。
※2 Lipopolysaccharideの略称。細菌の外膜に存在するリポ多糖であり、炎症性サイトカインの誘導など、歯周病の病態進行に影響を及ぼすと考えられている物質。

図4 3種の植物エキスによる炎症抑制およびコラーゲン分解抑制効果図4 3種の植物エキスによる炎症抑制およびコラーゲン分解抑制効果

 

 

4.口臭を防止する植物エキス

口臭は、食べ物のカスなど口腔内のタンパク質が細菌により分解される過程で発生するガスが原因です。口臭成分であるメチルメルカプタンを人工的に発生させる実験において、3種の植物エキス(オオムギ、ラフマ、ジュンサイ)あり、なしの条件で発生量を比較しました。その結果、3種の植物エキスによりメチルメルカプタンの発生量が抑えられました。3種の植物エキスは、口臭の発生段階に作用することで、口臭防止に効果的であることがわかりました。

図4 3種の植物エキスによる口臭成分の発生抑制効果図4 3種の植物エキスによる口臭成分の発生抑制効果

5.植物エキスを配合した洗口液の歯肉炎、口臭に対する効果
3種の植物エキスと殺菌剤などを組み合わせた洗口液を3か月間使用した時の歯肉炎、口臭に対する効果を確認しました。なお、洗口液は朝食後、昼食後、夕食後(又は就寝前)の1日3回使用しました。

5-1.歯肉炎改善効果
歯肉炎の指標として歯ぐきの出血率を測定しました※3。その結果、使用3か月後において歯ぐきの出血率は1/5程度に減少し、歯肉炎の改善が確認されました。また、歯ぐきの赤みや腫れの改善も確認されました。
※3 全歯の歯周ポケットに金属製プローブを挿入して出血の有無を判定し、出血がみられた歯の全歯に対する割合を算出。測定は歯科医師が実施。被験者数32名(男性25名、女性7名、20~60代)。

図5 3種の植物エキスを含む洗口液の歯肉炎改善効果図5 3種の植物エキスを含む洗口液の歯肉炎改善効果

5-2.口臭改善効果
口臭の指標として口腔ガス中のメチルメルカプタン濃度を測定しました※4。その結果、3か月後には使用前の1/3程度に低下し、口臭の改善に対する効果が確認されました。
※4 専用のシリンジで口腔内のガスを採取し、口臭測定器オーラルクロマ™(NISSHA エフアイエス株式会社)に注入して、口臭成分であるメチルメルカプタンの濃度を測定。被験者数10名(使用測定で口臭成分濃度が高めと判定された男性8名、女性2名、20~60代)。

図6 3種の植物エキスを含む洗口液の口臭改善効果図6 3種の植物エキスを含む洗口液の口臭改善効果

 

3種の植物エキスについて3種の植物エキスについて

 

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