髪(薄毛)ハラスメント(髪ハラ)に関する全国2万人アンケート

株式会社日本パブリックリレーションズ研究所のプレスリリース

株式会社日本パブリックリレーションズ研究所(本社・東京新宿区、代表取締役所長・井之上喬)は、国内30代から60代の男女2万人を対象にした、頭髪ハラスメント(以下、髪ハラ)に関する初の全国アンケートを実施しました。その結果、薄毛に関する話題・からかい行為が、実はなかなか声を上げづらい、日本社会で見過ごされてきたハラスメントの一つであることが浮かび上がりました。

このアンケートは、国際連合が主導するSDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)の10番目「人や国の不平等をなくそう」に基づき、日本パブリックリレーションズ研究所が髪ハラを日本社会に横たわる差別・偏見の「盲点」として着目、実施したものです。

アンケートでは被害者と加害者双方の経験と意識のほか、メディアで薄毛について見聞きした際の印象なども質問。一連の調査結果は、この問題の陰に双方の意識乖離や同調圧力が存在することを示唆しています。

調査は、インターネットによる無記名方式(2021年5月20日~27日)で行われました。まず一次調査では、頭髪に関する悩みの種類を聞いたうえで、薄毛が時代の流れによりハラスメントの原因になりつつあるという仮説のもと、薄毛で悩む人に被害状況を、薄毛で悩んでない人に加害状況を質問しました。さらに二次調査では、直接被害を受けた人に絞って、その際の状況や意識を質問しました。

調査の結果、2万人のうち4割が薄毛で悩んでおり、さらにそのうちの4割が直接被害の経験を持っていました(A-Q2)そして、この中から無作為抽出した200人にその際の気持ちを聞いたところ、その7割が「不快な気分になる」と回答(B-Q2)した反面、実際の対応では4割強が「不快感を隠す」(B-Q3)と、自分の気持ちに反する行動をとっていることが分かりました。なお、二次調査の対象者200人を男女別にみると、直接被害で明らかに不快を感じる人の数は女性が男性の倍という結果も確認できました(B-Q2m、B-Q2f)。

一方、2万人のうち6割を占める薄毛で悩んでいない人のうち、3割が直接加害の経験を持っており(A-Q4)、その6割以上は自身の行為によって「場の雰囲気がなごむ・盛り上がる」と回答(A-Q6)。被害者と加害者の意識に乖離が見られました。また、これら薄毛で悩んでいない人の4割が、当人のいないところで話題にする・同調するなど間接加害を経験しており(A-Q5)、それに罪悪を感じる人が半数近くいることも明らかになりました(A-Q9)。気持ちとは裏腹に、周囲に流されやすい日本社会の特異性を表しているといえます。

さらに、薄毛で悩んでいない人に、テレビやネットメディアで薄毛に言及された際の印象を聞いたところ、「薄毛の人が見たら不快な気分になると思う」人が7割を占めたのに対し(A-Q14)、別の問いで「薄毛の人が自分でネタにしているなら問題ない」と回答した人も6割いました(A-Q15 )。また、薄毛をネタにした内容を放送することに対しては、「問題がない」と「避けるべきだ」の回答は半々に分かれました(A-Q16)。

アンケート結果の詳細については、別添の設問と結果数値およびグラフをご参照ください。

<今回の調査についての井之上喬所長のコメント>
 「当研究所は、パブリックリレーションズ(PR)のシンクタンクとして、立場の違いを超えた良好なコミュニケーションや関係性構築のリテラシーを高める提言や教育などを行っています。
 今回、薄毛に対して冷やかしたり陰口を言ったりといった差別的な言動を行うことを「髪ハラスメント」と捉え、2万人を対象とした大規模調査を行った狙いは、ハラスメントの加害者側の意識と、被害者側の意識のギャップがどのようなものかを浮き彫りにすること、そして、その背景を探ることで、差別をなくすための解決策をパブリックリレーションズの視点から導き出すことでした。
 調査の結果、いわば加害者側に罪悪感が薄く、ハラスメントに該当する行為だという意識が低く、また、直接被害にあった方々の4割強の人が「不快感を隠す」と回答するなど、日本社会に根付く同調圧力の強さを物語る結果となりました。
 その結果、この問題が広く社会に認識されることなく、薄毛を「ハゲ」とからかったり、ウイッグ(かつら)を「ズラ」などと呼んだりすることで、声なき被害者が救われないままの状況にあったといえそうです。
 薄毛という容姿への差別ともいえるハラスメントについては、SDGsが掲げる目標「人や国の不平等をなくそう」に照らしても、社会全体で、異なる立場の人へのコミュニケーションの在り方、関係性の在り方として真剣に考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。とりわけ被害者が声を上げられない状況を生む同調圧力への考察は、髪ハラスメントにとどまらず、日本社会の様々な問題の病根を見つめ、改善策を議論する契機ともなりえます。
 一方で、今回の調査結果が、加害者側を断罪するバッシングにつながることは当研究所は望みません。メディアも含めた社会全体で、表現の自由等を含む多角的な視点をもとに、闊達で寛容性を持ち合わせた議論が求められます。
 常に、相手の立場を思いやるなどの倫理観をベースに、一方的な価値観の押し付けではなく双方向のコミュニケーションをはかり、絶えず自己修正を図っていく、パブリックリレーションズ(PR)の考え方が社会に浸透し、より良いコミュニケーション、関係性を築いていくリテラシーを一人ひとりが身につけていく。今回の調査を契機に、子供たちの教育や社会啓発などが進み、よりよい社会づくりにつながることを願ってやみません。」
 

<株式会社日本パブリックリレーションズ研究所について>
 当研究所は一昨年創業50周年を迎えた株式会社井之上パブリックリレーションズ(本社・東京新宿区、代表取締役会長兼CEO・井之上喬、代表取締役社長・鈴木孝徳)のグループ企業として2004年8月に設立されました。幼児から大人まで、幅広い世代へのパブリック・リレーションズの教育と普及を目的に、パブリック・リレーションズ研究や各種調査、セミナー講演や教材開発・出版、人材育成などを行っています。

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