NEC、タブレット端末により非接触で呼吸時の体の動きを可視化する技術を東京科学大学と共同開発

~個人に合わせた運動指導の効果を定量化~

日本電気株式会社のプレスリリース

 NECは国立大学法人東京科学大学(以下 東京科学大学、注1)と共同で、タブレット端末(iPad Pro)搭載のLight Detection And Ranging(LiDAR)センサを用いた非接触3次元計測により、呼吸時の胸腹部の動きを定量的に可視化するAI技術を開発しました。本技術により、スポーツトレーナーやヨガ・ピラティスのインストラクターなどによる運動指導の効果の定量化や、パーソナライズされた指導の実現が期待されます。

 NECは本技術を用いたサービスを、2025年3月末を目標に整骨・接骨院、パーソナルジムなどを展開する法人向けに提供開始予定です(注2)。またNECと東京科学大学は、本技術の普及を加速するため、東京科学大学認定ベンチャーである株式会社Vitalizar(ビタリザ、本社:東京都千代田区、代表:大石裕、注3)に本技術特許のライセンスを提供します。Vitalizarは、2025年4月から個人事業主・中小企業のお客様に対してサービス提供を開始予定です。

グラフ:呼吸計測した際の波形データ(運動指導の前後の比較)
左:タブレットで呼吸運動を計測する風景、右:タブレットの計測画面

【背景】

 呼吸を整えることで心が落ち着き、ストレスが軽減されることが、ヨガやマインドフルネスでは広く知られています。さらに近年、腰痛と呼吸との関係性に関する研究報告が増加しており、心だけでなく体の面でも、呼吸による健康法が注目されています。

 従来専門家は、触診や観察を通して胸部と腹部の動きを把握し、呼吸の状態を確かめてきました。通常、呼吸時には胸部と腹部が同期して収縮・拡張しますが、状態が乱れるとどちらかの動きが小さくなったり、同期性が損なわれたりします。しかし、このようなわずかな変化を正確に捉えることは専門家でも困難でした。

【技術の概要】

 NECと東京科学大学は、タブレット端末搭載のLiDARセンサを用いて、呼吸中の胸部と腹部の動きを客観的に可視化する非接触3次元計測技術(注4)を開発しました。本技術は、iPad Proに標準搭載されているLiDARセンサの画像から、胸部呼吸を安定して計測できる胸骨の位置と、腹部呼吸の計測に適したへその位置をAIで自動抽出し、それぞれの位置の動きを波形グラフで表示します。

 NECは本技術を、2025年3月末を目標に「NEC呼吸可視化サービス」として、精神的なストレスを抱える方や、腰・肩などの身体的な不調を抱える方に施術サービスを提供する事業者(整骨・接骨院、パーソナルジム・フィットネスジムなどの各種フィットネス施設、整形外科クリニックなど)に、サービス提供を開始する予定です。

 なお、本サービスは、対象者の医学的な症状・状態を診断・特定するものではなく、医療機器には該当しません。

【技術の特長】

1. 呼吸の状態を波形グラフで可視化

 従来は、対象者の体表の胸骨とへその位置に直接マーカを貼り付けてモーションキャプチャ技術を活用し、呼吸による胸部と腹部の動きを計測していました。このたび開発した、高速・高精度な3次元画像解析技術では、AIにより、非接触かつ誤差5mm以下の高精度な計測が可能となります。また、計測結果は視認性の高い波形グラフで可視化します(グラフ)。

2. タブレット端末1台で動作可能

 計測から可視化までタブレット端末(iPad Pro)1台で実現できるため、自宅や店舗などスペースが限られた環境でも利用可能です。また立位や座位など異なる姿勢や、着衣のままでも計測可能です。

 NECグループは、生活者が求める多様な価値観を尊重し、心身ともに健康で充実した暮らしを支える革新的なソリューションの開発に取り組んでいます。人々が住んでいる地域に関わらず、個々のニーズに合った最適な医療やケアを受けられる社会の実現を目指し、今後も次世代のヘルスケアの構築に貢献していきます。

以上

(注1)2024年10月1日に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、東京科学大学(Science Tokyo)が設立されました。

(注2)公的機関等の確認プロセスを経て開始予定です。

(注3)https://vitalizar.net/

(注4)本技術は、2025年3 月13日現在、特許出願中です。

<本技術の詳細について>

https://jpn.nec.com/rd/technologies/202409/index.html

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>

NEC グローバルイノベーション戦略統括部

https://jpn.nec.com/cgi-bin/cs/opinion_form4.cgi

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